復活!青木琢磨が最新CBR1000RR SPで駆る!青木3兄弟の絆と特別仕様のマシンを大公開

バイクは決してやめられない

兄弟のサポートを受けて再びバイクで走った下半身不随の元世界GPライダー青木拓磨-3回にわたってお届けする青木琢磨さんの復活劇。最新スーパースポーツCBR1000RRSPを特別仕様にして、再びサーキットを走る、そんな感動的な場面だ。最終回となる今回は、そんな青木琢磨さんを応援する兄弟愛とチーム愛、そして特別仕様のマシンを大公開していく。

こうありたい自分──青木拓磨さんにとって、それはバイクに乗っていることだ
バイクで負傷し、バイクに乗れなくなった それでも、やめられない
自分らしく自分でいるために

’74年生まれ。’97年、世界GP500にフル参戦。翌’98年シーズン開幕前テストでの事故で脊椎を損傷した。現在は四輪レースに積極的に参加。気軽に参戦できるレン耐も主催する。

「きっかけと勇気されあれば誰だってバイクに乗れる」

自分が本当にやりたいと思っていることをやろうとした時、人は誰しも、いくつもの障壁を乗り越えなければならない。

障壁は、自分の外にも、自分の中にもある。拓磨さんの場合は、バイクに乗りたいと思っていても、下半身が動かないハンディキャップと、人に支えてもらうことを申し訳なく思う気持ちの両方が、障壁となった。

下半身が動かない状態でのシフトチェンジは、クリックトロニック社製のアクチュエーターが解決してくれた。そして、支えてもらうことの申し訳なさを和らげてくれたのは、言うまでもなく、兄弟の存在だ。

兄弟とはいえ、もう立派な大人だ。屈託のない子供の頃とは違う。それぞれに世界GPまで昇り詰めたが、お互いの人生を歩む中で、ぶつかり合うこともある。

だが、やはり兄弟にしかできないことがある。支えること、支えられることの難しさをやすやすと越えられるのは、肉親だからこそだ。「自分はもうバイクには乗れないんだろうな、と決めつけてたところはあるかな」と拓磨さんは言う。「すごく萎縮してた。 誰かの助けがなければできないことだからね。自分のやりたいことで、人に迷惑をかけるのはどうかなって」

青木拓磨がバイクに乗ることを、誰も迷惑などと思わないだろう。だが、現実的に手を差し伸べることは、非常に難しい。特にバイクのようにリスクを背負うスポーツを、気軽に後押しすることはできない。

「サイドスタンドプロジェクト」と銘打ち、バイク活動に取り組む。バイクで走る拓磨さんの姿から、支えられる勇気、支える勇気とともに前に進む大切さを伝えていく

支えられる側も、支える側も、なかなか前に進めない。その膠着状態を突き崩したのは、「もう1度カッコいいタクちゃんを見たい」という、治親さんの純粋な、そして弟だからこその半ば強引な思いだった。

長兄の宣篤さんも、実働部隊としてアシストをした。そして、弟と兄の思いや動きに、拓磨さんも勇気を持って応えた。

リヤブレーキがなく、下半身ホールドもない状態とは思えないほど、雨の袖ヶ浦で見せた拓磨さんの走りは、力強く、輝いていた。それは、支えられる勇気、支える勇気がひとつになることで実現した、「その人の、本来あるべき姿」だからだ。

雨の袖ヶ浦フォレストレースウェイで走行を終えた拓磨さんは、「よし、今日はこれぐらいにしといてやるか!」とみんなを笑わせた。

しかし、決してただの冗談ではない。今日はここまで。だけど、次はもっと──。「見てろよ」という心の叫びが聞こえてくるようだ。拓磨さんは、もっと先へと、未来に続くスロットルを開けたくなっている。

7月9日、鈴鹿サーキットで行われた8耐公式テストの場で、再び青木三兄弟が揃った。28日、そして29日の8耐レースウィークに、大勢の観客の前で拓磨さんがデモランをする。それに先立っての試走だ。

多くのメディアや関係者が押し寄せ、鈴鹿サーキットに感動の風が吹いた。「想像の300倍ぐらいの反響があったよ!」と宣篤さんは驚いた。

青木三兄弟からすれば、今、あるべき姿になっただけ。そんなに大げさなことじゃない。
「僕ができたんだから、みんなにもできる」。拓磨さんは、本気でそう信じている。決して特別なことじゃない、と。

鈴鹿8耐でその勇姿を披露

拓磨が、また走る──。鈴鹿サーキットに感動の風が吹いた。多くの仲間たちが、拓磨さんの勇気を支え、称賛する。7月9日、鈴鹿でのお披露目では、現役時代のメカニックである岩野秀気さんと拓磨さんが感極まって抱き合うシーンも。鈴鹿8耐決勝ウィークに披露される拓磨さんの走りに、ぜひ声援を

Honda CBR1000RR SP 特別仕様モデルを大公開

写真上:左ハンドルのスイッチでアクチュエーターが作動。拓磨さんはボタン位置にもこだわりを見せていた。リヤブレーキは今のところ操作できない。写真下:足の代わりにシフトチェンジする電磁アクチュエーターはイギリス・クリックトロニック社製。ステーは株式会社菅原モデルがワンオフ製作
写真上:ステップとブーツの固定には自転車用ビンディングを流用。バイクとブーツの改造は最小限で済む仕組みだ。バックステップはベビーフェイス製。写真下:ハンドシフターのコントローラーはシートカウル内に収まるコンパクトさ。汎用システムなので、ほとんどのマニュアルバイクへの装着が可能

 

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PROFILE

RIDERS CLUB 編集部

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1978年の創刊時から、一貫してスポーツバイクの魅力を探求し続けるオピニオンマガジン。もはやアートの域に達している、バイクの美しさを伝えるハイクオリティの写真はいまも健在。

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