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アウトドア好きなわたしたちができるSDGs【#12 渋谷区ふれあい植物センター】

東京・渋谷駅から徒歩10分ほどの場所にある、緑に囲まれたガラス張りの建物。いま日本一小さな植物園として、SNSを中心に注目されている場所です。さらに、ここで育てられているのは「食べられる植物」のみ。都会だからこそ声を大にして伝えたい、食の大切さ。ユニークな取り組みや発信を続ける「農と食の地域拠点」を訪ねました。

渋谷区ふれあい植物センター

  • 住所:渋谷区東2-25-37
  • 電話番号:03-5468-1384
  • 営業時間:10:00~21:00(入館料:100円)
  • 定休日:月曜日(祝日または振替休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)

お話を伺ったのは

齋藤理恵さん
リニューアルオープンスタッフとして2023年7月よりセンター勤務。現在副園長。ハーブについての造詣が深く、地元の小中学校でボランティアの仲間とともにハーブを育てて活用する取り組みを続けている

都会ならではのスタンスで、自然と人をつなぐハブの役割を担う

ーーあらためてセンター誕生の経緯を教えてください。

齋藤 「渋谷区ふれあい植物センター」は2005年に開園した渋谷清掃工場の還元施設です。ゴミ焼却時に発生する熱を利用して発電し、その電気を使って運営する、日本一小さな植物園として親しまれてきました。その後、設備の老朽化に伴い2023年7月にリニューアルし、無事に1周年を迎えました。

▲建物の周りの植え込みにもさまざまな食べられる植物が。写真中央の大きな樹木はオリーブ。直径30㎝ほどの立派な幹をもつ樹は非常に珍しい

ーー都会のど真ん中にありながら、都会とは一見縁遠い農と食についての発信をされています。

齋藤 園内の植物は食べられるものばかりなのも、ほかにはない特徴です。現在は150種類くらい、そのうちハーブが80種類前後。部位はそれぞれですが、すべてなんらかの形で食べられるものです。カカオやコーヒーの木もあって、少量ですが豆の収穫にも成功しました。見るだけじゃなくて、育てて食べる植物を普段の生活に取り入れるヒントを見つけてもらいたいという想いも込めて「農と食の地域拠点」というコンセプトを掲げています。

あえて都会の象徴でもある渋谷から、自然に興味をもってくれる人をひとりでも多く増やすべく、日々活動しています。

ーーSNSで話題のスポットになっていますが、本当に若い世代の来園者が多いですね。

齋藤 2030代の方がとくに多いですね。リニューアル当初は植物が好きな方や昔から来園されている方ばかりで、入園者数もそれほど多くはなかったのですが、一般の方のSNS投稿がきっかけで、若い方や外国からの来園者が増えた気がします。

ーー農と食の発信にこだわる姿勢の根本はなんでしょうか。

齋藤 園長自身は都会で生活をされているので、大きな災害があったときに「食べるものをどう確保したらいいのか」ということに何年も前から危機感を感じていたんですね。だから都会に住みながらも、どうにかして自力で食べものを得ることができないだろうかと考えた末に、渋谷のビルの屋上に畑を作ることを始めた方なんです。

土で育った植物への愛情も深く、食になる前の植物を支える土の大切さも伝えるための「農」なんですね。そしてその想いがここに集う方からさらにいろんな方へつながっていくはずだと、先の先まで考えています。園長の想いを私たちスタッフもうまく代弁できたらと思いつつ、日々変化する植物を相手に試行錯誤しながら楽しんでいます。

▲園内やガーデンではミカンや ライムなどの柑橘類、マンゴーやグアバなどの熱帯果樹を中心に、見て食べて楽しい植物が育っている。水耕栽培室もあり、レタスやルッコラなどのサラダ野菜を育てている

