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日本の国立公園を知る、歩く。【#2】野焼きで守られる 阿蘇くじゅうの自然

美しい景観を未来に残すために

阿蘇くじゅうの山を歩くと、ほかの山域では見ることのできない、広大で美しい草原に心奪われる。この風景は、人の手が入ることで維持されていることを知っているだろうか?

「春になると山に火を放つ野焼きを行ないます。阿蘇くじゅうを象徴するものといえば、草原風景。ここを訪れる人たちも〝きれいな景色ですね〞と言ってくれます」

地元出身であり、飯田高原野焼き実行委員会・会長の髙橋裕二郎さんは、一度途絶えた野焼き文化を復活させ、多くの観光客や登山者を魅了する景色を守り続けるひとり。

▲野焼きをするうえで重要な作業は、8~9月に防火帯を作るために草を刈り、枯れたら焼いて地面を出しておくこと。ボランティアの方たちは草刈り機などを持参し参加。「野焼きは理解者を増やすことが大切」と髙橋さん。

「もともと野焼きを行なっていた牛や馬を飼う牧家畜農家が減り、放置された牧草地は、ノリウツギなどの灌木や藪で覆われていきました。草原美が失われていくなかで、〝昔のような景色を取り戻したい〞と周囲に呼びかけ、野焼きの実行委員を立ち上げました。阿蘇くじゅう国立公園内で行なうことなので、許可が下りるまでは『全国に例がない』、『そんなことをしていいのか』など、言われることもありましたが、国立公園であり続けるためには大切な作業ですから」

▲8月頃になると草原に咲くヒゴタイ(上)とマツムシソウ(下)。これらの植物も野焼きで守られ、毎年花を咲かせている

班を編成し、地形や風向きなども計算したうえで計画的に行なわれる野焼きには、一日あたり200名ほどが参加。山は二日間にわたり焼き続けられる。この大がかりな作業に加勢してくれる人を増やし、理解を深めるための講習会のほか、地元の小学生を集めて、野焼きとは何かを教える機会もあるという。

「たった一年でも野焼きをしなかったら、木は伸び、防火帯を作ることが困難になるでしょう。また来年もここに美しい緑と花を咲かせるために、野焼きは必要なのです」

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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