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ニューアルバム『Sunshine』を1/25にリリース|藤巻亮太が考える、山と音楽のさらなる楽しみ方とは

宇宙的感覚を研ぎすます「山と音楽のさらなる楽しみ方」をテーマに、さまざまなミュージシャンにインタビューしていくシリーズ。音楽フェスをはじめ、アウトドアフィールドで聴きたい音楽を紹介する。

藤巻亮太がニューアルバム『Sunshine』を1/25にリリース

約5年ぶり、4枚目となるオリジナルアルバム『Sunshine』を発表する藤巻亮太。レミオロメンの活動休止を経て、ソロ活動10周年でもあり、初回限定盤にはベスト盤も付属。彼のこれまでのソロ活動を網羅し、真摯に音楽活動と向き合った作品『Sunshine』が完成した。

——『Sunshine』はオリジナルアルバムとしては5年ぶりになるんですね。

藤巻:そうですね。前作から約5年空いているので、曲自体はたくさんあったのですが、アルバムとして、どうまとめるのかと考えていました。ソロ活動をはじめてからの10年は、手応えを感じるいっぽうで、変化する状況のなか、悩んだりもしましたし、手探りで歩んできました。そんななか、2022年の春先に、たとえば、同世代だとフジファブリックの総ちゃん(山内総一郎)や先輩だと奥田民生さん、吉井和哉さん、浜崎貴司さん、和田唱さんなどのソロ作品を改めて聴くタイミングがあって。それぞれのリアリティで、それぞれの信じているものが表現されていてかっこいいなと思ったんです。自分もソロになって、もう一度誠実に向き合い、曲を作りたいと思いました。自分にとって大事な部分が見つかって、音楽への愛情がより深く楽しくなって、前向きに進んでいこうという気持ちで1曲目の「この道どんな道」ができて。こういうモードでアルバムとしてまとめられたらと軸が見えて、曲をセレクトしていきました。

——この曲の<大丈夫>を4回連呼する歌詞はインパクトがありますね。

藤巻:結構、ここはみんな好きだと言ってくれますね。いまの時代、不安なことばかり蔓延しているから、<大丈夫>と言葉にしたのがよかったようです。明日吹く風がどんなものか自分ではわからないですし、当然失敗することもたくさんあると思います。それでも立ち上がって進んでいこうと自分を鼓舞するために書いた曲で、エールを贈ることができるのなら、元気いっぱい歌っていきたいと思います。

——藤巻さんは山登りにも通じていらっしゃいますが、アルバムをとおして、自然に対する価値観も感じられるようでした。

藤巻:「まほろば」なんかは、わかりやすくそうかもしれないですね。都会の暮らしは土をいじったり自然に触れている時間よりも、圧倒的にスマホやパソコンに費やす時間のほうが長いですよね。便利さや効率をもたらすものも、裏を返すと人を消耗する部分が多分にあって、苦しめられたりします。自然という人の力が及ばない大きなもののなかに身を置いてみると、打ちのめされると同時に救われる感覚もあって、なにか取り戻せるような曲として書いたので。

——「大地の歌」には、自然への畏怖も描かれています。

藤巻:東日本大震災からずっと続いているラジオ番組でナビゲーターを2019年度に務めさせていただいて、被災地を取材するという、経験をさせていただいていたんです。それをきっかけに生まれた曲です。大地は衣食住全てにおいて恩恵を与えてくれますが、かたや牙を向き、災いを及ぼす、もうひとつの顔もある。そのなかに、人間は人間の生きざまがあるとダイレクトに感じることができました。現地の方が「我々が過酷な状況にいることは間違いないんですけど、我々を不幸だとは思わないでくださいね」とおっしゃっていたことは、本当にそのとおりで。なにに対しても価値観というものは、周りが決めることではないなと。1年間取材させていただいたうえで、恵みもくれれば、災いを及ぼす大地があり、そして、どんな状況にあっても、人間の強さや気高いものを感じることができた。それを歌にしたいと思ってできました。

——困難や打ちのめされるようなことがあっても、光を感じられるという世界観が貫かれた、力のあるアルバムになったと思うのですが。

藤巻:自分にとって曲を作るというのは、19歳のころからそうでしたが、曇っているものに光をあてていくような、本当にナチュラルなものを見つけていくことで、自分なりに理解を深めていく作業だと思うんです。『Sunshine』というアルバムタイトルにもあるように一曲一曲向き合いながら、自分を曇らせてしまうものに対して、日の光を当てるようにつくった12曲です。曲を作りながら自分自身がポジティブな気持ちになっていった曲が集まったアルバムになりました。

——藤巻さんのリアルなところから生まれた曲ばかりなんですね。

藤巻:そうですね。たとえば、バンドからソロになって気づいたのは、自分のためにがんばれるのと、だれかのためにがんばれるというのは出てくる力がちがうということです。ソロになったときに、自分のためだけにがんばる難しさをすごく感じて。あのころのような底力がやっぱり出てこないのかなと思ったこともありました。ただ、ソロ活動において大事にしようと思ったのは、ひとつひとつの出会いです。やはり自分の音楽に触れてくれたり、ライブを待ってくれている方々もそうですし、関わってくださる方々も含め、一つひとつ出会っていくなかで、自分の持っているものを発揮して、一生懸命がんばれるようになりました。

