サイドカムチェーンがデザインの常識を変えた! KAWASAKI GPZ900R Ninja-PART2-

カワサキが目指したのは公道最速のスーパースポーツ -GPZ900R Ninjaーその衝撃デビューー②

20年ものロングセラー続けたカワサキGPZ900R。Ninjaの名を冠したこの初のバイクはカワサキならではの反骨精神、マイノリティに特化したコンセプトで誕生したサイドが左右非対称となるサイドカムチェーン駆動の水冷4気筒やそのエンジンをあえて見せるためのカウル形状など開発者たちのこだわりが生み出した“個性”の塊だった。世界最速を標榜し、世界中のファンに愛されたGPZ900Rはやはり忘れることのできない稀有な存在だ。今回お届けするR/Cアーカイブスは、いまだに大人気を誇り唯一無二の存在となっている『GPZ900R Ninja』だ。そのデビュー以来、20年間ほとんど進化をすることなく、3回のビックマイナーチェンジのみ。ビッグバイクの進化が激しい中、時代の流れに抗いつつも常に圧倒的な支持をうけたその魅力をネモケンが語る。(第2回/全3回)

いままでにないチャレンジで新しい個性を生み出した

カワサキのGPZ900Rの開発の背景には、ライバルたちのターボ化やV型エンジンに水冷化など、エスカレートする新技術競争に追い付かず、次第に色褪せていく危機感があった。そんな中、開発をスタートされたのがGPZ900Rだった。

ビッグバイクが排気量をリッタークラス超え競争へと拡大するなか、敢えてZ1での大成功に範を習って900㏄とし、この限定された範疇で逆に世界最速を狙うという、カワサキ本来の反骨精神、マイノリティに特化したコンセプトの再来である。

カワサキ初の水冷エンジン

エンジンはもちろん4バルブ化し、カワサキ初の水冷を採用、しかも当時はまだビッグバイクでは波及していなかったコンパクト化をはかるという、他がチャレンジしていなかった面に厳しさを求めた。その結果、性能追求で課題となっていた吸気のストレート化を具現化するため、それまでバイク・エンジンでは常識とされていたシリンダーヘッドにあるDOHCを駆動するチェーンが4気筒の中央に設定されていたのを、左側の外に追い出すという特異なレイアウトを採用したのだ。

GPZ900R A1(1984)

GPZ900R A1(1984)それまでの空冷2バルブ並列4 気筒エンジンを搭載するGPZ1100に代わり、カワサキの新世代スーパースポーツとして’84 年に登場したニンジャの最初期モデル。フルパワー仕様で115ps。乾燥重量228㎏

Ninja900R(1984)

Ninja900R(1984)北米仕様のモデルにNinjaの車名が与えられた
“Ninja” は、当時の北米仕様に与えられた車名であり、他国の仕様はGPZ900Rで統一されていた。しかし、GPZ900Rの認知度が上がるにつれ、呼びやすい“ニンジャ” が一般的に

デザインの常識を変えたサイドカムチェーン

このおかげでクランクシャフトのジャーナルは等間隔となり、吸気系のストレート化とクランクシャフトの剛性アップとコンパクト化を得ることとなった。

しかし問題となるのはエンジンの外観。右側は他のバイク同様シリンダーが見えるが、左側にはカムチェーントンネルという、それまで陰に隠れていた機能パーツが露出してしまう。それが果たしてカッコ良いか否か……GPZ900Rは、この処理に後世へカワサキらしさを繋ぐ大きな鍵を握っていたのである。

二輪用には考えられなかったサイドカムチャーン方式を初採用
このエンジンの最も大きな特徴のひとつがカムシャフトの駆動をサイドカムチェーン方式にしたこと。二輪で初この技術は、エンジンの高出力化とコンパクト化を両立。エンジ外観が左右非対称となるが、カワサキはあえて見せる演出でデザインの特徴とした

平凡をよしとしないカワサキ魂

200㎞/hを遥かに超えるトップスピードに備え、カワサキはカウル形状に風洞実験を重ねていた。デザインもここでのテスト結果を反映させたものとするのが、パフォーマンスを最優先するなら当然の成り行きだ。ところが改善を重ねるほど、どこにでもある中庸に近づくのを、プロジェクトメンバーはよしとしなかった。

メラメラと燃えはじめた反骨精神の塊は、そこへさらに空気を切り裂きながら突進していく形状を織り込み、そのチャレンジが功を奏して最終的に空気抵抗のCD値0・33という画期的な成果を得ることになったのだ。しかも、しかもである。初のフルカウルでエンジンが覆い隠せる、つまり左側のカムチェーントンネルが見えてしまうリスクも消せることになるのに、 彼らは敢えてカウル側面をエンジンが「見えてしまう」形状に切り取ってしまったのだ!

サイドカムチェーン駆動の採用により、エンジン幅に影響するクランクシャフト長の短縮と吸排気路のストレート化が可能になった

せっかくの初のフルカウルを、カワサキを後発メーカーから押し上げてきた反骨精神の象徴として、思い切った処理にチャレンジしたことが如何に重要だったか、それはカワサキ自身、後々思い知ることになるのだ……。

フレームもタイヤサイズも常識外!

カウルだけではない。高速走行で最も重要なフレーム剛性を得るため、当時のビッグバイクは伝統的なダブルクレードルを踏襲するコンサバティブなメーカーが多い中、900でリッターを超えるフラッグシップをブチ抜くパフォーマンスを狙い、軽量コンパクトにするためエンジンを強度メンバーとする軽量車に多く見られたダイヤモンド・フレームを採用、足周りも大型クラスでは未知の領域だった前輪に16インチと当時最先端の小径ホイールを採用するという、リスクを厭わない全身にチャレンジ精神を纏った先鋭的な容姿が完成したのである。

1983年、パリサロンを皮切りにアメリカはラグナセカ・サーキットでのパフォーマンス試乗会で、GPZ900Rの115㎰、240㎞/h以上、0.400mを10秒台で駆け抜ける世界最速のポジションをアピール、Z1から11年目にして全世界のバイクファン垂涎のマシンがデビューを果たしたのだ。

サイドカムチェーン駆動のエンジンに加え、アンダーループを持たないダイヤモンドフレームもGPZ900Rの特徴だった

GPZ900R A7(1990)

GPZ900R A7(1990)GPZ900Rは、登場から7年後にマイナーチェンジ。フロントフォークがφ38→φ41 ㎜に大径化するのと同時に、フロントホイールを16 → 17インチに変更。フロントに4ポッドキャリパーも採用

ZX-9R(1994)

ZX-9R(1994) レーサーレプリカにも900㏄を採用したカワサキのこだわり
’94 年、大排気量スーパースポーツ市場に、カワサキはZX-9Rを投入。カワサキはZ1やGPZ900Rと同じ伝統の900㏄という排気量にこだわり、パワーも139 ㎰とクラス最高値を実現した

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