電子制御時代の寵児! アプリリア RSV4 1100 Factoryのスゴさを宮城 光 が解説!

スーパースポーツモデルにとっての10年は〝別時代〞だ。まったくそのスペックが通用しなくなっても不思議はない……が、その常識を打ち破るのがアプリリアRSV4だ。熟成につぐ熟成を積み重ね、類稀なるエンジニアリングと止まらない進化でつねに第一線のパフォーマンスでライダーを魅了する。

今回お届けするのは、熟成を重ねて進化する最新アプリリアRSV4。紹介するのは、ライダースクラブ本誌のスーパーバイザーで、本人も8年間同モデルを楽しんでいるという元ホンダファクトリーライダー宮城光さんだ。

本誌スーパーバイザー宮城光

元ホンダファクトリーライダー。MotoGP解説や、ホンダコレクションホールの動態確認テストも担当。RSV4の走りとカスタムを楽しむ56歳

驚異的な長寿を支える秀逸なエンジニアリング

2008年、アプリリアは翌シーズンのWSB参戦を発表したが、その時点で同社にはベースとなる市販車は存在せず、お披露目されたのはレース仕様のRSV4だった……。

もちろん後に09年モデルの市販RSV4が登場するのだが、そんなストーリーからもこのバイクの特異性が垣間見える。それから10年を経て、RSV4は排気量を拡大、最新の空力デバイスも装備した「RSV4 1100 Factory」として、新たなシーズンを迎えた。

しかし、アップデートを重ねつつも大きく路線変更を行わずに、10年を超えて存在し、古さを感じさせないスーパースポーツなど、他に無い。その魅力と真実を、RSV4を愛して止まない宮城 光が語る。

-僕のRSV4は12年モデル。この5月に3度目の車検を受けて、8年目に突入。11年後半に本誌の企画で試乗した際に、猛烈に気に入って手に入れて以来、ずっと乗り続けているのは僕の連載(東京ハイスピード)でご存じの読者も多いだろう。

とはいえ仕事柄、最新のスーパースポーツはもれなく乗っている。それでもRSV4は乗り替えを意識せず、丸7年乗って何ら不満が無い。

SPECIFICATIONS RSV4 1100 Factory

エンジン 水冷4ストロークV型4気筒、バルブ形式 DOHC4バルブ、総排気量 1078cc、ボア×ストローク 81×52.3mm、圧縮比 13.6対1、最高出力 217ps/13200rpm、最大トルク 12.44kgf-m/11000rpm、変速機 6速、クラッチ 湿式多板、フレーム アルミツインスパー、装備重量 199㎏(燃料90%搭載時)、サスペンション F :OHLINS製φ43mm倒立 R:OHLINS製TTX リンク式モノショック、ブレーキ F:φ330mmダブルディスク リヤブレーキ R:φ220mmシングルディスク、タイヤ F:120/70-17 R:200/55-17、全長 2052mm、軸間距離 1439mm、シート高 851mm、ガソリンタンク容量 18.5L、価格 286万6200円

その魅力のひとつ目が「シャシー」。コレが抜群に良くできている。ふたつ目は「エンジンの爆発間隔」だ。かつてホンダファクトリーライダーだった時のNSR500は2ストロークⅤ型4気筒で、当時はプライベートでもRC30(VFR750R)に乗っており、僕は基本的にⅤ型4気筒の爆発間隔やトラクションのフィーリングが大好きなのだ。

そして3つ目が「電子制御」。じつは僕が試乗した11年モデルからAPRC(アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール/トラクションコン、ウイリー、ローンチコントロール、クイックシフター、マップ切り替えなどを統括したシステムの呼称。このモデルに向けてドイツのボッシュ社が世界初の二輪用IMUを開発したといわれる)が装備されたが、毎シーズンのようにアップデートされ、つねにライバル車を上回っている、と僕は感じている。

4つ目はサスペンションで、RSV4(上級モデル)はずっと前後共にオーリンズを装備しており、この秀逸さは誰も異論がないだろう。

そして最後は、エンジン搭載位置やスイングアームピボットの高さ、キャスター角まで変えられるアジャスト機能。じつはここまで調整可能な車体を持つバイクは、純粋なレーシングバイクでも存在しないのだ。

