BRAND

  • Lightning
  • 2nd(セカンド)
  • CLUTCH Magazine
  • EVEN
  • BiCYCLE CLUB
  • RUNNING style
  • NALU
  • BLADES(ブレード)
  • RIDERS CLUB
  • CLUB HARLEY
  • DUCATI Magazine
  • flick!
  • じゆけんTV
  • 湘南スタイルmagazine
  • ハワイスタイル
  • buono
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • Kyoto in Tokyo

YAMAHA NIKEN(ヤマハ・ナイケン)~300km走って見えてきたもの~【R/C インプレッション】

前二輪、後ろ一輪。明らかに異形の乗り物、ナイケン。そのライディングフィールは、ほとんどバイクと変わらない。三輪車でありながらほぼ完璧な二輪車の乗り味を有し、同時に三輪車としての優位性も備える。いかなる乗り物を作っても二輪のような操縦の喜びを持たせようとする、ヤマハの心意気だ。
(※本記事は『ライダースクラブ 2019年1月号』掲載記事を再編集したものです)

何を求めてバイクに乗るのかという問いを突きつけられる

長く乗るほどに印象が変わるナイケン

ヤマハは面白い乗り物を作ったものだな、と思う。しかも、その作り込みは、想像以上に精密だ。ナイケンは三輪車でありながら、ほぼ完璧に二輪車の動きを模している。

『ライダースクラブ』の小川編集長は「ナイケンはバイクだ」と言った。僕も最初はそう思った。ヒラリヒラリと車体をリーンさせて旋回するフィーリングは、二輪車特有の爽快さだ。

そもそも、フロントにふたつのタイヤがあることをほとんど感じさせない。目では間違いなく「前二輪」と認識しているのに、体感しているのはあくまでも「前一輪」だ。フロント周りにゴワッとしたボリュームがあるのに、パッと乗って「確かにこれはバイクだ」と思える。

だが、長く乗れば乗るほど、印象は変わっていった。ナイケンはバイクじゃない。バイクによく似た三輪車だ。そして三輪車だからこそ、数多くのメリットを備えている。

二輪車に乗る時、僕はいつも自分にイライラする。発進時にふらつきがちなのだ。意識的にていねいに発進すればうまくいくが、少しでも気を抜くといけない。習練が足りず、無意識に発進時のバランスを取る領域まで達していないのだ。

マンホールも、水たまりも、浮き砂も気にならない

だが、ナイケンは乗り始めからその問題点をあっさり解消してくれた。何の意識もせずスッと滑らかに発進できる。自分とは思えない美しい発進は、まさに前二輪の恩恵だ。

街で二輪車を走らせている時は、ワダチやギャップがかなり気になる。バイク乗りなら誰しも、前輪が弾かれてヒヤッとした経験があるはずだ。怖い。

それだけじゃない。マンホールを踏まないか、水たまりはないか、砂は浮いていないか……。前輪をどこに通らせればよいのか、僕は無意識のうちにかなり頭を使っている。

だが、そんなピリピリとした緊張感も、ナイケンには無用だ。道路が通常運用されている程度のワダチやギャップやマンホールやちょっとした障害程度なら、特別な配慮はいらない。今までは緊張しながら通過していた箇所をスルリと難なくクリアしてしまい、拍子抜けするほどだ。

前二輪によって実際に凹凸を上手にいなしている面もあるし、自分の目で「前輪はここを通るだろう」と想定するのとは違う場所を通っているから、「踏むかな」と思うギャップを踏んでいないという面もある。

高速道路の巡航はゆったりとした上質な走り

ただし、思いっ切りギャップに乗り上げた際の突き上げ感は思いのほか強い。もともとフロントサスの設定が硬めなうえに、どうしてもフロント周りに重量感があるから、ドンという衝撃が体に伝わってくる。

高速道路に入れば、ゆったりとした安定感がある。「どっしり」ではなく、「ゆったり」。微妙な違いだが、フロントに柱や軸のような動かざるものを感じるわけではない。二輪車のような揺らぎもありながら、でも、明らかに安定している様子は、「ゆったり」という言葉がもっともしっくりくる。

乗り心地は非常に良好で、上質だ。路面がスムーズな高速道路では特に、「質の高い乗り物に乗っているな」と強く感じる。制御がきめ細やかでオン・オフ時のショックが少ないクルーズコントロールと相まって、高速道路の巡航はナイケンの得意分野と言える。

そしてワインディングだ。ほぼ二輪車のように曲がる。ナイケンは実に上出来な二輪車シミュレーターだ。

細かく言えば、わずかにアンダーステア傾向が見られるし、リーンアングルと旋回力が正確には比例しないなど、微妙な違和感はある。そしてブレーキングではどうしても260kg超の車重を感じる。

いずれも二輪車と言っていい範疇に収まってはいる。ヤマハはよほど精密なモノ作りをしたのだと思う。三輪車でここまでのフィーリングを作り込むのは並大抵のことではなかっただろう。だが、やはりナイケンはあくまでも三輪車なのだ。

