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山とセットで訪れたい南加賀のお立ち寄りスポット

巻頭で俳優・松本妃代さんが旅した場所のほかにも、山好きさんに訪れてほしいスポットが盛りだくさん。南加賀エリアにフォーカスして、おすすめを厳選しました。

日本百名山の著者のふるさとで、山の文化に触れる深田久弥山の文化館

▶︎大聖寺城跡近くにひっそりたたずむ。趣ある門のうしろには樹齢650年のイチョウの木。秋は紅葉が美しい

登りを続けていると「日本百名山」という言葉を耳にする人は多いのではないだろうか。「日本百名山」とは、山の文学者である深田久弥が、自身が登頂したことのある日本中の山のなかから選び抜いた100のセレクション。山岳雑誌での連載後に単行本『日本百名山』(新潮社)として刊行され、現在までの60年以上にわたって多くの山好きたちに読み継がれている。

そんなベストセラーの著者である深田久弥の出生地こそが、ここ加賀市大聖寺。生誕100年の記念に「深田久弥 山の文化館」として開設されて以来、22年にわたり地元民のみならず、遠方から登山愛好家たちが訪れる知る人ぞ知る人気スポットとなっている。

建物は、1910年に建てられた絹織物工場の事務所を改築したもので、2002年には国の登録有形文化財に登録。門の外からも見えるほどの大樹は、樹齢650年のイチョウ。長いあいだ人々に大切に守られてきた歴史ある場所で、〝山の文化〞に触れる時間は、自然が好きな人ならだれもが心癒されるはず。

▶︎入り口付近から見た中庭。右奥に見えるのが展示室で、そこへ向かう際に通る渡り廊下からの景色も風情がある
▶︎明治時代に建てられた洋風建築の建物は、照明や建具などを眺めているだけでもおもしろい
▶︎100年前のガラスは現在も現役。全国から寄贈されたという書籍や資料の数々が、図書室に集められている

日本中の山好きたちの〝心〞が集まっているところ

館内には、深田久弥に関する資料をまとめた展示室や、山と自然にまつわる書籍を集めた資料文献室のほか、談話室、カフェスペースなども充実。

ここで事務長を務める大幡裕さんと、ボランティアとして働く真栄隆昭さんも若いころから山を愛する根っからの山男。「この場所の魅力は?」と尋ねると、「日本中の山好きたちの〝心〞が集まっているところです。久弥さんの歴史もそうですが、山を愛する多様な人々の文化が垣間見える場所なんです」と、すてきな答えが返ってきた。日本山岳会に所属し周辺の山々に詳しいスタッフさんたちと、山の会話を楽しむだけでも訪れる価値のあるスポットだ。

▶︎深田久弥 山の文化館サポート員として働く真栄さん(写真右)と、12年間にわたり事務長を務める大幡さん(写真左)

深田久弥の歴史がわかる展示室

深田久弥の略歴はもちろん、手がけた書籍、原稿、登山地図、愛用した道具など遺品を中心に展示。日本百名山を選定する際のもととなった山岳紀行『わが愛する山々』なども寄贈されている。また、深田久弥の生涯をかけた研究テーマといわれるヒマラヤに関する資料も観覧することができる。

▶︎パスポートのコピーを見ると「Kyuya Fukata」の表記。「ふかだ」で親しまれているが、本人は「ふかた」と名乗っていたそう
▶︎昔の地図やジャケットなど貴重な展示品がずらり
▶︎2F 談話室には大幡さんたちが昔愛用していた山道具などを展示。地元の子どもたちがガソリンストーブ体験を行なうことも

くつろぎの空間 聴山房

敷地内の別棟を改修しオープンした「聴山房」は、カフェと多目的スペースを備えたくつろぎの空間。カフェの先にある18畳の広さの和室からは、静かに時を紡いできた日本庭園を眺めながらコーヒーを飲んだり、談笑を楽しんだりすることができる。地元の人たちが作品展の会場として活用するなど、みんなの憩いの場となっている。

▶︎カフェメニューは、コーヒー(300円)、エスプレッソ(300円)、ココア(300円)の3 種。外のテーブルに持っていき、鳥の声を聴きながらいただくのもおすすめ

山にまつわる書籍を収集 資料文献室

2018 年に完成した資料文献室には、山岳の古典や登山技術書、高山植物図鑑、山岳信仰についての書籍まで幅広く収蔵。山岳雑誌のコーナーには『ランドネ』も数冊展示。このスペースは、深田久弥の世田谷区の自宅にあった“本小屋”の名称にちなんで「九山山房」と名づけられている。

海外遠征記録や山岳会誌、部報などマニアックなものまで1 万点を超える書籍・資料を保管。「お昼ごはんを食べたらまた読みにきます」といって一日に二度来場するという人の姿も

 

深田久弥 山の文化館
石川県加賀市大聖寺番場町18-2
TEL. 0761-72-3313
入場料:一般350円、75歳以上170円、高校生以下および障がい者は無料
※団体割引あり
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日:火曜(祝日は開館)、年末年始

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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