この5つのパッケージが揃ったバイクを、僕はRSV4の他に知らない。つねに最新タイヤのトレンドやパフォーマンスに合わせたハンドリングを、アップデートによって実現しているのだが、じつは他メーカーのような大幅な変更(エンジンの形式やレイアウト変更、フレーム形状やサスペンションの方式など)は行っていない。にも関わらず、しっかりと時代の要求に応えて毎回キッチリと正常進化しているのは、元々のエンジニアリングが際立って優秀なのだと思うし、大いに評価すべきポイントだろう。だからこそ僕のRSV4も、7年乗っても古臭さなど微塵も感じないのだ。

扱いやすさを重視し排気量を拡大

排気量の拡大により出力アップはもちろん、全域にわたってトルクも増大している。レースベース車としての制限を外すことで、多くのメリットが生まれたという。ちなみにレースユーザー向けに1000ccのRSV4 RRも用意する

そして19年モデル。空力デバイスはファクトリーマシンRS・GPを踏襲した最新デザインだし、オプションでは、やはりファクトリーマシンと同デザインのカーボン製ブレーキ冷却ダクトも用意。この進化はファンにはまことに嬉しいトコロ。

空力デバイスを標準装備

最新モデルの外観上のトピックがこのカーボン製のウイングレットで、MotoGPマシンRS-GPを踏襲。300km/hで約8kgのダウンフォースを発生し、高速安定性を向上させる

そして1078㏄に拡大された排気量。このV4エンジンは元々低回転域からトルクがシッカリしているが、1100はいっそう顕著……というより物凄い! 無駄に高回転まで回さなくても十分以上に加速する。パワーにおいても〝確実に〞200馬力を超えているのを体感できる。もう、本当にこれ以上のパワーの必要性を感じないし、アプリリアならではの秀逸な電子デバイスでなければ、このパワーに制御が追い付かず、生半可なデバイスだったら遅れて介入した後に大きな反動が出るのではないかと思う。それくらいアプリリアの電子制御は〝いちばん最初のトコロ〞を検知して、後追いではなくキチンとリアルタイムでコントロールしているように感じるのだ。とはいえ1100は、あまりのパフォーマンスの凄さゆえに、スロットルを開けて走るには、ライダーのフィジカル的な能力もふくめて相応にスキルが高くないと難しい。コレは誤解されると困るし、変な表現で恐縮だが〝普通には乗れるけれど、100%の性能では乗れないよね〞という感じだ。

スーパースポーツでもっとも優れた制御を搭載

走行モードやトラクション、ウイリー、ローンチコントロールなど多彩なデバイスをダイナミックにコントロールするAPRCを装備。左ハンドルのパドルスイッチで介入レベルを選択。’17 年モデルからTFTメーターを採用し、バンク角も表示

エンジン搭載位置や車体のディメンションをアジャストできる

写真上はフレームへのエンジン搭載高さ、写真中がスイングアームピボット高さ、写真下がキャスター角の調整機構で、市販車でここまで装備するのはRSV4だけ。リヤショックには車高調整が備わるので、さまざまなディメンションを試せる
オーリンズNIXフォークはホイールトラベルを前モデルより5mm延長。Fブレーキは軽量なブレンボ製Stylemaキャリパーを装備(オプションでRS-GPと同形状のカーボン製エアダクトも用意する)。リヤショックはオーリンズTTX

さらに1100に標準装備されるユーロ4対応のアクラポヴィッチのマフラーは、良い音が、しっかりライダーに伝わってくる。

敢えて個人的に気に入らない点を挙げるなら容量を増して大きくなった燃料タンク。僕のRSV4の方がシャープで気に入っている。だが、コレはまったく好みの部分なので、評価の対象ではないけれど(笑)。

驚異的な長寿と最新プロダクトの融合。10年経っても古さを感じないRSV4は、スーパースポーツのベンチマークとして、これからも存在し続ける、と僕は確信しているのだ。

シフトペダルのリンケージにクイックシフトのセンサーを装備。他に類を見ないスロットルを開けた状態でのシフトダウンも可能
リヤはブレンボ2POT+φ220mmフローティング。スイングアームはヨー方向とねじれ剛性を大幅に高めて立ち上がりの精度を向上させた
排気量の拡大と併せアクラポヴィッチのチタンエキゾースト(レイアウトも変更)を装備することで、大幅なパワーアップと軽量化を実現
とにかく楽しさに溢れ、あきがこない。新型はそのRSV4らしさを昇華させている

 

 

 

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