
雪不足とインタープリテーションとミズバショウ|まだ知らない尾瀬ストーリー#03

HagiwaraMai
- 2025年01月22日
“尾瀬”と聞くと思い描く景色はどんなものでしょうか?
「湿原と山と木道」という景色を思い浮かべる方が多いかもしれません。尾瀬はその景色があまりにも有名で、その成り立ちや歴史、その周辺地域のこと、そこに関わる人々のことはほとんど知られていません。じつは尾瀬には感動的なストーリーがいくつもあるのです。
尾瀬をこよなく愛するOze Nature Interpreterの私が、尾瀬のさまざまなストーリーをお届けします!
雪不足とインタープリテーションとミズバショウ
雪不足という言葉を見て、私が思い浮かべることといえばスキー場とミズバショウです。尾瀬のふもとにあるスキー場も、「雪不足のため、営業予定日を遅らせることになりました」「安全な滑走ができない状況と判断し、(予定されていた終了日より前に)営業を終了することになりました」というような発表を毎年することが多くなりました。
バックカントリースキー・スノーボードで雪山を滑る方、雪溶けが進む春から山歩きを始める方、山菜採りをしている方など、自然と接する方々にとって雪の存在は結構身近なのではないでしょうか。
私が愛する尾瀬ではどうかというと、「今年も雪が少なかったねー」という言葉をよく聞くようになりました。そこで気になるのが、植物たちへの影響です。
尾瀬のシーズンは、ゴールデンウィークの少し前に始まります。私はこのシーズンの初日に尾瀬に行ったりするのですが、年々雪が少なくなるうえに、ある場所ではすでにミズバショウが顔を出したりしているのです。
雪不足はとくに都心部などに住んでいると、日常の生活にあまり関係のないことに感じるかもしれません。でも植物たちにとっては(自然のなかで生きる動物たちにとっても)大きな変化だと思ったりするのです。
私がインタープリターとして活動を始めたことの最大の理由に、物事を多角的視点から捉えて考え、そこに隠された背景を知り、気づいたことを普段の生活に活かしてほしいということがあります。自然を愛するみなさんが日々の生活を送るとき、あの山にあるあの植物やあの動物のことを、少しでも考えるようなきっかけづくりをしていきたい。
毎年たくさんの方がミズバショウを見に訪れる尾瀬。ここ最近はツアーの日程に、すでにみなさんが期待するミズバショウの姿ではないことが多くなりました。このようなときにがっかりしてしまいがちなのですが、私は”なぜこのようなことになっているのか、そして私たちは何をしなければならないのか”を、みなさんに考えていただくことも大切なのではないかと思っています(※せっかくツアー代を払ったのに……という方や、念願のミズバショウだったのに……という方には、大変申し訳ないのですが……)。
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PROFILE

ランドネ / Oze Nature Interpreter
HagiwaraMai
尾瀬高校自然環境科の卒業生であり、尾瀬のビジターセンターや山小屋、ガイド団体で働いた経歴をもつ。現在は、尾瀬をこよなく愛するOze Nature Interpreterとして尾瀬とその周辺地域の知られざるストーリーを伝える活動をしている。
尾瀬高校自然環境科の卒業生であり、尾瀬のビジターセンターや山小屋、ガイド団体で働いた経歴をもつ。現在は、尾瀬をこよなく愛するOze Nature Interpreterとして尾瀬とその周辺地域の知られざるストーリーを伝える活動をしている。