ヤマハNIKEN初試乗(後編)――前2輪900ccの転ばないバイク、攻めるとどうなる?

(PHOTO:SATOSHI MAYUMI)

安定志向の従順ビッグバイク。攻めるとどうなる?

900ccで前2輪。ヤマハが『転ばないバイク』を目指して開発したLMW(Leaning Multi Wheel)を搭載するヤマハNIKEN試乗レポート第2弾。

昨日の、乗り始めたばかりのゆっくりペースでのレポート(https://www.ei-publishing.co.jp/articles/detail/riders-club-473164/)では、NIKENがごく普通のバイクに感じると書いた。

そう、普通の1000ccクラスのビッグバイクに乗れる人なら、誰でも違和感なく乗れる扱いやすさなのだ。タウンユースのペースで走ってる限り、まったく違和感はない。小回りのターンもできるし、スピードが出ても違和感はない。

ではもっとペースを上げるとどうなるか?

強力なストッピングパワー、不安感のないコーナー進入

まず、驚くのは制動力の高さだ。私ごときの腕前では、思いっきりブレーキレバーを握りしめても制動力を発揮し切れない。路面が悪いとABSが働くこともあるが、ABSが働く頃には相当腹筋に力を入れないと耐えられないほど猛烈なストッピングパワーを発揮しているはずだ。

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(PHOTO:SATOSHI MAYUMI)

さらに、そのままコーナーに入って行くのに不安感がない。私ではヒザをするほど深くバンクするまでは寝かせられないが(なんとなくまだ違和感あるのかもしれない)、ペースはどんどん速くなっていく。

安定感はあるものの挙動はまったくバイクそのもので、たとえばコーナーの途中でブレーキをジワリとかけても、車体が起き上がる方向に力がかかるのも同じ。極端なヒラヒラ感はないが、フロント周りに不安感がないと、リヤタイヤのリーンアングルに集中できるのが興味深い。前まわりは放置しておいていいのだ。

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(PHOTO:SATOSHI MAYUMI)

ただ、スロットルを開けていっても、旋回力が強まるような感じはしない。あくまでフロントタイヤの安定感が強い印象だ。

乗り始めはまったく2輪のフィーリングだったのに、ペースを上げると(私レベルでは)2輪では絶対に感じないほどフロント周りの安定性を強く感じるNIKENならではのメリットを体験することができる。

さらにペースを上げると、どうなるか……は、私ではレポートできないので、RIDERS CLUBの小川勤編集長の記事をお読みいただきたい。

最後には、後輪が流れはじめる

さて、幸いなことに(?)、後半の試乗では強く雨が降り、ヘビーウェットの路面でのNIKENを体験することができた。

フルウェットになると、フロント周りの安心感をさらに強く感じる。

試乗会場のサイクルスポーツセンターの周回路は、裏山のワインディングのような雰囲気の,

狭い、タイトで、落ち葉が落ちていたりするコーナーが続く。時には日陰で苔むしている路面もあるほどだ。

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そんな場所でもNIKENは、かなりのハイペースで駆け抜けることができる。

バンクしたまま鉄橋の路面の継ぎ目を越える場所もあるが。ツッと後輪を滑らせながらも安定したまま路面の継ぎ目を越えることができる。

雨の中、さらに、ペースを上げて、スロットルを開けると、フロントに不安感がないままリヤタイヤがツツッと流れはじめる。

トラクションコントロールが付いているので、その設定を強めてみたが、フルウェットだと最終的にはリアが滑る。しかし、フロントが同じように滑ると私のような一般のライダーでは転んでしまう可能性が高いわけで、リヤタイヤから滑り始める設定は安心感が高い。

リアが滑り始めたところで、ペースをダウンすればいいのだから。

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技術的な説明はRIDERS CLUBの誌面に譲るが、この特殊な構造でフロント周りの安定感を向上させつつ、ライダーが違和感なく乗れるように、構造的に相当工夫されされているとのことだ。

経験豊かだが、乗る機会が減ったベテランライダーに

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繊細なスポーツライディングを楽しみたい人にとっては、ちょっと安定性に振り過ぎた設定かもしれない。

しかし、ヤマハの技術説明にもあったように、月に一度乗る機会があるかどうかのベテランライダー、しかも体力、反射神経は徐々に衰えつつある熟年ライダーにとって、この安定感は心強い。

たまにバイクに乗って遠出して、天気が悪くて濡れた路面に不安感を感じたり、疲れてしまったりするようなことが、年を経ると増えてくる。

そんな時、このバイクなら、安心感を感じたまま、さらに遠くへ、さらにタフにライディングできるに違いない。

ロングツーリングに最適化されたモデルも期待したい

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(PHOTO:SATOSHI MAYUMI)

もちろん、この車両が成功すれば、もっとスポーティなバージョンや、ツーリング装備を充実させたモデルが出るのではないかと思う。

私としては、荷物を入れるパニアケース、風を防ぐ大きめのフェアリング、妻を乗せるためのしっかりしたタンデムシートを装備したツーリングモデルを期待したい。

もうちょっと歳を取って反射神経がにぶっても、1日で首都圏から十和田湖ぐらいまで楽々と走れそうなバイクに仕上がりそうな予感がする。

(ライダースクラブ編集長・小川勤によるインプレッションは10月27日発売のRIDERS CLUB No.536 2018年12月号に掲載予定です。※下記は最新刊。システム上表示されますが、NIKENのインプレッションは掲載されていません)

(村上タクタ)

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