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「Husqvarna VITPILEN701(ハスクバーナ・ヴィットピレン701)」~おかえりなさい、ビッグシングル~【R/C インプレッション archives】

2015年にコンセプトモデルとして登場し、市販化が期待されていたヴィットピレン701。2018年、その量産モデルがついに正式に発表され、スペインにて試乗会が開催された。パワー、車重、車格、ハンドリング、デザイン。そのすべてが理想のビッグシングルだった。
(※本記事は『ライダースクラブ 2018年6月号』掲載記事を再編集したものです)

本当のビッグシングルが帰ってきた

690デュークがベースだが、それを感じさせないモダンなたたずまい

オフロードやスーパーモタードにカテゴライズされるビッグシングルは今もそれなりに存在するが、純粋なロードモデルは? と問われるとしばらく考え込んでしまう。仮にビッグシングルの定義を500cc以上とし、バックヤード的な小規模メーカーではなく、一定の量産体制を持つメーカーのモデルという条件をつけるとなおさらで、世界のバイク史を10年や15年さかのぼったところで「そうそう、これがあった!」とはならない。

そうした中、孤軍奮闘と言ってもいい涙ぐましさでその座を守り続けてきたのがKTMの690デュークだ。スタイルにもハンドリングにもスーパーモタード的な飛び道具感はあるものの、それでもビッグシングルファンにとっては数少ない選択肢だった。ところが、そんな690デュークも18年モデルとしては日本へ導入されておらず、パラレルツインを搭載する790デュークがそのポジションに収まりつつある。

ビッグシングルももはやこれまで。そう思わざるを得なかったところに登場してくれたのがこのヴィットピレン701だ。ご存じの通り、現在ハスクバーナはKTMの傘下にある。そうした関係上エンジンやフレームを共有するモデルは多く、ヴィットピレン701のベースになっているのも690デュークだ。

とはいえ、一見しただけではそれがまったく分からないほど印象は異なる。しかもそのスタイルにはクラシックにもモダンにも見える正統な美しさがあり、ピュアスポーツとして文句なしのたたずまいを持つ。

120~130km/h前後で巡航している時のフィーリングは絶品

今回そんなヴィットピレン701に試乗できたわけだが、692.7ccの水冷OHCエンジンには「これぞビッグシングル!」という力強い領域と、それをまったく感じさせないまろやかな領域が存在し、とにもかくにも素晴らしい出来映えだった。

シリンダーのボア径はφ105mmに達するため、大地も身体も揺るがすようなゴツゴツガツガツした爆発フィーリングを想像して乗車前はおよび腰になるかもしれない。あるいはそれを期待するライダーもいるだろうが、2つのバランサーと2本のスパークプラグ、4つのバルブを持つこのユニットにそれはない。

極めて軽い操作性を持つクラッチレバーを離すと車体はスルスルッと動き出し、街中での扱いはストレスフリーだ。モトクロッサーやエンデューロマシンのようにクラッチレバーが短いため、特に4本掛けで操作するライダーには違和感があるだろうが指摘すべき点はその程度であり、エンジンのフィーリングを左右するものでもない。

そのまま速度を上げていっても従順でスムーズな特性は変わらず続く。バックミラーに映る後続車両は小刻みにブレ始め、車種がだんだん判別できなくなるため振動が増えていることは視覚的に伝わるものの、まったく不快感はない。それどころか120~130km/h前後で巡航している時のフィーリングは絶品だ。身体がほどよい鼓動に包み込まれ始め、車体は滑空するように突き進んでいく。スロットル固定で粛々と走る高速域がこれほど心地いいビッグシングルは他に思い当たらない。

右手の動きひとつで自在に操れる一体感こそがビッグシングルの醍醐味

そのまま徹頭徹尾マイルドなのかと言えば、もちろんそんなことはない。混雑した街を抜け、アウトピスタを使って郊外を目指し、ワインディングに到着すれば(つまり多くの日本のライダーと同じように)、ヴィットピレン701のエンジンは異なる表情を見せる。

スロットルの開閉頻度が増すこうしたステージでは、それまでの鼓動がトラクションへと変換される。コーナーからの立ち上がりに備え、スロットルを少し大きくひねった時がこのエンジンのハイライトだ。「タタタンッ」という小気味いいビートを刻む排気音とリヤタイヤの回転がシンクロし、路面を蹴る一発一発のフィーリングが明瞭に伝わってくる様はシングルならではもの。逆にスロットルを戻せばそれが消え、車体がフワッとバンクしようとするのもエンジンの質量が小さいシングルならではのものだ。

右手の動きひとつで加減速と旋回性とトラクションを自在に操れる一体感こそがビッグシングルの醍醐味だが、ヴィットピレン701にはそれがしっかり備わっているのである。

ハンドリングそのものもいい。燃料なしの半乾燥状態での車重は157㎏に過ぎず、これは同じ状態のCBR250RRとほぼ同等だ。ストリートバイクとしては超軽量なスペックゆえ、これだけで優位である。

