四角友里のにっぽん“食”名山＃15「神奈川県・丹沢あんぱん」

一つひとつの「食」から、山の時間や会話が蘇り、歩くだけでは気づけないとても大切なことを教わります。そんな心に残る山の食べものを四季折々の楽しみとともに綴るエッセイ連載です。

神奈川県・相模原　丹沢あんぱん

神奈川県相模原市に工場を構えるオギノパン。ここで作られる看板商品が『丹沢あんぱん』です。このパンは、周辺の丹沢山系にちなんで山のかたちに作られていて、山好きにはたまりません。

こんもりしたフォルムは、実際の丹沢の山々よりやさしい印象。餡を包む工程は機械化せず、職人さんが手包みしているので、ひとつずつの山のかたちに愛嬌があります。丹沢あんぱんの皮はバターと卵を贅沢につかったブリオッシュ生地なんだそう。コクのある北海道産小麦を使い、薄いパン皮との組み合わせで和菓子のような味わいも感じさせます。

味はつぶあん、こしあんをはじめ、ごまや栗、紫いもなど、定番のほかにも季節限定のものを含め常時８～10種類のラインナップ。私は味に迷ってしまったら、その日のパンのなかから一番、山っぽいかたちを選んでいます。

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四角友里

「山スカート」を日本に広めた女子登山ブームの火付け役。講演や執筆、山ウエア・ギアの企画開発に携わる。日本全国の山を旅しながら、土地の食や文化を味わうのがライフワーク。
Instagram：@yuri_yosumi