
ちっちゃくて可憐、でも気が多い!?「イワウメ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #42

成清 陽
- 2025年01月18日
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登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!
みなさま、あけましておめでとうございます。今年もお花をこき下ろして……もとい、その清楚な魅力をタップリお伝えできるよう、若干のアイロニーをひとつまみ加えながら語りたいと思います。さて、新年トップを飾るのは、やっぱり縁起物!そう考えてみましたら、ぴったりな娘がひとり。だって、松竹梅でしょ?ということで、今回は華やかなお正月を飾るひと花に、ご登場いただきましょう!!
山ノ上ニ居リマス
■Data
イワウメ(イワウメ科)
一般的な花期:7~8月
おもな生育場所:高山帯の岩場
え~いきなり宮沢賢治風(下ノ畑ニ居リマス)のタイトルではございますが、ワタクシ文学はとんと疎くて。ひけらかすような知識はまったくございませんが、このフレーズがなぜかしっくり来ちゃったのは、こちらイワウメの姉さんが、いつもたっかい山に居られるから。ハイ、ご開帳~(幕があき、テンツクテンツク、三味線が鳴り響く)。……と、どこからか読者の横槍が、あっしの脇腹をぶすりぶすり。「これ、梅じゃないじゃん!」って!?
岩ノ間ニ居リマス(訂正)
あ、た、た、たたたた……痛い!これぞまさに、片腹痛し。だって、おっしゃるとおり梅じゃござんせん。でもね、ちょっと聞いてやってくださいよ。こちら、「梅に似ているから」梅って命名されたんですって。じゃあイワは何かって?そりゃアンタ、高山帯といえば岩場と相場が決まってる。だ・か・ら、イワウメってわけ♡ ほ~ら見て、ツボミはたしかに梅そっくりじゃなーい?
わ、ワケアリのご関係?
落語モードからオカマモードに入ってきた本連載、今年もこんな感じで破滅的にお送りします(※注=筆者はしらふです)。さて岩場を彩るこのお花、じつはちょっとしたタレコミがありまして。ツツジの仲間とラブラブなのか、バチバチライバルなのか不明ですが、どーも黒い影がちらり、ほらり。ほらほら、丸くて小さいイワウメの葉を、細長い葉っぱがエスコートしてる……でしょ?こちらイワヒゲさんですが、梅と髭って……なんか明治純情ドロドロ不倫ムードが炸裂中ッ!?
男爵もチェリーボーイもメロメロ♡
この蜜月関係は、八ヶ岳ならホント至るところで見られます。ちなみにこちらの写真でも例外なく、ツツジさまをご同伴。まあ、ツツジの仲間はもともと乾燥した場所&花崗岩が大好きですからな……生育地が被ってしまうんでしょうな……といきなり専門家ぶってみたものの、ときにイワヒゲ(髭男爵)、ときにコメバツガザクラ(チェリーボーイ)と同伴者に不自由ないようで……。Woo、ウラヤマスィーーー!!(※注:欲求不満ライター心の叫び)
じつは私……◯◯なんです!!
はあ、はあ……絶叫が済みましたゆえ、ま、マジメな話題をぉ(息も絶え絶え)。というのも、とっておきのタレコミがあるんです!この葉っぱたち、じつは丸いカタマリ。一枚一枚が茎から出ているワケではなく、ひとつの“幹”からこんもりとした“木”が茂っているイメージ……ということは!そう、イワウメは立派な「樹木」。オトコタチもそりゃ惚れ込んじまうというわけです。え?そうじゃなくて、コメバツガザクラ(♀)とイワウメ(♀)が、髭男爵(♂)を取り合う三角関係だって?その世界線も……超絶イイネ!!!!
さてさて、今回ご紹介してきた、イワウメ。いかがでしたでしょうか?7月中旬、海の日の頃の高山帯を目指さないと出会えない可憐な花ゆえに、こんなドロドロギラギラの記事でいいのか……と提出がはばかられましたが、お正月に酔いしれた懐深い読者なら、きっとお許しいただけるハズ。というわけで、無事の新年一号目となる脱稿を記念して、カンパイします。今年もお付き合いくださいませ♡Cheers!!
それでは、また。
みなさまのココロに、すてきな花が咲き誇りますように。
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