四角友里のにっぽん“食”名山#17「北アルプス・鏡平山荘のかき氷」
ランドネ 編集部
- 2023年08月03日
一つひとつの「食」から、山の時間や会話が蘇り、歩くだけでは気づけないとても大切なことを教わります。そんな心に残る山の食べものを四季折々の楽しみとともに綴るエッセイ連載です。
槍ヶ岳を眺められる標高2,300mのかき氷処へ
新穂高温泉から双六岳までのコースタイムは約8時間半。途中、5時間ちょっとの地点にある鏡平山荘を越えると一気に眺望が開け、西穂高岳から奥穂高岳、槍ヶ岳へ続く稜線が並走してくれ、疲れが吹き飛ぶのですが、そこまでがいかんせん長い道のり。私はついつい一心不乱に歩いてしまいます。ただ、集中しているのには別な理由も。鏡平山荘で休息をとり、標高2,300mの場所でかき氷を食べたいから。汗をかきながら、「鏡平山荘で絶対、かき氷を食べるぞ!」と乗り切るんです。
鏡平山荘のかき氷に使われているのは、ふもとの氷屋さんから仕入れ、ヘリコプターを使って空輸された貴重な氷。シロップの種類も豊富で、練乳も追加できますが、槍ヶ岳の景色がなによりも最高のトッピング。槍ヶ岳の穂先を眺めながら、かき氷を口にできるなんて!山の上なので、食べているうちに汗が冷えて「ブルっ、寒いっ」となりがちですが、それでも必ず食べてしまう一品(……しかも、行きと帰りで2回も)。お祭りに来て、かき氷を食べずにいられないような”ハレの日“の気分にさせてくれる、展望が日本一のかき氷です。
四角友里
「山スカート」を日本に広めた女子登山ブームの火付け役。講演や執筆、山ウエア・ギアの企画開発に携わる。日本全国の山を旅しながら、土地の食や文化を味わうのがライフワーク。
Instagram:@yuri_yosumi
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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