山のそばでものづくり Vol.7 「井上竹細工店」酒井敬子さん
ランドネ 編集部
- 2022年07月28日
山のそばに拠点を置き、山の恩恵を受けながらものづくりをする人々に注目する本連載。今回は、竹細工修行中の酒井敬子さんにお話を伺いました。
戸隠への移住により、400年続く竹細工に出会う
井上竹細工店
profile
酒井敬子さん
東京都出身。会社員を辞め、ワーキングホリデーでニュージーランドに滞在。2005 年に長野市に移住し、その後戸隠へ。登山ガイドと竹細工づくりで生計を立てている。冬はバックカントリースキーなどを楽しむ。
平安初期より山岳信仰の聖地として崇められてきた、長野県北部の戸隠山。この山のふもとには戸隠神社が鎮座し、その中社の周辺では竹細工の生産が400年以上にわたり受 け継がれてきた。戸隠竹細工の特徴は、戸隠の山で採れた根曲がり竹を使い、縁に〝巻き竹〞と呼ばれる竹が巻き付けられていること。技術を駆使して、ざる、めかご、びく、みといった日用品がつくられている。
「会社を辞めてしばらくは、スキーを楽しむために日本とニュージーランドを行き来していました。最終的に戸隠に移住して、山岳救助隊に入り、井上さんと知り合ったんです」
井上竹細工店で修行中の酒井敬子さんは、竹を編みながらこう語ってくれた。おなじ救助隊員である井上栄一さんはベテランの竹細工職人で、この伝統の担い手を探していた。そこで、元々ものづくりが好きで、登山ガイドを営み山に慣れている酒井さんに「空いた時間に竹細工をやらないか?」と声をかけたという。
竹を編んでいてうれしい瞬間は、六つ目をきれいに作れたとき
竹細工は、山へ竹を採りに行くところから仕事が始まる。なんと30㎏以上の重さの竹を背負うそうだ。山から採ってきた竹の一部を、なたで割って細いひごにし、〝さわぎり〞という自作の道具で削って整える。この行程を経てやっと、竹を編み始めることができるのだ。
「竹細工の好きなところは、竹の採集から加工して仕上げるまで、全部自分で完結できることですね」
山をベースに、生業と趣味が見事に融合した酒井さんの日常。山好きにとっては、ぜいたく極まりない暮らしと言っても過言ではない。
井上竹細工店の商品ラインナップ
※商品価格は、すべて店頭での販売価格となります。ウェブショップの販売価格とは異なります。
右)山葡萄のかごバッグ
酒井さんのブランド「ことリウム」の商品。山葡萄のつるを使用。丈夫なので、買い物などにも便利。80,000 円。幅約30㎝×高さ約23㎝×奥行約12㎝。
中)カバンかご
根曲がり竹で編み込んだめかごに、持ち手をプラス。丈夫かつ容量たっぷりで、ピクニック時にも活躍する。10,000 円。幅約30㎝×高さ約17㎝×奥行約23㎝。
左)きのこビク
山菜採りの際に使う道具。ドライフラワーを挿したり照明を入れたり、工夫次第で別の用途にも使える。8,000 円。幅約30㎝×高さ約25㎝×奥行約17㎝。
右)浅ざる
碗型のざるで、調理器具、食卓用の食器、果物や小物入れなど、幅広い用途に活用可能。サイズ違いもあるので使い分けて。8,000円。直径約20㎝、高さ約7㎝。
中)ボトルホルダー
めかごとおなじ六つ目編みで仕上げられている。ひごの輪っか付き。500㎖のペットボトルがすっぽり入る大きさ。2,800円。直径約8㎝、高さ約15㎝。
コーヒードリッパー
ざるの編み方で円錐型に仕上げられたドリッパー。カラビナなどが引っかけられるよう、縁にミミが付いている。6,600円。直径約12.5㎝、深さ約9㎝。
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ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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