高山植物(山の花好き)ライター・成清 陽の「ヤマノハナ手帖」#19 リュウキンカ
ランドネ 編集部
- 2023年02月15日
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登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!
「1月は行く」。これ、じつによくできている言い回しです。なんてったって、正月張り切って飲んでるうちに逝っちまう(自分が)。そして来ました、逃げる2月。これは純粋に、日数が少ないのが世界的な?大モンダイ。おかげさまで、締切は早くなるわ、気が急くわ。ほかの月との日数調整ができなかったオトナの事情、ぜひ知りたい。……と、文句が漏れてしまいますが、この花連載はつねに清楚かつ華やかなイメージ(+ちょっぴりブラック)でありたいもの。ということで今月は、明るい元気印、リュウキンカをピックアップいたします!!
春の湿原に立つ!?
Data
リュウキンカ(キンポウゲ科)
一般的な花期:5月~6月
主な生育場所:山地の湿原など
春の尾瀬、GWの池ケ原湿原、初夏の栂池自然園。ミズバショウが見たくてこのエリアに足を運んだことがあるなら、きっと華やかな黄色い花に気づいているはず。いや、もし写真を撮ったなら、ゼッタイ写り込んでいるはず!そう確信できるくらい、このリュウキンカはミズバショウと仲良しです。ところでこのリュウキンカ、名前を漢字で書くと「立金花」。普通はリュウ=竜だと思いますが、この花がすっくと立っていることから命名されたんだとか。まことしやかに聞こえるコチラ、いかがなものかと……。
Stand up,Please!!
「今月も始まったな。この連載、花に難癖つけるんだよな~」。そう思った方は鋭い!いやしかし、この写真を良く見てください。あちしがついつい指摘したくなるキモチが、おわかりでしょ?すっくと立っているどころか、 休日リビングのお父さんですよ。湿原にゴロゴロ寝っ転がって、ヤル気も覇気も感じられない……。これじゃあ、「立金花」というより、「トゥルース●ーパー」のほうがしっくり来るというわけ。まあ、正確には立ったまま寝てる感じ?これって、電車で吊り革握って眠るリーマンじゃん。。。
湿原で集まって……!?
かわいい見た目ながら、歪んだワタクシの世界観によって、オッサン臭漂う本性(♪)が暴かれつつあるリュウキンカ。ま、ジョークはさておきプチっと解説しておきましょう。リュウキンカが生えるのは、おもにミズバショウなどが好む「低層湿原」。湿原のなかでも、小さなせせらぎや沼地など、豊富に水が流れ込むところです。そして、この写真のように水辺に集まって咲くことも!ところで、なんで集まるんでしょう?やっぱり、眠ってても隣の人が支えてくれる満員電車的なシチュエーションだから?やっぱ寝てんじゃね??(悪意が止まらないぃぃぃ)!
かなり悩める山菜なのです
さてさて、これまでになく高山植物をいびり倒しているわけですが、これぞ秘技・愛情裏返し(ツバメ返し的な)。オッサンなんてとんでもないくらい、葉っぱは艶やかなサラダを思わせるみずみずしさです。そのミソは、食べられる“っぽい”こと。前回ご紹介したニリンソウ(#18参照)も、有毒植物の多いキンポウゲグループにありつつ、優秀な山菜とご紹介しました。で、リュウキンカはというと、「近縁のヒメリュウキンカは有毒ですけども……」という注釈付き。うーん、ゴメン。これ読んでココロ折れたわ~。
まるでマリーゴールド!
さて、素敵&無毒なリュウキンカですが、花のなかには八重咲きになるものも。ちょっと見ると……まるであの花壇で見かける花そっくりではないですか?そう、オレンジなら完全にマリーゴールド!調べてみると、あながちインチキではないことがわかります。「マッシュ マリーゴールド」でググれば、出るわ出るわ、リュウキンカ。立金花だけに、ゴールドというわけですね。そして、マリーゴールドといえば、やっぱりあいみょん!「♪麦わらの 帽子のきみが 揺れたリュウキンカに似てる」……ありゃ、ちょっと間違えた。
衝撃のネタばらし
華やかさあふれるリュウキンカですが、花が終わればこんな風貌に。これぞ、ザ・キンポウゲといわんばかりのタネなんです。「葉っぱの感じも、花の感じもキンポウゲっぽくないギャップが良いのにぃ」とアヒル口でかましたくなるところですが、ここで、ふと気づきません?そう、立っているのです。タネが……。立金「花」なのに、なんで「タネ」が立っとるんやーーー!……というわけで、今月はこのまま慟哭のフィナーレとなるのでした。
さて、今回ご紹介してきたリュウキンカ。いかがでしたか?じつは尾瀬を闊歩してきたワタシにとって、この花は馴染みの顔以外の何者でもありませぬ。というわけで、かなーりいじってしまいましたが、本当に本当に好きなお花なんですよ。春の湿原を彩る黄色は、癒されるのひと言。ぜひ皆さんも、出会ってください。そして、しっかりとその“立ち姿”を見てくださいね~。
それでは、また。
皆様のココロに、素敵な花が咲き誇りますように。
花ライター/会社員
成清 陽
大学時代から山を渡り歩いていた個性派キャラ。卒業後も、好奇心の赴くままに職を転々とし、自然ガイド、環境コンサル、ホテルマン、雑誌編集者、市営公園管理人を経て、現在は森づくり事業を担う会社員。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。花が美しい山しか好きになれない、アルティメットな病なんです~!(笑)
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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