高山植物(山の花好き)ライター・成清 陽の「ヤマノハナ手帖」#17 ヤマフルーツ
ランドネ 編集部
- 2022年12月15日
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登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!
……といつもの書き出しで始まる本連載。ですが、ときはすでに年の瀬ということで、今回は年末恒例のスペシャル企画!お花が咲き終わったあとにつく「果実」をご紹介します。可憐で美しい花がすばらしいことはもちろんですが、花が終わったあとのヤマフルーツもまた、とってもミラクル。フルーティーな話題(?)で、“実り多き”2022年を締めくくりましょう!!
甘酸っぱい!ハイカーに大人気
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ヤマブドウ(ブドウ科)
一般的な実り時期:9月~10月
主な生育場所:亜高山の林内など
「下山中に、大量のヤマブドウ見つけてウハウハ♪」。こんなツイートを誘発する、ハイカー御用達のヤマフルーツといえば、やっぱりコレ!その輝かんばかりの存在感は、アイドルグループならセンター、会社なら代表取締役、国なら大統領!ややオーバーな表現ですが、それほど珍重されております。あえてツッコむなら、高山植物ではない……かも。高山に達するトレイル沿いや、登山口周辺に生えるイメージです。ところで、近年はかの有名なワイン用ブドウ「カベルネ・ソーヴィニヨン」とヤマブドウを交配した、「ヤマ・ソーヴィニヨン」が日本ワイン界を席巻中とか。私も先日いただきましたが、あまりの美味さにかなりオドロキました。ワタクシ宛のワインお歳暮、絶賛募集中です(笑)。
必殺!エアーサ〇ンパス爆弾
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シラタマノキ(ツツジ科)
一般的な実りの時期:8月~9月
主な生育場所:高山の岩場など
さて、お歳暮の手配で軽くジャブを打ったところで、本連載の核心と参りましょう。このホワイトストロベリーのような白い果実、高山を愛する多くのハイカーの目に触れているのでは。ただ、小さいためにあまり気に留めないのが普通かも?しかーし!シラタマちゃんを、あなどることなかれ。果実をそっと摘み取り、潰してみてください。すると、なんとも爽やかなシップ臭に包まれるハズ!そう、あのエアーサ○ンパスの香りなんです。これだけでも面食らうもんですが、さらに意外なのは、「食べると甘い!」。いちおうブルーベリーの仲間とはいえ、シップ臭かつ甘いって、なんじゃその反則ワザは~!!
毒グミ、いかがっすか~?
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オオヒョウタンボク(スイカズラ科)
一般的な実り時期:8月~9月
主な生育場所:山地~高山の林など
さあ、じゃんじゃん行きましょう。ここからは、少しばかりレアものをば。こちら、フツーの赤い果実に思えてスルーしそうになりますが、なんと、ふたつの実が……くっついてる!まるで雪だるまやひょうたんのような形になっており、そのまんま名前の由来になっているんですね。とってもかわいいフォルム、そしてグミやお菓子のような色合い、しかも蜜がおいしいスイカズラの仲間!思わずひと粒つまんで、あーん……としたくなるところですが、ヒョウタンボクの仲間は例外なく有毒。どんなにひもじくても、食べちゃダメ!味見もダメ!
だれもが見とれる、瑠璃色のフルーツ
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サワフタギ(ハイノキ科)
一般的な実りの時期:8月~9月
主な生育場所:山地の林内など
一般に、ヤマフルーツのカラーは赤がド定番。これは暗い森でも目立つ、また野鳥に見つけてもらって、食べられて移動したいからだと言われています。と、そんなマニュアルをまったく無視するのが、コチラ。この木の材がとっても硬く、牛を叩くと死んじゃうくらいなので「ルリミノウシゴロシ」という別名があるとかなんとかいいますが、そもそも瑠璃色って!!と激烈にツッコミたくなるところ。ですが、この果実に出会うと、ココロが静まっちゃうんです。だって、すっごいキレイなんだもん♪犯罪抑止に使う、青いLEDライトってあるじゃないですか。あれに近い効果があるのかも?まず間違いなく無関係でしょうが……。
鳥さんたちの運動会を演出!?
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マユミ(ニシキギ科)
一般的な実りの時期:9月~10月
主な生育場所:山地の林内など
さて、ラストランナーは、林内などでひと際目立つ、コチラ。ニシキギの仲間は、サワフタギとはポリシー(?)がまったく正反対。鮮烈な赤で野鳥に「ねえねえ、運んで~!!」とアピールしまくります。ただ、おもしろいのは“パン食い競争”ともいうべき、そのヘンテコ主張。果実がパカっと割れると、種がぶら下がるんです。これ、なかなかの珍現象で、マユミの仲間以外には見られません。なお、このぶらりんとした種は野鳥が食べますが、人間にとっては有毒植物。「嫁殺し」の異名を持つ木でもあるそうですので、要注意です。「何が注意なの?」って、恨みつらみ重なる人が身近にいる、そこのアナタです(笑)。
さて、今回の特別編、いかがでしたか?ヤマフルーツの世界はとてもおもしろく、花とはまた違った、めくるめくワールドが広がっているんです。今年、実りが見られるのは今やかなり標高が低いエリアのみとなりますが、来秋はぜひ、高山の実りも楽しんでくださいね。そして、本年の連載記事はこれにて終了!私はこれから、忘年会と新年会の準備にいそしみます!!ここまでお付き合いくださった皆さま、ぜひ健やかに新年をお迎えください。
それでは、また。皆様のココロに、素敵な花が咲き誇りますように。来年もまた、ヤマノハナ手帖をよろしくお願いします。
花ライター/会社員 成清 陽
大学時代から山を渡り歩いていた個性派キャラ。卒業後も、好奇心の赴くままに職を転々とし、自然ガイド、環境コンサル、ホテルマン、雑誌編集者、市営公園管理人を経て、現在は森づくり事業を担う会社員。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。花が美しい山しか好きになれない、アルティメットな病なんです~!(笑)
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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