Keishi Tanaka「月と眠る」#20 キャンプ民泊のHANAREにて
ランドネ 編集部
- 2022年06月23日
ランドネ本誌で連載を続けるミュージシャンのKeishi Tanakaさん。2019年春から、連載のシーズン2として「月と眠る」をスタート。ここでは誌面には載らなかった当日のようすを、本人の言葉と写真でお届けします。
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キャンプ民泊のHANAREにて
前回のこのページでは、埼玉県ときがわ町にある「NONIWA」のキャンプ民泊と母屋を紹介した。
取材をしたのは3月上旬。まだキャンプのハイシーズンではないその季節、ほかのお客さんの予約はとくに入っていないとのこと。昼過ぎに取材が終わり、編集部の担当者とカメラマンが予定通り帰る支度をするなか、僕はひとりソロキャンプをさせてもらうことにした。こんなこともあろうかと、僕はしっかりとソロキャンプの準備をしてきていたのだ。
先月の「ランドネ」の誌面では、その夜に頭をよぎったことを書き連ねたが、実際にはどんな場所でどんなキャンプをしていたか、ここでは舞台裏を見てもらおうと思う。つまりは僕のソロキャンプのようすを、ただただ覗き見てもらう回である。
ソロキャンプの良いところのひとつに、準備と撤収が楽なことがある。僕はグループキャンプをすることもあるが、荷物の量はそのときの1/10くらいにはなっている。テントの大きさもテーブルの大きさも異なる。今回は椅子を持ってきたが、ソロの場合は持っていかないときのほうが多い。
まだ寒い季節だったので、早々に焚き火をはじめ、スーパーで買った味付きの肉を焼く。鉄板を持ってきていなかったので、今回は網を使った。
「米を水につける」→「焚き火を始める」→「米を火にかける」→「肉を焼いたりその他の準備」→「米を蒸らす」→「肉を食べてビールを飲む」→「米と一緒に食べる」
という順番で、一切無駄なく昼食を済ませた。
その後は、スーパーで思いついたツマミを少しずつ作っては食べながら、ただただ贅沢な時間を過ごす。さっきまでは仕事モードだったが、この辺からは完全に休日。
僕が休日に完全に移行したのを見届け、編集部の担当者とカメラマンは東京に帰っていった。ここからは僕がほろ酔いで撮っていたスマホの写真となるが、それもこの連載ではよくある話。
ひとりになりしばらくすると、日が暮れ始めた。ランタンを灯し、焚き火を本格的に始める。結局夜は椅子を使わずに、テントの前に座り込んでのお座敷スタイルとなるのだが、これはその前の一枚だったと思われる。
夜になり、さらに寒くなってきたので、ビールから熱燗に移行。手に持った火バサミで常に焚き火を触りながら、昔のことを思い出したり、次のアイデアがふと浮かんだり、何も考えていなかったり、とにかくこの時間のためにキャンプに来ていると言っても過言ではない。
きっと『ランドネ』の誌面に書いたことはこの火を見ながら思ったことだとは思うが、明確な記憶はない。もしかしたらテントに入り、寝袋に潜り込んでからかもしれないが、とにかくこの夜も僕にとっては大切な時間となった。
翌朝、軽い二日酔いを感じながらテントを出た。昨日よりも青空が多く、目の前の梅の花がさらに綺麗に咲いていた。
珈琲を入れ、一緒に軽い朝食を済ませたあと、だれに気を使うわけでもなくゆっくりと帰り支度を始めた。
僕の場合、帰る家や東京での生活があるからこそこの時間を楽しめている。日常に感謝したり、また頑張ろうと思えることも含めて、ソロキャンプの醍醐味なのである。
★今月のニューフェイス
スクリーンスターズ/ “RECORDS” Easy pants
1980年代にアメリカでスタートしたブランド「SCREEN STARS」。Tシャツのイメージが強いが、その他のアイテムも充実している。このチノパンもタフな作りなことに加え、ウエストに紐もついているので、ベルトがわずらわしくなるアウトドアにもピッタリ。
https://diamond-head.biz/?pid=155203614
〇Keishi Tanaka
1982年11月3日、北海道生まれ。ミュージシャン。作詞家。
Keishi Tanaka Official Site
https://keishitanaka.com
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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