ーー都会で万が一の有事に直面しても「ここには食べられるものがあるから大丈夫」と安心感をもてる場所を増やしたいという考えですね。

齋藤 そうです。そしてすでに渋谷区の中学校の屋上に菜園を作るプロジェクトが進行しています。きっかけは中学生の職場体験授業で、センターにも来ていただいたことです。先生方との授業内容の打ち合わせのなかで、屋上菜園化について興味をもっていただけて話が進みました。学校事業の一環になったら野菜の収穫が日常化するので、災害時にも食料の確保が可能になります。

1校から始まったことが少しずつ周りの学校にも増えていって、全部の学校に広がって、食べものに関しては「私たちは大丈夫」という気持ちがもてたら、毎日を安心してすごすことができると考えています。まずは渋谷から、壮大な夢の一歩をふみ出しているところです。

農業=広大な敷地で行なうものと決めつけず、都会の限られたスペース、コンパクトなサイズで食の循環を見せることで、訪れた方の「自分にもなにかできるかもしれない」という前向きなアクションにつながっていくと思っています。

▲従来の植物園のような広大な平面敷地がなかったことから、立体的なデザインで森羅万象な風景をイメージできるよう設計されたという建物。建築設計の視察に訪れる学生 も多いそう。館内のどの場所から眺めても新鮮な驚きがあり、都会にいながら自然への没入感を楽しめる

ーーとくに注目してもらいたいエリアはありますか。

齋藤 「ファームラボ」です。野菜を水耕栽培していて、カフェのサラダで提供しているレタス類はここで収穫したものです。成長を促すためのライトが幻想的な雰囲気で、写真を撮られる方も多いですね。それから1階中央にある「ミュージックオブプランツ」。ここでは育てている植物たちが奏でる音楽を聴けます。

植物が出している波動(生体電位)を採取してそれを音階へと変換・編集して音楽に昇華し、洞窟のような空間で流しています。2~3種類の植物を合わせた音で、組み合わせもさまざま。穏やかな癒しともちょっと違うのですが、ある意味ヒーリングミュージックになっていると思います。

▲屈まないと入れないほどの穴を潜ると、中では植物が発している波動(超音波の破裂音を音階にして)を編集した音楽を聴くことができる。ヒーリング系ではないけど不思議な気分になること間違いなし。「植物と会話ができるかも」が実感できる空間

ーーカフェのメニューも充実していますね。

齋藤 オリジナルのピザは、千葉の有機栽培の契約農家さんに作っていただいた野菜のペーストをたっぷりのせています。契約農家さんの野菜は週末に1階のスタンドで販売もしていて、野菜目当てで来られる方も増えました。

ディナーメニューにも力を入れていて夜は21時まで営業しています。テーマは新しい形の「ファミレス」。ファミレスというにはちょっとアルコールが多めで(笑)、とくにワインメニューが充実しています。もちろんノンアルコードリンク、ここで採れたハーブを使ったドリンク、オリジナルブレンドのコーヒーもご用意しています。

ーー自然や土に触れてみたいという人におすすめのアクションを教えてください。

齋藤 1階ではコンポストセットや、野菜やハーブの種を小指の先ぐらいのサイズのスプーンに、計り売りで小分けにして、20円とか50円で販売しています。小さなスペースでも気軽に始められます。イベントも毎月1回以上、無料の家庭菜園講座も毎月必ず1回は行なっています。ボランティアさんに園内植物のお世話をしていただく「サタデーファーム」が月2回。ほかにもコーヒーのテイスティングやスパイス講座、区民マルシェなど多彩なワークショップ、講座を開催しています。参加される年齢層も幅広いので、まずは気になった回に申し込んで、土に触れる機会を作っていただければと思います。

▲オリジナルブレンドのコーヒーや、北海道産のスペルト小麦を100%使用したぜいたくな生地に野菜がたっぷり入ったソースのピザ、種類豊富なワインなど、本格的なドリンク&フードが揃う。ディナータイムのプレートも人気。21時まで営業しているので仕事帰りの人も多い

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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