BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

イラストエッセイスト・松鳥むうの「山のふもとのゲストハウス案内」#16 GUEST HOUSE Ant Hut(岐阜県白川村)

その土地の暮らしに寄り添いながら、訪れた旅人を優しく迎え入れてくれる宿、ゲストハウス。全国各地に点在するゲストハウスを100軒以上訪ねてきた、イラストエッセイストの松鳥むうさんが、山歩きの拠点にもおすすめのゲストハウスを紹介する連載。16軒目は、世界遺産・白川郷にある、幸せに包まれる宿「GUEST HOUSE Ant Hut」です。

出逢いは、うれしいギャップ

▲玄関を入ってすぐに広がるキッチン&共有スペース。元薬局の店舗スペースだった場所

「おまたせてしてごめんなさいね~」

そう言って、白川郷のバス停まで車で迎えに来てくれた「GUEST HOUSE Ant Hut」のご夫妻。対面した瞬間、私の思考は数秒ほどバグってしまった。
「あれ?私が予約したのは、民宿ではなくゲストハウスだったはず」と。
おふたりは、どう見ても(失礼)、おじいちゃんとおばあちゃんなのである。申し込みサイトで見ていた「Ant Hut」さんの内装等が、20~40代の宿主に多そうなデザインだったので、てっきりそれぐらいの年代の方が宿主だと思っていた。

▲元村役場職員だった蟻原勧さんと元村の病院の看護師だった基子さん。白川村の人々からの信頼も厚い

「息子にゲストハウスやればいいんじゃないと言われて始めたのよ~」と、奥さんの基子さん。聞けば、宿の建物は、もともと、基子さんが経営していた薬局の建物なのだそう。

「高速道路ができてから、人通りが減ってしまって、薬局を閉じたの」と。6年ほど空き家になっていたが、息子さんの一言でシンプルおしゃれなゲストハウスに変身。リノベーションは息子さんの友人でその道のプロが手掛けたという。

▲「Ant Hut」の数軒隣にある息子さんがはじめたアウトドアツアーのショップ。コチラの2階には、息子さんが営む宿が併設

世界遺産である白川郷には、世界各国からの旅人がやってくる。異文化の大集合となるゲストハウス業は、楽しいコトも多い反面、必然と大変なコトも常日頃。それなのに、お年を召してからの開業なうえ、ゲストハウスにも泊まったコトがなく、英語もできないときたら、それはそれは、はるかにたいへんなコトだらけなんじゃないかと思ったら……

「ゲストハウス業は、楽しいコトしかない!」と、基子さん。

言葉がつうじずとも「おばあちゃん、おばあちゃん(日本語でない場合も多々)」と、ゲストみんなが声をかけてくれるのだという。だからか、宿内には、宿泊した様々な国のゲストからの手紙が溢れている。それらを見ていると、その場に居合わせていない私ですらも、幸せな気持ちに包まれてしまった。

▲英語がわからない基子さんへのお手紙には、海外の方が日本語でお礼の言葉を!お互いの心遣いがとても温かい

何歳からでも何でもできる特効薬

現在、基子さんは両足の具合がよくない。が、「動ける間は、宿の掃除はがんばってお父さんと私でやるの」と、ケラケラ笑う。ちなみに、2段ベッドの上の階の掃除担当は、旦那さんである勧さんだ。

▲余裕で膝立ちができる高さ!広々快適!
▲なんと!各ベッドにハンガーラックまで設置されていて、ものすごくうれしい♪

現在、コロナ対策もあり、ドミトリーは廃止して個室対応のみのため、グループ旅ならちょうどいい値段だが、ひとり旅には少々お高い。けれど、勧さんと基子さんと話ができるだけで、それはもうプライスレス。「何歳からでも何でもできるんだ」そんなパワーという名の特効薬をふたりからもらった気がする。

▲この日の宿泊は私だけ。淋しいだろうからと、基子さん手作りの土筆の煮物と柚子胡椒を下さり、白川郷のどぶろく片手に、基子さんと語り合う夜だった♪

「山登りが好きでね。足が悪くなる前は、よく登ってたのよ」と、基子さん。野草も大好きだという。

「白川郷は4月下旬が野草の時期だから、またいらっしゃい。その時期に、一緒に野草を採りに行きましょ」

基子さんが一番大好きだという野草・モミジガサを、いっしょに採りに行ってみたいなと思う今日この頃なのである。

▲ゲストが描き残して行ったイラスト。おふたりの人柄が伝わる1枚

GUEST HOUSE Ant Hut

宿泊料金:(すべて素泊まり/一部屋)
・個室(4人部屋/2段ベッド/専用シャワールーム付)
1~2名利用時 15,500円~、3名利用時 16,500円、4名利用時 18,000円

・個室(6人部屋/2段ベッド/専用シャワールーム付)
1~2名利用時 21,000円~、3名利用時 22,000円~、4名利用時 23,500円~、5名利用時 25,000円~、6名利用時 27,000円~

TEL:090-7746-9876

※予約は「booking.com」もしくは「agoda」からのみ受付
・Booking.com
https://www.booking.com/hotel/jp/guesthouse-anthut.ja.html?auth_success=1

※白川郷バスターミナルから送迎あり(要事前予約)

GUEST HOUSE Ant Hutを拠点に歩きたい、三方岩岳

白山国立公園内に位置し、日本三百名山にも選ばれている三方岩岳(標高:1,736m)。「飛騨岩」「越中岩」「加賀岩」の3つの岩壁が織りなす力強さが特徴の山。コースはいくつかあるが、初心者向けの三方岩登山道コースだと片道1時間ほど。山頂からは、白山・北アルプスの絶景が広がり、6月下旬から7月下旬にかけてはニッコウキスゲの群生も楽しむことができる。

 

松鳥むう(まつとり むう)

イラストエッセイスト。離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。訪れた日本の島は118島。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島かいてーばん』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島かいてーばん』(スタンダーズ)、『ちょこ旅瀬戸内』(アスペクト)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『あちこち島ごはん』(芳文社)、『おばあちゃんとわたし』(方丈社)、『島好き最後の聖地 トカラ列島 秘境さんぽ』(西日本出版社)、『初めてのひとり旅』(エイ出版社)等。最新刊は『むう風土記~ごはんで紐解く日本の民俗・ならわし再発見録~』(A&F)。

http://lit.link/muumatutori

Instagram @muumatutori

Twitter @muumatutor

 

SHARE

PROFILE

ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

No more pages to load