
フリースタイル・ヤママッチョアイドル「イワナシ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #43

成清 陽
- 2025年02月14日
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登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!
節分以降は見事に風邪を引き、(豆まきしなかったからか!?)少々寝込む……という低調ぶりだった、今日このごろ。おっかしいなあ、やっぱり熱燗とホットワイン、山行が足りていないから?と振り返っていたりします。そう、そろそろ山シーズンの幕開けですもんね!ということで、今月ご紹介するのは、春の山を彩るちっちゃなお花。前回のイワウメさんに続く、「イワ」つながりのご友人に登壇いただきましょう。
「イワ」に違和感
■Data
イワナシ(ツツジ科)
一般的な花期:5~6月
おもな生育場所:亜高山帯の林床
前回ノリノリでご紹介した、イワウメさん。いやあ、可愛いながら濃ゆいキャラでした(に書きました)。さてさて、今回イワつながりでお呼びしたイワナシさんは、春の尾瀬で最初に覚えたお花、個人的な思い入れがとっても深くって……。花がちっさくて超可憐、葉っぱは硬くて大きいそのアンバランスさに、グッとハートを掴まれちゃったんです。ただし問題がひと~つ。「岩梨って……なぜに“イワ”なんじゃ!」。つまり、岩とはほぼ無縁ってことです!!
岩ノ間ニ居リマセン
さらっとダジャレを流しつつも、ホント命名者のご尊顔が見てみたい。確かに岩(というか石)がそばにあるパターンはありますが、たいていはこうした木の根に抱かれている場所が、カノジョたちのお好みスポット。前回の見出しよろしく、宮沢賢治風に語るなら……“岩ノ間ニ居リマセン”。あえていうなら木ノ間ですが、だからって「木梨」に改名するのもなあ。だって、とんねるずのネタとは、符合しないから……(ソコ悩む?)。
けっこう毛だらけ……
そしてオモロいポイントが、もうひとつ。じつはこのイワナシ、全身毛だらけ。毛がないのは花くらいで、新芽や花柄(注:花を支える柄、かへい。ハナガラ模様ではありません)までけ、ケ、毛。……繰り返しますが、花は超かわいい。なのに、なのに、それなのにぃ~!!なんだか全身ゴツイんです。例えるなら、きれいな女優さんが、脱いだらスゴイ。筋肉のモビルスーツ(古)まとってる!みたいな~ッ?
果実も毛だらけ!
で、お花が終わるとどうなるかと申しますと。実がつくわけですが、予想通り、こちらも毛だらけ……。さらに、ものスゴイ情報が。この果実、なんと梨のように甘いから「ナシ」の名がついたそうなんです。ブルーベリーのほか、山ならクロマメノキに代表されるツツジ科の仲間だけに、たしかにありえる話。しかし、このビジュアルで食べるってキッツくない?というのが個人的な感想。食べたあとの口の中はめっちゃ毛だらけ、ノックダウン必至でしょ!!
それでも「カワイイ!!」
だいぶツッコんでまいりました今回ですが、それでもなお、個人的にはイワナシファンクラブ会長をやめられません。というのは、見かける山で装いが結構異なり、花や葉の色、お顔(花)の長さや花数など、相当バリエーションがあるから。いわゆる「変異」と呼ばれるこの地域変化、ここまで多彩なのも珍しいのでは。愛くるしいお顔に自由な生き方、そしてファイター顔負けのゴツイ体躯……。ということで、フリースタイル・ヤママッチョアイドル(長ッ)に認定しちゃいましょう!!
さてさて、今回ご紹介してきた、イワナシ。いかがでしたでしょうか?前回から流れを引き継ぐかと読者に期待させておいて(されてない?)、今回は結構マジメにお花を語りました(笑)。ちなみにイワナシは、尾瀬や大日ヶ岳、荒島岳などで見かけており、ヤシオツツジ系と仲良しなのかなと……。このあたり、まだまだ経験値が足りませんが、ぜひぜひお気に入りの春山で探してあげてくださいね!!
それでは、また。
みなさまのココロに、すてきな花が咲き誇りますように。
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