——人との出会いも大きかったと。

藤巻:歳を重ねながら自分なりのものの見方、価値観ができてきて、そういうものをよすがに生きている部分って大きいじゃないですか。この激動の時代に流されないように、自分の価値観って必要だと思うんです。でも、自分なりの価値観が固定されていくのも逆に怖い。固定観念に囚われてしまうことにもなりかねないですからね。だから、新たな人との出会いで、新たな社会と接点が生まれたり、自分の価値観を揺らして、自分の価値観を変える瞬間があることはとても大事なことだと思うんです。自分にとっては、そういう出会いを大切に、一曲一曲作っていくことが曇りを晴らしていくことでもありました。

——今作には、さまざまなミュージシャンの方が参加しています。

藤巻:そういう意味でも『Sunshine』と言えるかもしれないですね。ドラムの片山(タカズミ)くん、ベースは宮田‘レフティ’リョウくんや御供(信弘)くんとセッションしながらアレンジしていった曲が多いんですが、「まほろば」なんかは、ドラムに石若(駿)くんだったり、アレンジは曽我(淳一)くんにしてもらったり。桑原あいちゃんがピアノを弾いてくれた曲もあって、曲のいいところを引き出してもらったり、新たな光を入れてもらったところもありますね。

——藤巻さんのマンドリンの音が素敵だったんですけど、ハマっていたりしますか。

藤巻:そうですね(笑)。「まほろば」のレコーディングのときにマンドリンを買ったんです。そのときは、ゼロから覚えて弾いたのですが、最近レコーディングした「Sunshine」という曲でも弾いてみたいなと思って。あの複弦であり独特の音色って、かわいらしいだけじゃなくて深い味わいもあって、すごくノスタルジックでエモーショナルな音になるんですよね。アコギとはまた全然違うなんともいえない感じがよくて。

——マンドリンの曲があるから、「僕らの街」などのアコースティックギターや「裸のOh Summer」の12弦ギターだったり、それぞれのギターの音が際立ってきます。

藤巻:本当に。エンジニアさんといっしょにどのギターで、どのアンプで、どのサウンドにするかって、すごく考えながらやっていて、「このアンプでこのギター最強!」というのを試してできたアルバムなので、ぜひ聴いてほしいですね。

——『Sunshine』を携えて、全国ツアーも決定しました。

藤巻:今回のアルバムはギターサウンドで構築されていますし、藤巻のギター&ボーカルと、ドラムの片山くん、ベースの宮田‘レフティ’くん、ギターは一緒にフットサルもやっている近藤寿くんという編成で、久しぶりに自分の原点でもあるバンドで回ります。早く、このバンドサウンドを届けたいです!

——ちなみに、ここ最近の山やアウトドアのエピソードはありますか?

藤巻:冬山はプロの方がいないと登れないので、ここ最近はあまり登れていないんですよね。ここ数年は、北岳、尾瀬、八ヶ岳とか、改めて登ったりもしています。定期的に山に登ると登山をはじめたころと変わらず、いまだにビフォーアフターで違う感覚になれるからいいですよね。

——オススメのギアなどは?

藤巻:そうですね……ギアではないんですが、最近、とあるラジオ番組で冬キャンプのロケをしてきまして。山梨の琴川キャンプ場に行ってきました。甲斐サーモンという山梨の特産品があるんですが、その塩釜焼きというのをやって。大量の塩に卵白をまぜて、魚のまわりをくるんで、そのまま焚き火の中で焼くんです。人生で初めてやったんですけど、これはエンタメ感があってオススメです。塩で包んで焼くのもエンタメですが、焼くとカチコチになってそれを砕くと、美味しそうな魚が出てくるというのも大興奮で。またやってみたいなあ。

Field Like Music
◎アウトドアで聴きたい1枚。

ダミアン・ライス/『O』

登山やアウトドアの環境では、景色も変わるし、五感も研ぎ澄まされるので、何を聴いても普段と違う入り方をしてきて、新しい発見がある。この作品はアコギが奏でられ、オルタナ感を感じますが、日常の早いBPMではない、かといって、ゆったりすぎない。ほどよい軽快感があって、歩くスピードにも合う。山の天気は変わりやすいんで、雲があっても、ちょっと雨が降っていても、晴れていても、どの天気でも雰囲気良く聴けるアルバムじゃないかな。

藤巻亮太

1980年生まれ、山梨県笛吹市出身。2003年にレミオロメンとしてメジャーデビューし、「3月9日」「粉雪」などが大ヒット。2012年ソロ活動を開始。オリジナルアルバム『オオカミ青年』『日日是好日』『北極星』のほか、レミオロメン時代の曲をセルフカバーした『RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010』を発表。2018年より主催する野外音楽フェス「Mt.FUJIMAKI」を地元・山梨で開催している。https://www.fujimakiryota.com/

Information

藤巻亮太『Sunshine』
1.25 release/(2CD)¥4,000+税
SPEEDSTAR RECORDS

LIVE

藤巻亮太 Live Tour 2023「Sunshine」
2月25日(土)・26日(日)東京・I’M A SHOW
3月3日(金)宮城・仙台Rensa
3月5日(日)福岡・DRUM LOGOS
3月10日(金)愛知・新栄シャングリラ
3月11日(土)広島・CLUB QUATTRO
3月19日(日)大阪・umeda TRAD
3月21日(火・祝)・22日(水)山梨・甲府CONVICTION

 

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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