富士山の登山ルールを山梨側で改定。オーバーツーリズム対策に向けた新たな取り組みとは?
ランドネ 編集部
- 2024年04月19日
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世界遺産に登録されて以来、訪れる人の数が年々増加している富士山では近年、利用者のマナー違反による環境負荷が増大。とくに夏期の登山シーズンには、山頂付近での過度な混雑の発生や多くの弾丸登山が問題となっています。
そんななか今年の開山日・7月1日から、山梨県側にある富士山吉田口登下山道では、ゲート通過の時間制限や一日あたりの登山者数の上限設定など、登山者へ向けた新たなルールを導入することになりました。
弾丸登山を防ぐため、登山道入口ゲートの通行を制限
山頂からの日の出を見るために、夜間から歩きはじめる登山者が多くいることで、登山道の混雑に加え、安全面での問題が指摘されていました。新ルールでは、5合目の登山道入口にゲートを設け、午後4時~翌日午前3時までのあいだはゲートを閉鎖することに。これにより、山小屋での宿泊が促進されることになるため、登山者一人ひとりが適切な休息場所を確保することができるのではないかと考えられています。
※山小屋に宿泊予約を行なっている方は、時間規則・人数規制関係なく通行可能
登山者数の上限設定が1日あたり4,000人に
いままでは富士山の登山者数における制限を設けていませんでしたが、一日における登山者数の上限を4,000人に設定。登山道の混雑を緩和させることができるため、バックパックの接触における転倒事故などを防ぎ、安心して登山を楽しむことができます。
ゲート通過時に支払い必須となる通行料の導入
今年からは、これまで任意であった富士山保全協力金(1,000円)に加え、新たに通行料2,000円を徴収することに。その通行料は山梨県の施設使用料として位置付けられ、登山者は通行料の支払いが必須。徴収された通行料は、富士登山の安全対策に必要な資金として利用されます。おもに富士山五合目のゲート付近で金額の徴収が行われ、クレジットカードや電子マネーも使用可能となる予定。協力金を支払っていただいた方には木札が贈呈されます。
須走ルートから登り、吉田ルート下山道を利用して山梨県側に下山する場合には、下山時に富士スバルライン六合目、または五合目にて、通行料(2,000円)の支払いが必要です。五合目ゲートを通過せずに、一合目などから頂上へ向かう場合は、六合目で通行料(義務)と協力金(任意)を支払うことになります。
※現金・各種クレジットカード・電子マネー可。天候等の理由により、現金支払いのみとなる可能性もあります。
ルールを守って今年も富士山を楽しもう!
このように山梨県は、富士山の持続可能な観光と環境保全を目指し、今年から新たな登山ルールを導入することになりました。この取り組みによって、オーバーツーリズムによる環境負荷の軽減と、登山者の安全確保を図ることに。新ルールのもとで楽しむ富士山登山は、地域と自然を尊重する「持続可能な観光」の一例として期待されています。
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ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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