【いつか泊まりたい山小屋#38 北アルプス・冷泉小屋】登る人も登らない人も楽しめる、新しい山小屋を
ランドネ 編集部
- 2023年07月03日
「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。38軒目は、北アルプス南端に聳える山、乗鞍岳の中腹に建つ冷泉小屋をピックアップ。
長い間休業していた山小屋がアップデートして再開
北アルプスの乗鞍岳といえば、長野県側からも岐阜県側からも山頂付近にある畳平までバスでアクセスでき、登山初心者も数多く訪れている山だ。そして冷泉小屋は、長野県側の乗鞍高原から畳平へ向かう道、乗鞍エコーライン沿いに建つ。じつは16年ものあいだ休業していたが、新オーナーの村田夫妻がこの山小屋を受け継いでリノベーションをし、2022年夏に新生・冷泉小屋として生まれ変わった。
山小屋から一番近い乗鞍岳は山頂付近へのアクセスに恵まれているため、冷泉小屋は多くの山小屋に求められる“避難小屋”としての役割が少ない。いっぽう、ヒルクライムを目的に多くのサイクリストが通過すること、バス停が山小屋のすぐとなりにあることなどこの立地ならではのニーズがあるため、「登る人も登らない人も楽しめる場所」をコンセプトに据えて、山小屋での滞在そのものが旅の目的になるようなサービスを打ち出している。
山小屋オーナーこだわりのグルメやドリンクにご注目
冷泉小屋の宿泊プランには素泊まりがなく、1泊朝食付のみ。夜の飲食は別注文というシステムだ。村田夫妻ともにグルメ&お酒好きということで、手作りのおつまみをアラカルトで注文でき、お酒もビール、サワー、ウィスキー、ワイン、ジン、ブランデーと充実の品揃え。なかでもワインの種類が多く、赤ワインや白ワインに加えて、スパークリングワイン、オレンジワインなどもいただける。山小屋の夜をできるだけ長く楽しんでほしいというふたりの想いから、ダイニングは消灯時間がないのもうれしいところだ。
ノンアルコールのドリンクも、乗鞍高原で自家焙煎している豆を使ったドリップコーヒーや、長野県のワイナリーから仕入れた濃厚なりんごジュース、持久力スポーツ向けに開発されたクラフトコーラなど、オーナー夫妻によって厳選されたものが充実。日没後、窓の外に広がる乗鞍高原の夜景を眺めながら、おいしいひとときを楽しもう。
山小屋から目指すおすすめルート【冷泉小屋~乗鞍岳(剣ヶ峰) 片道約3時間】
冷泉小屋から目指すなら、やはり乗鞍岳がおすすめだ。冷泉小屋の脇のバス停からバスに乗って畳平まで行けば、乗鞍岳の最高峰、標高3,026mの剣ヶ峰まで片道1時間半ほどでたどり着くことができる。物足りない人には、冷泉小屋から歩いて登るという選択肢も。舗装路が畳平まで続く乗鞍エコーラインをそのまま登るもよし、舗装路をショートカットしながら尾根に出る登山道を歩くもよし。登山道の場合、剣ヶ峰まで登るには肩ノ小屋経由で片道約3時間かかる。
一等三角点や乗鞍本宮の奥宮がある剣ヶ峰は眺望抜群で、北に槍穂高、東に八ヶ岳、南に御嶽山や中央アルプスと、周囲の3,000m級の山々を見渡せる。山頂はそれほど広くないので、景色をゆっくり堪能したい人は平日を狙って登りに行こう。
宿泊プランやグルメに加えて、ゼロカーボンなエネルギーを採用するなど従来の山小屋にはなかったスタイルを打ち出している冷泉小屋。バスを利用すれば一歩も歩かずにたどり着けるうえ、冷泉を沸かしたお風呂もあるので、登山未経験の人でも快適で新鮮な滞在が楽しめること間違いなし。
冷泉小屋
https://reisenhutte.mystrikingly.com/
・標高:2,100m
・営業期間:7月1日~10月22日 毎週金土日 ※最終日は積雪の状況次第で変更の可能性あり。
・宿泊料金(税込):【個室】1泊朝食22,000円~(2名)/【相部屋】1泊朝食13,200円(1名) ※夕食・飲料は別料金(アラカルトにて提供)
・問い合わせ先:reisenhutteguest@gmail.com
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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