Keishi Tanaka「月と眠る」#26 渋滞と無縁の登山計画
Keishi Tanaka
- 2023年06月23日
ランドネ本誌で連載を続けるミュージシャンのKeishi Tanakaさん。2019年春から、連載のシーズン2として「月と眠る」をスタート。ここでは誌面には載らなかった当日のようすを、本人の言葉と写真でお届けします。
Keishi Tanakaさんの連載が掲載されている最新号は、こちら!
>>>『ランドネNo.130 7月号』
渋滞と無縁の登山計画
少し時間が経ってしまったが、今年のゴールデンウィークに登った山のことを書いておこうと思う。本誌でも触れたとおり、渋滞を避けて休日を楽しむことが、今回の山登りの動機と言って良い。どのように都心を離れて、どのようなルートで歩いたかを書き記しておくので、これを読んでくれたあなたの次の休日の参考になればうれしい。
渋滞を避けるために、今回は電車とバスを使った移動で登山口を目指す。都心からの場合、JR中央線、もしくは京王線を利用して、高尾駅で下車。北口改札から出るとすぐにバスのロータリーがあるので、小仏行きのバスに乗る。今回はゴールデンウィークということもあり、長い列を作っていたが、増便をしてくれていたので予定通りのバスに乗ることができた。
小仏バス停を降りるとすぐにトイレがあり、横を見るとすでに登山道かのような案内も発見。ほぼ登山客用のバス停となっているようだ。
今回は景信山まで登り、小仏峠、城山を歩いて、高尾山まで縦走するコース。ここから10分ほど舗装の道路を歩くとすぐに本格的な登山道に入る。
地面がコンクリートから土に変わると、俄然やる気が湧いてくる。呼吸をするだけで気持ちが良い。そして上を見ると……。
天気にも恵まれ、初夏の匂い漂うなかでの最高の山登り。普段の忙しさを忘れる時間。とても大切で贅沢なことのように感じる。
1時間ほど森を歩くと景信山の山頂に着いた。見晴らしもよく、ベンチやテーブルも広々として気持ちの良い空間。「頂上景信茶屋青木」という暖簾がかかる小屋もすてきだ。
今回はカップラーメンとおにぎりを持ってきている。そもそも昼ごはんにはまだ早い時間。にも関わらず、ついつい注文してしまうのが山小屋マジックとも言える。なかなか来れない場所だからこそ、気になったものは食べておくべし。
予定よりたっぷりと休憩を楽しんだあとは、再び森のなかへ。その道の先には富士山が見えた。
ここからは大きな登りや下りではない。結果的には最初の景信山までが登りで、あとは景色を楽しみながらゆっくり歩ける印象。体力に自信がない人にもおすすめのルートである。
あとで見返すと、今回は足元の写真を多く撮っていた。人の手で作ることは難しい光の揺れ方など、美しいと思うポイントやタイミングは山を登るたびに違う。それが自然のなかに入る理由なのかもしれない。
景信山の山頂から歩くこと1時間、次の休憩スポットに到着。ここで改めて昼食をとる。写真にはないが、お湯を沸かし、世界一美味しいカップラーメンを食べた。ほかの山を思い出したりもした。さらにビールも注文。このあとのルートや自分の体力とも相談する必要はもちろんあるが、ご褒美のビールが少し早めに飲めてしまうのも低山ならではのこと。アルプス級の登山の場合、山小屋やテントに泊まるならば話は別だが、日帰りではあまりお酒はおすすめめできない。下山してからの楽しみにとっておこう。
こちらも名物と書いてあったので。疲れた体に甘いものが沁みる。
再び歩き出し、40分ほどで高尾山の山頂に到着。少し前から聞こえてきた多くの人の声で、現実世界に戻された感覚もあった。しかし、歩いてきた森のなかも紛れもない現実。やはりどちらも知ることに意味があると感じる。賑やかで楽しい笑い声も、静かじゃないと聞こえない葉っぱが擦れ合う音も、結局はどちらも心地よい。
休憩も入れて、トータルで4時間ほどの山登りがここで終了。帰りは、行きとは別の京王線高尾山口駅から帰ることになるのだが、周りには土産屋や温泉もあり、さらにはコーヒーやクラフトビールを楽しむこともできる。そこまで含めて、渋滞と無縁の休日の過ごし方、いつかの機会にぜひ。
★今月のニューフェイス!
TokyoCamp/焚き火台
4,980円
今回の山登りには新しいギアがなかったので、ここでは最近手に入れた新しい焚き火台を紹介。ガレージブランド「TokyoCamp」の焚き火台は、おしゃれなのはもちろん、軽さや燃焼効率、さらには五徳の高さなど、使いやすさ的にも◎。価格も含め、ソロからふたりくらいまでのキャンプにおすすめ。
〇Keishi Tanaka
1982年11月3日、北海道生まれ。ミュージシャン。作詞家。作曲家。Riddim Saunterを解散後、2012年よりソロ活動をスタート。ライブハウスや野外フェスでのバンドセットから、ホールやBillboardでの11人編成ビッグバンド、さらには小さなカフェでの弾き語りなど、場所や聴く人を限定しないスタイルで年間100本前後のライブを続けている。最近はV6への楽曲提供が話題となる。5枚目のアルバム「Chase Aftrer」をリリース。
Keishi Tanaka Official Site
https://keishitanaka.com
SHARE
PROFILE
ランドネ / ミュージシャン
Keishi Tanaka
1982年11月3日 北海道生まれ。ミュージシャン。弾き語りから大所帯のバンドセットまで、観る人や場所を限定せずに活躍中。V6などへの楽曲提供、CM音楽の制作を行うほか、趣味を活かしたアウトドア分野での活動・執筆にも注目が集まっている。 https://keishitanaka.com/
1982年11月3日 北海道生まれ。ミュージシャン。弾き語りから大所帯のバンドセットまで、観る人や場所を限定せずに活躍中。V6などへの楽曲提供、CM音楽の制作を行うほか、趣味を活かしたアウトドア分野での活動・執筆にも注目が集まっている。 https://keishitanaka.com/