ワインディングを走っているうちに、いつしか細かいことに気を使わなくなっている自分に気付くのだ。それは、街乗りでも高速道路でも、あらゆる場面に当てはまる、乗り手としての心情の変化だ。

二輪の操縦感覚をあくまで追求するヤマハに敬意を表し二・三輪と呼びたい

ルーズになる。そしてラフになる。そして思う。ナイケンはやはり二輪じゃない乗り物なんだな、と。

発進のフラつきという自分のヘタクソさによるイライラ。常に前輪がどこを通るか配慮すること。それらもろもろを引っくるめて、僕はバイクに多少の苦難や緊張感を求めているのだ。もともとがルーズでラフな性格な僕が、バイクに乗る時だけは襟を正している(……と思う)。

二輪車は僕に何もしてくれない。僕が自分の力ですべてをコントロールしなければならない。だからライディングに集中する。他のことを考えている余裕はあまりない。そういうピシッとした時間を持つために、わざわざバイクに乗るのだ。

でも三輪車のナイケンは、二輪車よりずっと僕に優しい。多くの操作ミスや判断ミスといったヘタクソさを、フロントのふたつのタイヤがカバーしてくれる。僕はこの優しさに、間違いなくおぼれていく。だからどんどんルーズでラフな地が出てくる。走りが無造作になってしまう。

それぐらい二輪車とは違う乗り物でありながら、ナイケンは生粋の三輪車とも言えないのだ。無茶をすれば転ぶし、オーバースピードはフォローしないし、サイドスタンドなしでは自立もしない。ヤマハのバイクへの、つまり二輪車への並々ならぬ熱意を感じる。

三輪車でありながら二輪車の感覚を備え、二輪車のようでいて三輪車の優位性を持つ。どっちつかずと言えなくもないが、「どんな乗り物にも二輪車特有のフィーリングを持たせる」というヤマハの心意気を買いつつ、二・三輪車と呼びたくなった。

「YAMAHA NIKEN(ヤマハ・ナイケン)」~スポーツバイクの新しい可能性~【R/C インプレッション】

「YAMAHA NIKEN(ヤマハ・ナイケン)」~スポーツバイクの新しい可能性~【R/C インプレッション】

2020年03月15日

YAMAHA NIKEN(ヤマハ・ナイケン) ディテール紹介

LMWアッカーマン・ジオメトリーの採用により、傾きつつ内輪差が生じる前二輪ながら自然な旋回が可能となった。路面追従性に加え、段差を乗り越える際の衝撃吸収性も高いため、斜めに段差に出入りするようなシーンも安心感が高い。

シャープなイメージのネガポジ反転液晶デジタルメーター。

ヘッドパイプ周りは鋳鉄、ピボット周りはアルミ鋳造、前後連結部は鋼管のハイブリッドフレームに116psの945cc並列3気筒エンジンを搭載。

前輪15インチに対し後輪は一般的な17インチ。スイングアームはアルミ鋳造+パネル溶接。リヤサスはプリロードをリモート調整可能。

SPECIFICATIONS:YAMAHA NIKEN(ヤマハ・ナイケン)

エンジン 水冷4ストローク並列3気筒
バルブ形式 DOHC4バルブ
総排気量 845cc
ボア×ストローク 78×59mm
圧縮比 11.5対1
最高出力 116ps/10000rpm
最大トルク 8.9kg-m/8500rpm
圧縮比 11.5対1
変速機 6速
クラッチ 湿式多板
装備重量 263㎏
キャスター/トレール 20°/74mm
サスペンション F=倒立
R=リンク式モノショック
ブレーキ F=ダブルディスク
R=シングルディスク
タイヤ F=120/70-15
R=190/55-17
全長/全幅/全高 2105/885/1250mm
軸間距離 1510mm
シート高 820mm
ガソリンタンク容量 18L
価格 178万2000円

※本スペックは『ライダースクラブ 2019年1月号』掲載時のものです。

インプレッション担当

高橋 剛

ジャンルにこだわらずバイクで遊ぶ雑食系ライター。ナイケンの登場やバイクの自動運転技術などの展開を眺めるにつけ、バイクのあるべき姿と未来について考える日々。

取材協力

ヤマハ発動機(フリーダイヤル:0120-090-819)
https://www.yamaha-motor.co.jp/

出典

SHARE

PROFILE

RIDERS CLUB 編集部

RIDERS CLUB 編集部

1978年の創刊時から、一貫してスポーツバイクの魅力を探求し続けるオピニオンマガジン。もはやアートの域に達している、バイクの美しさを伝えるハイクオリティの写真はいまも健在。

RIDERS CLUB 編集部の記事一覧

1978年の創刊時から、一貫してスポーツバイクの魅力を探求し続けるオピニオンマガジン。もはやアートの域に達している、バイクの美しさを伝えるハイクオリティの写真はいまも健在。

RIDERS CLUB 編集部の記事一覧

No more pages to load