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【いつか泊まりたい山小屋#39 霧ヶ峰・ヒュッテ ジャヴェル】多くのハイカーや文化人が訪れている高原のサロン

「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。39軒目は、霧ヶ峰高原でもっとも長い歴史をもつ、ヒュッテ ジャヴェルをピックアップ。

霧ヶ峰高原に魅せられた文化人が訪れた場所

▲ヒュッテ ジャヴェルは、木々に囲まれた静かな場所に佇む。手彫りの木の看板が目印に。

八ヶ岳と美ヶ原高原のあいだに位置する霧ヶ峰高原は、1万年以上前に起こった火山活動によって形成された3つの高層湿原が点在する美しい場所で、昔から多くの人々を惹きつけてきた。この霧ヶ峰高原のほぼ中央にある沢渡に建つ、霧ヶ峰高原でもっとも歴史ある山小屋がヒュッテ ジャヴェルだ。

ヒュッテ ジャヴェルの創業は1952年。「ジャヴェル」という名前は自然や音楽を愛した詩人、尾崎喜八氏によって命名されたもので、フランスの登山家エミール・ジャヴェルが由来だそう。現在は、2代目主人となる髙橋保夫さんと妻の早智子さんがこの山小屋を切り盛りしている。

ヒュッテ ジャヴェルでは近年まで、芸術や文学、自然科学など山と関わりのある分野を参加者同士で培い愉しむ会「霧ヶ峰 山の會」が行われていた。またこの山小屋には、霧ヶ峰高原に魅せられた詩人や自然愛好者、音楽家が訪れてきたという歴史もある。滞在すればきっと、ここを訪れた文化人たちの気配を感じられるだろう。

▲60年以上、ふたりでヒュッテ ジャヴェルを営んでいる髙橋夫妻。
▲保夫さんが描いた霧ヶ峰の原風景のスケッチ。本棚には、いまや絶版となっている山の名著がずらりと並ぶ。

ヒュッテ ジャヴェルの過ごし方

▲大きな窓から光が射し込む食堂は、松本民芸家具のテーブルやイス、海外の山のタペストリーなどがある味わい深い空間だ。

森に囲まれた静かな環境にあるヒュッテ ジャヴェルでは、山小屋周辺を散策したり、窓辺に座って鳥の声に耳を澄ましたり、薪ストーブを囲んで話をしたり、山の本を読み耽ったりするなど、自分のペースで山岳文化を味わうのが楽しい過ごし方。

タイミングが合えばぜひ、長いあいだこの山小屋を守り続けてきた髙橋夫妻と話をしてみてほしい。ご主人が感じている霧ヶ峰高原の魅力、これまで出会ってきた宿泊客とのエピソードなどを伺うことができれば、よりいっそう豊かな滞在になるはずだ。

▲ヒュッテ ジャヴェルの喫茶営業では、保夫さんが中部ドイツ・ヴォルフハーゲンのピザ職人から学んだという本格ピザが、1日8食限定でいただける(要予約)。深井戸から汲んだ水で淹れたコーヒーもおすすめ。
▲13部屋ある客室はすべて和室で、じゅういち、うそ、あかげら、かっこうなど、鳥の名前がつけられている。
▲先代がデザインしたというエンブレム風マークのピンバッチは、山小屋で購入可能。

山小屋から目指すおすすめルート【ヒュッテ ジャヴェル~八島ヶ原湿原 片道約40分】

▲総面積43.2haの八島ヶ原湿原。18種ものミズゴケが生息している。秋になると、金色のススキ、赤や黄の紅葉が彩りを添える。冬の雪原もすばらしい。

山小屋の西側にある八島ヶ原湿原は、霧ヶ峰高原にある3つの高層湿原のひとつ。1周約3.7kmで、高低差は少なく、道もそのほとんどが木道なので、とても歩きやすいのが特徴だ。ヒュッテ ジャヴェルから八島ヶ原湿原の南東部の起点、諏訪神社まで片道約40分。そこからぐるりと一周する場合、1時間約30分で歩くことができる。

山小屋を拠点に、湿原を取り囲むなだらかな山並み、湿原のなかに点在する池塘や夏に咲き誇る高山植物など、刻々と表情を変える湿原の風景をじっくり観察しながら歩いてみよう。

▲八島ヶ原湿原には、鏡のような池塘が点在している。霧がかかると、より幻想的な雰囲気に。

ふもとからビーナスラインが延びているため、車やバスで気軽にアクセスできる霧ヶ峰高原。日帰りでも楽しめるが、それではもったいないということをヒュッテ ジャヴェルは教えてくれる。見たい景色がある季節に、時間をたっぷり作って出かけてみて。

ヒュッテ ジャヴェル
・標高:1,660m
・営業期間:通年
・宿泊料金(税込):1泊2食11,000円(1名) ※2名、3名以上の利用で割引料金あり。
・電話番号:0266-58-5205

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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