ただし、その軽さが不安定さや神経質な挙動につながっていない仕立て具合が見事で、一発で決めないとリズムが台無しになるスーパースポーツ的なシビアさはない。コーナリングの途中でバンク角や体重移動の量を変化させられる「余白」のようなものがあるため、ライディングの自由度が高く、自分の意志であらゆる挙動を引き出し、制御しているという満足感が得られるのだ。

75hpという最高出力もこれ以上あれば怖さが顔を覗かせ、これ以下では物足りないという絶妙なところ。エンジンフィーリングもハンドリングもスペックもすべてがバランスした稀有な存在がヴィットピレン701というバイクだ。突出した機構は持たず、装備はプリミティブながらそのナロウな車体にはバイクの醍醐味のすべてが詰まっている。本当のビッグシングルが帰ってきた。

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2019年10月15日

Husqvarna VITPILEN701(ハスクバーナヴィットピレン・ヴィットピレン701)ディテール

LCDディスプレイによるシンプルなメーター。減衰力は左右で独立し、フォーク上部のダイヤルで調整が可能だ。

トラクションコントロールの他、ギヤダウンにも対応するシフターを装備する。

マフラーはマットブラックにコーティング。

ブレンボのキャリパーにφ320mmのシングルディスクを組み合わせる。

Specifications:Husqvarna VITPILEN701(ハスクバーナヴィットピレン・ヴィットピレン701)

エンジン 水冷4ストローク単気筒水冷4ストローク単気筒
バルブ形式 SOHC4バルブ
総排気量 693㏄
ボア×ストローク 105×80mm
最高出力 75hp/8500rpm
最大トルク 7.34kg-m/6750rpm
圧縮比 12.8対1
フレーム クロームモリブデン鋼トレリスフレーム
サスペンション F=テレスコピック倒立フォーク
R=スイングアーム+モノショック
ブレーキ F=シングルディスク
R=シングルディスク
タイヤサイズ F=120/70R17
R=160/60R17
軸間距離 1434±15mm
シート高 830mm
半乾燥重量 157kg
燃料タンク容量 12L
価格 135万5000円

※本スペックは『ライダースクラブ 2018年6月号』掲載時のものです。

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2019年10月15日

401シリーズは2種類を用意

VITPILEN/SVARTPILEN 401
価格:77万7000円

ヴィットピレン701に先立ち、2018年4月からリリースが始まるモデルが375ccの単気筒エンジンを搭載する401シリーズだ。セパレートハンドルを備えるヴィットピレン401とスクランブラースタイルのスヴァルトピレン401(写真)の2機種を用意 。その価格も魅力だ。

100年以上バイクを生産し続ける老舗「Husqvarna(ハスクバーナ)」

1689年、スウェーデン南部に位置するベッテル湖のほとりに、時の国王カール11世の命を受けて銃器工場が建設された。それがハスクバーナの始まりである。ハスクバーナとはその辺り一帯の名前だったが、王室に銃を納めていたことや豊富な水量によって機械加工業が栄え、地名自体がブランドになったのである。

銃器の製造を通してさまざまな技術を磨いたハスクバーナは、それを農機具やミシン、自転車製造にも転用。その中でもっとも大きな規模へ成長したのが1903年に始まった二輪への進出だった。

最初のモデルは汎用エンジンを搭載した原動機付自転車だったが、ほどなくオリジナルエンジンも開発。製品の信頼性をPRする常套手段として、’30年代に入るとレースに参戦を開始し、まずはマン島TTを始めとするロードレースで活躍した。’50年代以降はモトクロスやエンデューロの世界で勝利の山を築き、これまで獲得した世界タイトルは70を超えるなど、その名声を確固たるものにしたのである。

刻々と変化する時流の中、近年はカジバ(’87年)やBMW(’07年)に買収されることになったが、’13年からKTMの傘下に入ると経営基盤が安定。MotoGPやダカール・ラリーに進出を果たした一方、ストリート向けのニューモデルも積極的に発表するなど、巧みなブランディングでかつての勢いを取り戻している。

取材協力

ハスクバーナ モーターサイクルズジャパン(TEL:03-6380-7020)
http://www.husqvarna-motorcycles.com/jp/

出典

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PROFILE

伊丹孝裕

メインテスター

伊丹孝裕

ライダースクラブのメインテスター。アマチュアレースに熱中した後、バイク雑誌編集者に。鈴鹿8耐やマン島TTなど、国際的なレースに参戦し、近年はオフロードも本格的に。何にでも積極的に首を突っ込むスタイル

伊丹孝裕の記事一覧

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