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芸人・桜花さん|低山トラベラー、偏愛ハイカーに会いに行く

低山トラベラーの大内征さんが山好きさんと山を歩く、「偏愛ハイカーに会いに行く」連載がスタート。山の愛し方は人それぞれ、とはいうけれど。十人十色の偏愛ワールドをのぞいてみれば、これからの山の愛し方とその先の未来が見えてくる、かもね。

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今回の偏愛さん

芸人 桜花さん

ダジャレで人を笑わせたい! とお笑い界に飛び込む。趣味の登山は、山小屋や登山用品店で働くほどはまり、趣味の登山とダジャレを組み合わせたネタを披露。ライブやYouTube チャンネル「桜花の頂きマウンテン」でみんなを笑顔にしている。
Instagram @mountainohka/Twitter @FANTASICOHKA

登山とダジャレのかけ合わせで築いてきた、 桜花さんならではのポジション

記念すべき「偏愛ハイカー」の1人目に選出させていただいたのは、山登り大好き芸人こと桜花さん。出会いは3年以上前のこと。結論からいえば、ここ数年で彼女のダジャレ・エンジンはますます磨かれて高速化している。呼吸以上のリズムで口から飛び出すダジャレの数々は見事としか言いようがない。こういう道を仕事として成立させた桜花さんを、僕はただただリスペクトしている。
いまの「山登り大好き芸人」を名乗る経緯についてインタビューをしているあいだ、いくつかの質問をした。それにすらダジャレ混じりで返してくれる。この新コーナーの趣旨をばっちり理解してくれていて、感無量だ。ところが、最初はおもしろがってついていった桜花ワールドに、僕は途中から追いつけなくなってしまった。おもしろくないのではない、圧倒的すぎて処理できなくなったのだ。さすがはダジャレ・クリエイターである。
反応が薄くなったことを悟られてはガッカリさせてしまうとそのことを素直に伝えたところ、すかさず「おやまあ(お山)」と返ってくる始末。完敗だ。続けて「みんなだいたいそうなるんですよねー」とノーダジャレで返され、僕はちょっと反省したのだった。これはもう、チョモランマ級のごめんなさいである。

Photo/Ouka 桜花 
「2 泊3 日の北アルプス縦走は出会いあり、再会あり、絶景ありで最高でした(上)! 尾瀬の山小屋でアルバイトも経験。みんなも尾瀬、いこおぜ~! ( 下右) 初体験のアイスクライミング! 氷のすごさにこおりゃ、参った!(下左)です」

山×ダジャレ芸の道をきりひらくパワーの源泉、家庭環境にあり

いまや「山×ダジャレ」というかけ合わせで、独自のポジションを築いている桜花さん。そもそもダジャレに目覚めたのは、ものごころのついた幼少期だったそうだ。その理由は、最高にリスペクトしているお父さんにある。一家の長が相当なダジャレ好きだそうで、自然と英才教育を受ける形になっていたわけだ。しかも父、山好きときた。山好きでダジャレ好き……。これはもう桜花さんそのものではないか!
影響を与えた身近な人物は、まだいる。大好きだったおばあちゃんの存在だ。その近くに宝登山があったことから、いまでは桜花さんのホームマウンテンのひとつだし、絵を描くことが大好きだったお姉ちゃんといっしょに〝ライブでどんどん展開していくマンガ〞なる遊びを発明して遊んでいたことは、美術工芸を学ぶ短大時代へとつながった。現在の持ちネタのひとつ『山登りあるある』のお手製紙芝居は、まさしくその遊びの賜物だといっていいだろう。まじで絵がうまい。

仕事というと、社会に出るために何かを学んで活かすという発想になるけれど、桜花さんの場合は子どものころに夢中になったことや好きだったことが、そのままいまの仕事につながっているわけだ。これってすごい幸せなことだと思ういっぽうで、好きな仕事を続けるため決断や裏側の努力があることは、容易に想像することができる。それでも彼女は「人生を謳歌しちゃおうか!」といって笑う。桜花さんだけに。
で、そんな桜花さん、山に行くきっかけになる出来事が、芸人デビューした直後にあったそうだ。それが富士山に登ったこと。もともと部活でバスケ(それもかなり厳しい強豪校)に励んで培った脚力が、ここで存分に発揮されることになる。そのときに日本一高い頂に立った事実と、そこで目にした光景に感動して、以降の彼女はますます山へと導かれた。
そんなわけで、短大への進学を「いってよかっタンダイ!」と胸を張る。そうだね、間違いないね!

山のこと 笑いを交えて ひょうきんに(俳句でハイク)

ところで、桜花さんと歩いた秩父は長瀞の宝登山について触れておきたい。関東圏のハイカーにはおなじみの低山である。いまは宝の登山と書いて「ほどさん」と読むけれど、そのむか しは「火(ほ)・止(と)」の山だったそうだ。これは、日本武尊が遭遇した山火事を、たくさんの狼が現れて踏み消したという伝説が由来だと、ふもとの宝登山神社に伝わる。山頂に鎮座する宝登山神社奥宮の前で狛オオカミが出迎えてくれるのは、そういった背景。
宝登山は標高497mながら、秩父を一望する絶景の山でもある。広い山頂の南面に広がる蝋梅で有名だから、登ったことがあるというランドネ読者もいることだろう。ほかに福寿草、まんさくの花、梅に桜にと、花の美しさは秩父でも随一。山頂の下までロープウェイがあるので、登りか下りで利用すれば、山の上ですごす時間をたっぷりとることもできる。その意味で、たとえば軽めの運動で山の空気に触れたい、久しぶりの登山だったり、ケガや病気のあとのリハビリハイクをしたいといった人にもおすすめ。熟練者なら、重い荷物を背負ったトレーニングにもいいだろう。

桜花さんと登ったのは、3月初旬のおだやかな晴れの日だった。最盛期をすぎたと思って期待していなかった蝋梅が意外と咲いていたため、山頂で鮮やかな黄色を目撃したときは、おたがいテンションがあがったのはいうまでもない。梅や福寿草が見ごろを迎えていたこともうれしかった。これから新緑を迎える宝登山だけど、何度歩いてもいい山だと、ぼくも思っている。
そうそう、桜花さんの山へのこだわりは「急に決める」ことだそうだ。前もって計画することもあるけれど、いっしょに行く山仲間を先に決めてから山を選んでいる。ここをホームマウンテンのひとつと話す桜花さんのことだから、もしかしたら急に思い立って宝登山を歩く日があるかもしれない。そんなときは、会えたら「ハピピーン!」だし、会えなかったら「ガビボーン!」だ。これさえ覚えておけば、桜花さんは高速回転でダジャレを返してくれるに違いない。

▲じつはプライベートでも山をごいっしょしたことがある桜花さん。気がつけばカメラを出して動画撮影。この日の道中の様子も、Youtubeチャンネルにアップされるかも!?ちょっと油断してたかも……

低山トラベラー、山旅文筆家
大内征(おおうち・せい)

歴史や文化をたどって日本各地の低山を歩き、ローカルハイクの魅力を探究。NHKラジオ深夜便、LuckyFM茨城放送に出演中。著書に『低山トラベル』など。ライフワークは熊野古道

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PROFILE

大内征

ランドネ / 低山トラベラー、山旅文筆家

大内征

歴史や文化をたどって日本各地の低山を歩き、ローカルハイクの魅力を探究。NHKラジオ深夜便、LuckyFM茨城放送に出演中。著書に『低山トラベル』など。ライフワークは熊野古道。

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