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ちっちゃくて可憐、でも気が多い!?「イワウメ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #42

登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!

みなさま、あけましておめでとうございます。今年もお花をこき下ろして……もとい、その清楚な魅力をタップリお伝えできるよう、若干のアイロニーをひとつまみ加えながら語りたいと思います。さて、新年トップを飾るのは、やっぱり縁起物!そう考えてみましたら、ぴったりな娘がひとり。だって、松竹梅でしょ?ということで、今回は華やかなお正月を飾るひと花に、ご登場いただきましょう!!

山ノ上ニ居リマス

■Data
イワウメ(イワウメ科)
一般的な花期:7~8月
おもな生育場所:高山帯の岩場

え~いきなり宮沢賢治風(下ノ畑ニ居リマス)のタイトルではございますが、ワタクシ文学はとんと疎くて。ひけらかすような知識はまったくございませんが、このフレーズがなぜかしっくり来ちゃったのは、こちらイワウメの姉さんが、いつもたっかい山に居られるから。ハイ、ご開帳~(幕があき、テンツクテンツク、三味線が鳴り響く)。……と、どこからか読者の横槍が、あっしの脇腹をぶすりぶすり。「これ、梅じゃないじゃん!」って!?

岩ノ間ニ居リマス(訂正)

あ、た、た、たたたた……痛い!これぞまさに、片腹痛し。だって、おっしゃるとおり梅じゃござんせん。でもね、ちょっと聞いてやってくださいよ。こちら、「梅に似ているから」梅って命名されたんですって。じゃあイワは何かって?そりゃアンタ、高山帯といえば岩場と相場が決まってる。だ・か・ら、イワウメってわけ♡ ほ~ら見て、ツボミはたしかに梅そっくりじゃなーい?

わ、ワケアリのご関係?

落語モードからオカマモードに入ってきた本連載、今年もこんな感じで破滅的にお送りします(※注=筆者はしらふです)。さて岩場を彩るこのお花、じつはちょっとしたタレコミがありまして。ツツジの仲間とラブラブなのか、バチバチライバルなのか不明ですが、どーも黒い影がちらり、ほらり。ほらほら、丸くて小さいイワウメの葉を、細長い葉っぱがエスコートしてる……でしょ?こちらイワヒゲさんですが、梅と髭って……なんか明治純情ドロドロ不倫ムードが炸裂中ッ!?

男爵もチェリーボーイもメロメロ♡

この蜜月関係は、八ヶ岳ならホント至るところで見られます。ちなみにこちらの写真でも例外なく、ツツジさまをご同伴。まあ、ツツジの仲間はもともと乾燥した場所&花崗岩が大好きですからな……生育地が被ってしまうんでしょうな……といきなり専門家ぶってみたものの、ときにイワヒゲ(髭男爵)、ときにコメバツガザクラ(チェリーボーイ)と同伴者に不自由ないようで……。Woo、ウラヤマスィーーー!!(※注:欲求不満ライター心の叫び)

じつは私……◯◯なんです!!

はあ、はあ……絶叫が済みましたゆえ、ま、マジメな話題をぉ(息も絶え絶え)。というのも、とっておきのタレコミがあるんです!この葉っぱたち、じつは丸いカタマリ。一枚一枚が茎から出ているワケではなく、ひとつの“幹”からこんもりとした“木”が茂っているイメージ……ということは!そう、イワウメは立派な「樹木」。オトコタチもそりゃ惚れ込んじまうというわけです。え?そうじゃなくて、コメバツガザクラ(♀)とイワウメ(♀)が、髭男爵(♂)を取り合う三角関係だって?その世界線も……超絶イイネ!!!!

 

さてさて、今回ご紹介してきた、イワウメ。いかがでしたでしょうか?7月中旬、海の日の頃の高山帯を目指さないと出会えない可憐な花ゆえに、こんなドロドロギラギラの記事でいいのか……と提出がはばかられましたが、お正月に酔いしれた懐深い読者なら、きっとお許しいただけるハズ。というわけで、無事の新年一号目となる脱稿を記念して、カンパイします。今年もお付き合いくださいませ♡Cheers!!

それでは、また。
みなさまのココロに、すてきな花が咲き誇りますように。

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PROFILE

成清 陽

ランドネ / 植物ライター

成清 陽

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

成清 陽の記事一覧

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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