【いつか泊まりたい山小屋#33 八ヶ岳・麦草ヒュッテ】アクセス抜群な峠に佇むコケ好きの聖地
ランドネ 編集部
- 2023年02月02日
「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。33軒目は、北八ヶ岳の登山口・麦草峠に建つ、麦草ヒュッテをピックアップ。
ペンションのような快適な時間を過ごせる館内サービス
長野県の蓼科高原から八ヶ岳を横断して八千穂高原へと抜ける国道299号線。その最高地点である標高2,127mの麦草峠に、赤い三角屋根の麦草ヒュッテは佇んでいる。夏季はバスで山小屋の目の前までアクセスでき、片道1時間で茶臼山や丸山などのピークへ登ることができるため、北八ヶ岳の山歩きのベースとして最適な山小屋だ。
麦草ヒュッテの開業は1958年。三角屋根で三階建ての大きな館内には、客室のほか、レトロなランプが吊り下がる食堂、山小屋オリジナルグッズが並ぶ売店、60人ほどの集いが可能な大広間、そして男女別の浴室がある。そのうえ信州産の食材がふんだんに使用された食事までいただけるこの山小屋では、まるでペンションのような快適な時間を味わえるのだ。
コケ好きにとってはこのうえない環境がそろう
麦草ヒュッテの周囲には、林床がコケに覆われている豊かな針葉樹林が広がっている。山小屋を出て少し歩くだけでさまざまなコケに出合うことができるので、1泊してコケ観察に没頭するという過ごし方もアリ。山小屋のご主人がコケに詳しいうえ、5月から10月まで山小屋主催のコケ観察イベントが多数開催されているので、コケに興味がある人にとっては、コケを学べる絶好の場であることは間違いない。
山小屋から目指すおすすめルート【麦草ヒュッテ~白駒の池 片道約35分】
コケ観察を目的とする森歩きの際におすすめなのが、麦草ヒュッテから白駒の池を目指し、池をぐるりと一周して折り返すルートだ。白駒の池は約40分で一周できるので、スタスタと歩けば行動時間は約2時間。基本的に平坦な道のりなので、体力をそれほど消耗せずに、コケ観察に専念することができる。散策の際には、ぜひルーペやカメラなど観察グッズを持参して行ってほしい。八ヶ岳の山域には約480種類以上のコケが生息しているので、そうしたアイテムを使ってコケをつぶさに観察していたら、あっという間に時間が経ってしまうはず。落ち着いて観察するためにも、人の多い時期はできる限り避けて行くようにしよう。
公共交通機関でもマイカーでもアクセスしやすい立地にありながら、針葉樹林やコケに覆われた、標高2,000m以上ならではの景色がすぐそばにあるのが麦草ヒュッテの魅力。ピークを目指す山登りとは少し違った刺激を求めている人に、おすすめしたい山小屋だ。
麦草ヒュッテ
http://kitayatsugatake.com/
・標高:2,127m
・営業期間:通年
・宿泊料金(税込):1泊2食9,500円 (相部屋)~、素泊まり5,500円(相部屋)~、お弁当800円(5~10月)
※冬期(11~3月)は暖房費+500円が必要
・電話番号:090-7426-0036 (現地)
・コロナ禍での確認事項:完全予約制、個室あり、マスクを要持参
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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