【RIDERS CLUB 500号記念コラムvol.9】 シングルで新しい趣味性を訴えたヤマハ 【KEN’S TALK 特別編】

単気筒、単コロ、シングル……人によって色々な呼び方をする単気筒スポーツというカテゴリーは4気筒やビッグツインとは完全に別世界。シリンダーがひとつというシンプルさは、大型バイクの重量感やパワフルさにダイナミックなコーナリングなどと比べられない次元にありますよネ。速さとかじゃない鼓動感だったり、スリムさを活かした鋭いコーナリングだったり、雰囲気もパフォーマンスも他にないValueの塊です。そういう意味で趣味性が最も高いカテゴリーかも知れません。

そのきっかけの弓を放ったのが、’78年に登場したヤマハSR400/500(’78年10月号)。いまも生産が続く本誌と同い年の、ご存じ超ロングセラーモデルです。オフロード車のエンジンでロードスポーツを誕生させるという、高性能を追究してきたそれまでの日本メーカーにはないアプローチに、多くのファンが心を動かされたのです。ベースのデザインは英国調ノスタルジックでしたが、これをドロップハンドルに改装したシングルレーサー風のカスタマイズなど、これまで様々な可能性が延々と途絶えることなく示されてきているのもシングルのSRならでしょう。

【RIDERS CLUB 500号記念コラムvol.9】 シングルで新しい趣味性を訴えたヤマハ 【KEN’S TALK 特別編】

当のヤマハも’85年にSRX400/600(’85年5月号)で、SRのクラシカルな路線とは別のモダンでセンシティブなスポーツ性をアピールしました。軽快なのに安定感があって、2スト250のレプリカ系に乗ってきたライダーでも納得の、醍醐味あるコーナリングが好評でした。続くモノサスとして全体をリファインした2代目SRX400/600(’90年4月6日号)は、250/400レプリカを寄せ付けないレベルのハンドリングで、その完成度の高さは並大抵ではありませんでした。

【RIDERS CLUB 500号記念コラムvol.9】 シングルで新しい趣味性を訴えたヤマハ 【KEN’S TALK 特別編】

SRXがデビューした同じ時期に、ホンダが遂にこのシングルスポーツへ参入してきました。GB400/500(‘85年9月号)はTTのネーミングを加えた、ヤマハSRと違ってまさにクラブマン・レーサーをイメージしたトラディショナル・デザインという明確さがありました。このイメージをつけ過ぎたところが好まれなかったのか、定評あるホンダのビッグシングルを活かしたダイナミックな走りは感銘モノだったのですが、残念ながら多くのファンを獲得するには至りませんでした。

【RIDERS CLUB 500号記念コラムvol.9】 シングルで新しい趣味性を訴えたヤマハ 【KEN’S TALK 特別編】

それぞれの個性を楽しませてくれたNewシングルたち

このシングルの魅力をアピールしてきたのはヤマハだけではありません。ジレラ・サトゥルノ500/350(’88年4月号)と聞いて、オオッと思われる方は相当なマニアでしょう。イタリア製水冷DOHCビッグシングルは、日本の潮流に反応していわば専用モデルに近いアプローチでした。ボーイズレーサーを直感させる若いデザインも爽やかで、大いに期待されたファンも多かったはず。残念ながら継続されずに広く知られることなく消えていきました。

【RIDERS CLUB 500号記念コラムvol.9】 シングルで新しい趣味性を訴えたヤマハ 【KEN’S TALK 特別編】

また同時期に、これとは好対照のオトナ向けを意識させたエグリ・ターゲット TypeJ(’84年4月号)も忘れられません。その斬新なデザインもさることながら、パワフルなホンダのビッグシングルを、まだ普及すらしていないラジアル・タイヤでさらに走りの可能性を高めた、いま乗ってもおそらく感動する出来栄えでした。高価なため一般には手が届かず終いでこちらも消滅してしまいました。

【RIDERS CLUB 500号記念コラムvol.9】 シングルで新しい趣味性を訴えたヤマハ 【KEN’S TALK 特別編】

そういう儚い運命がシングルなのか、’90年代に入って噂され続けていたドゥカティのスーパーモノ(’94年12月号)は、何とスーパーバイクの水冷Lツインから後ろバンクのシリンダーを取り去ったエンジンで、結局レーサーだけで市販はさませんでしたが、試乗したときの類をみない低重心感覚の安定感は、ファンに乗ってもらいたい気持ちでいっぱいにさせる素晴らしいものでした。同じくイタリアのビモータが開発したBB1スーパーモノ(’94年12月号/’95年4月号)は、BMWシングルを搭載し量産まで漕ぎ着け一部のファンにまでは届けられたのですが、同社の経営問題でこれも途切れてしまっています。

【RIDERS CLUB 500号記念コラムvol.9】 シングルで新しい趣味性を訴えたヤマハ 【KEN’S TALK 特別編】

そして忘れてならないのが、スズキのグース350(’92年2月7日号)。それまで消えていったヨーロッパ勢を引き継ぐかのような、カジュアルでスポーツ感溢れるスタイリッシュなデザインは日本車の次元を越えた新鮮さに満ちていました。そんな勢いからか、ホンダもSUPER MONO 644(’96 年1月号)を東京モータショーに展示、実物をスタジオ撮影させてもらったのでぜひご覧頂きたいのですが、我々も大きな期待をよせていました。しかしは実現せず、スズキのグースも長続きはせず……ヤマハSRだけが生き残っているのは、ファンの絶対数が少ないからでしょうか。どのシングル・スポーツも、乗れば楽しさでいっぱいの傑作車揃いだっただけに、いまでも復活しないか期待する心は消えていません。
(根本健)

<<前回のコラムを読む 次のコラムを読む>>

 

◆表紙撮影の秘蔵エピソードも公開!
500号記念スペシャルコンテンツ“表紙でたどる『RIDERS CLUB』の歴史”

20151030_RC500history

SHARE

PROFILE

FUNQ

趣味の時代に読むメディア

FUNQ

趣味の専門誌を届けてきた私たちが世界中の人に向けて、趣味の世界への入り口をつくりました。彩りに満ちた人生の新たな1ページが、ここから始まります。

趣味の専門誌を届けてきた私たちが世界中の人に向けて、趣味の世界への入り口をつくりました。彩りに満ちた人生の新たな1ページが、ここから始まります。

RIDERS CLUB TOPへ

No more pages to load