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使うことでより自然の豊かさを感じられる器|山のそばでものづくりvol.16「ivory+」安藤由紀さん

山のそばに拠点を置き、山の恩恵を受けながらものづくりをする人々に注目する本連載。今回は、木工作家の安藤由紀さんにお話を伺いました。

プロフィール

安藤由紀さん

東京都出身。武蔵野美術大学卒業。都内の家具ブランドで販売を経験した後、上松技術専門校で木工芸を学ぶ。徳島県の工房「テーブル工房kiki」で5 年間働き、2009 年に独立。

https://ivory-plus.jimdofree.com

 

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草木染めを始めたのは、木工を続けるためだった

▲アンティークな家具と、ノミなどの工具、卓上糸鋸盤をはじめとする木工用の機械が揃うアトリエ

木工作家の安藤由紀さんは、霊峰・剣山をはじめ山々に恵まれた徳島県の東部に位置する、のどかな町に工房を構えている。

安藤さんが無垢材を使って制作しているのは、おもに食卓を彩る器や皿などの食器類だ。作品の特徴は、形状も色合いもシンプルながら、手彫りや草木染めによる模様がさりげなく加えられていること。

小誌でおなじみの四角友里さんの愛用品として、その存在を知った人も多いだろう。

▲安藤さんのアトリエの縁側には、製材前、製材後の木材が立てかけられていた。よく使うのはサクラで、そのほかさまざまな種類の樹種を使い分けているそう

「以前お客さまに草木染めの器の工程について、草木を採集したり色を煮出したりするお話をしたら『身近にある植物の世界が、奥行をもって見えるようになった』と言われて、とてもうれしかったことを覚えています」

安藤さんが木で器を作り、草木染めを施すことにこだわっているのは、個性を出すためだけではなく、器をとおして自然の豊かさや木や草の魅力を伝えたいという想いが核にあるからなのだ。

▲染色用 に乾燥させたビワ、ミント、ヒメジオン、ヨモギ。安藤さんはこれらのように、身近な植物で草木染めをすることが多い

そんな安藤さんが器に草木染めを取り入れ始めたのは、2021年秋に手首にリウマチを患ったことがきっかけだったという。「木を深く知れるので、 〝彫り〞はいちばん好きで大事にしていた作業でしたが、リウマチで手が動かせなくなって……。木工を続けるために悩み考えて取り入れたのが、草木染めだったんです」

ビワの葉で赤く染まった鍋のなかを眺めながら、安藤さんは草木染めの楽しさを教えてくれた。「草木染めって奥深いんです。植物によって抽出方法は違うし、採集時期によって色の出方も変わりますから。日々、実験中です」

▲独学で草木染めを始めたという安藤さん。この日はキッチンでビワの葉を煮出していた

ivory+ の商品一覧

①cup

濃さの異なるブラウンの2トーンに仕上げられた、渋い色合いのカップ。シンプルな形状で、コーヒーにも日本茶にも合う。直径9㎝、高さ6 ㎝。6,710円

②beak cup

鳥のくちばし(beak) のようなキュートなフォルムの取っ手がポイント。カラビナや紐を通せる穴があるので、山への携行にも便利。容量160ml。15,000円

③草木染め小鉢

白地にヤシャブシやヨモギの草木染めが模様に入った、入れ子の小鉢。S:直径9.2 ㎝、高さ5
㎝。5,700 円 M:直径10.6 ㎝、高さ5.5 ㎝。7,000 円 L: 直径12㎝、高さ6.5 ㎝。9,000円

④fog tray

霧のなかにいる印象を表現した一枚。皿の表面に手彫りで彫り込まれた模様が、作品の味わい
になっている。木材にはクルミを使用。直径16 ㎝。7,480 円

⑤藍染めプレート

濃い目に染め上げられた藍色が、とくに色味が薄めの料理を際立たせる。fog tray と同様に、皿の表面には手彫りの模様が。直径20 ㎝。16,500 円

⑥ブローチ

右は「藍染rinto ブローチ」、左の2 点は棚田から着想を得たという「草木染めKESHIKI ブローチ」。角度によって見え方が異なる。いずれも4,400 円

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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