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イラストエッセイスト・松鳥むうの「山のふもとのゲストハウス案内」#17 シェアハウスMYA(山形県酒田市)

その土地の暮らしに寄り添いながら、訪れた旅人を優しく迎え入れてくれる宿、ゲストハウス。全国各地に点在するゲストハウスを100軒以上訪ねてきた、イラストエッセイストの松鳥むうさんが、山歩きの拠点にもおすすめのゲストハウスを紹介する連載。17軒目は、山形県・酒田市の離島にある、美しい自然に囲まれた宿「シェアハウスMYA」です。

鳥海山と朝日のシャワーで目覚める朝

▲「シェアハウスMYA」の1日のはじまり

空が次第に白むころ。静かな海辺が「ミャー、ミャー」と賑わいを増しはじめる。それにつられ、布団からのそのそと這い出し、部屋のカーテンをそっと開ける。と、そこには、まるで空一面に描かれた絵画のように、山裾までしっかりとキレイに佇む山がひとつ。出羽富士とも呼ばれる鳥海山だ。ほどなくして、その背後から、オレンジ色だの黄色だの入り混じった光のシャワーがあたり一面をキラキラと照らし始め、まばゆい朝日が顔を出した。「ミャー、ミャー」と鳴くウミネコたちの影が海辺に見える。この景色が日常だなんて、なんて贅沢が過ぎる島なんだろう。

▲「巨木の森」は、躍動感あふれる樹々と渡り鳥たちのパラダイス

ここは、山形県の有人離島・飛島にある宿「シェアハウスMYA」。ウミネコの声があふれる場所だから、宿名は「MYA」。日頃、朝に弱すぎる私には「ミャー、ミャー」が、もはや天然目覚まし時計だった。

宿なのに「シェアハウス」と名が付いているのには理由がある。ここは、1泊~数泊の宿泊はもちろんのこと、1か月からの賃貸や団体での1棟貸しもウェルカムなのだ。ちなみに、春と秋には、珍しい渡り鳥があれやこれやとやって来る飛島は、その時期、1か月ぐらい滞在するバードウォッチャーもいる。

▲もともと建築会社の寮だった建物をリノベーションした「MYA」。なので、廊下もお風呂も、広々!

生まれ育った大好きな飛島で、ふたたび!

宿での食事は、「シェアハウスMYA」のキッチンで自炊が可能だが、食事を頼むこともできる。島内の別の宿「沢口旅館」でお世話になる形だ。変わった仕組みっぽく思えるが、「シェアハウスMYA」も「沢口旅館」も「合同会社とびしま」が運営しており、そのメンバーの渡部陽子さんが、両宿の女将を担当しているからだ。

平均年齢71歳のこの島で、30歳代の陽子さんは、若すぎるほどの若手だ。Iターン者かと思いきや、なんと、生まれも育ちも根っからの飛島っ子。
「飛島が大好きで、いつか帰りたいと思っていた」
と、Uターンして来たのである。

▲ある日の「沢口旅館」の夕ごはん。右下のデザートは、このあたりの名物「庄内柿」

「MYA」の本棚に東北の刺し子の本があった。
「飛島にも、ワカメ柄とか島独特の刺し子があるんですよ!」と、陽子さん。
「今も、刺し子をする90歳代のおばあちゃんが一人いて、"これ使いな"って言ってノートパソコンを入れる刺し子を施した袋をくれたんです。本人はノートパソコンなんて使わないのに、私たちが使っているのをちゃんと見てくれてるんですよね」

▲90歳代のおばあちゃん作の刺し子。作っては、人にプレゼントするのだそう

「自分が子どもの頃のような、活気のある飛島をふたたび!」
そんな想いで戻って来たのは、陽子さんだけではない。陽子さんと同年代の「合同会社とびしま」の社長もそうだ。また、「合同会社とびしま」のメンバーには、全国各地からIターンでやって来た20~30代の人もいる。
「MYA」に3泊しただけなのに、すっかりそのメンバーさんたちとご近所さんかのような感じになってしまうのは、人口約170人、周囲10.2kmという小さな離島だからこそ。

▲私が泊まった部屋は、ソファーがベッドに変身!

日本海に浮かぶ絶海の孤島で、住むように泊まってみる。あなたの山旅の1ページに、そんな数日が刻まれてもいいかもしれない。

シェアハウスMYA

https://www.share-mya.com/

宿泊料金:(すべて素泊まり/食事は別途料金必要)
◎個人利用
・基本プラン 1名利用時 5,000円/名/泊、2名利用時 4,500円/名/泊
・長期滞在プラン(7泊~) 1名利用時 4,500円/名/泊、2名利用時 4,050円/名/泊

◎団体利用
・1棟貸切プラン 50,000円/棟/泊

◎賃貸プラン(定期建物賃貸借契約)
・1名利用時&2名利用時 月額80,000円/部屋
※月単位で賃貸契約を希望される方は、要問合せ

◎子供料金
小学生:20%割引、幼児(3〜6歳):50%割引、乳児:80%割引

連絡先&予約:
LINE ID 「@tobishima_mya」

シェアハウスMYAを拠点に歩きたい、柏木山

やまがた百名山のなかでもっとも標高の低い柏木山(58m)。ハヤブサが営巣し、トビシマカンゾウやハイビャクシの自生地として、酒田市の天然記念物に指定されている。とびしまマリンプラザから海岸遊歩道を通り、ぐるりと周遊するコース(コースタイム約40分)を選べば、マンモスに似た形の奇岩や、パワースポットとしても人気の賽の河原など、海や山、岩など、バリエーション豊かな風景が楽しめる。

松鳥むう(まつとり むう)

イラストエッセイスト。離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。訪れた日本の島は118島。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島かいてーばん』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島かいてーばん』(スタンダーズ)、『ちょこ旅瀬戸内』(アスペクト)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『あちこち島ごはん』(芳文社)、『おばあちゃんとわたし』(方丈社)、『島好き最後の聖地 トカラ列島 秘境さんぽ』(西日本出版社)、『初めてのひとり旅』(エイ出版社)等。最新刊は『むう風土記~ごはんで紐解く日本の民俗・ならわし再発見録~』(A&F)。

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Instagram @muumatutori

Twitter @muumatutor

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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