富士山とおなじご利益あり！全国の富士塚に登る【#12 護国寺音羽富士】

登れば本物の富士山を登ったときとおなじご利益があるとも言われている富士塚に、地図好き芸人・小林知之さんが参拝。みなさんの抱える悩みやモヤモヤを、山の頂に届けてくれます！

お寺の中にある富士塚に登る

8月8日は何の日でしょう？みなさん思い出してみてください、何がありましたか？

僕は、ふもとっぱらキャンプ場で開催されたアウトドアイベント「フィールアース」から帰ってきて、火照った体を冷やし休めながら、荷物の整理をしていました。そんな8月8日は「立秋」、暦の上では秋の始まりです。

わかりますわかります。いくらなんでも早すぎだろう。たとえだいぶ昔に作られたとはいえ、いくらなんでも早すぎだろうと。そうでしょう、そうでしょう。安心してください。さすがにこの日からではありません。8月８日～２２日までの期間が立秋です。ここで秋への整えをしてください。

22日といえば、僕は充電がなくなってしまった電動自転車で、娘を３駅離れた眼科に連れていき、汗だくクタクタになり、ほかの病院に入り込もうかと思っていた、あの２２日です。準備も何も、秋の足音どころか気配も匂いも感じ取れていません。そもそも秋って来るのかしら？そんなふうに思っていました。でもこんなふうに感じていたのは、僕だけじゃなかったみたいです。今回はそんなお便りです。

【お便りいただいたＲさんのお悩み】
「季節の変わり目を感じられないまま、夏が終わってしまいそうです」

「護国寺音羽富士」で悩みを成就

今回は地下鉄有楽町線・護国寺駅目の前。護国寺境内にある音羽富士に悩みを聞いてもらおうと思います。
この音羽富士は、標高およそ７ｍ。その歴史は古く、200年以上前に築かれた姿のまま現存しており、江戸八富士のひとつに数えられる名富士塚なのです。

一合目の石碑をすぎるとすぐに、御胎内（おたいない）と呼ばれる、富士山信仰に欠かせない石碑が建てられています。頂上には、小さいながらも「浅間神社」と書かれた石柱と祠があります。そんな音羽富士からＲさんへのアドバイス

「季節が来る時代は終わった！自ら感じに行け！」

じつは、音羽富士は都内で唯一の富士塚なのです。

「護国寺境内にある音羽富士」。これを聞いただけで違和感を感じた方は、ピンと来てるのではないでしょうか。富士塚というのは、富士山を信仰している「富士信仰」という山岳信仰のひとつです。富士山山頂にある浅間大社、ここが総本山となり、全国に1,300以上もの浅間神社ができ、その境内にあるのが一般的です。中には氷川神社や鳩森神社にもありますが、それでも神社にあるのが一般的です。

しかしこの音羽富士は護国寺、お寺の中にあるのです。

都内で唯一お寺の境内にある珍しい富士塚なのです。神社にあるだけが富士塚じゃないのです。お寺にあっても、富士山を感じようと思えば、富士総本山じゃなくとも、浅間神社じゃなくとも、「感じに」出向けばいいのです。365日登ることのできる貴重な富士塚、ぜひぜひ目指してみてください。

プロフィール／小林知之
太田プロダクション所属の芸人。芸人といいながら日本大学地理学科で学んだ地理好きスキルを使って、地図会社で働いたり、国土地理院で地図の講習をしたり、国旗の本を出したりと、謎のWワークをする二児の父。芸人としては竜兵会所属、コント中心のおもに「つっこみ」と呼ばれる役割を担っている。
Instagram：@cobayashitomo