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「YAMAHA SR400(ヤマハ・SR400)」~まさかの 進化を見逃すな~【R/C インプレッション】

1978年以来、トラディショナルな空冷単気筒としてビギナーからベテランまで多くのライダーに多様なバイクライフを伝えてきたSR。今度のSRは見た目に変わらない佇まいだがひと味もふた味も違っていた。シングルスポーツの醍醐味を伝えるエンジン特性に思わず熱くなるからだ。そんな新生SRを根本健が試乗レポートする。
(※本記事は『ライダースクラブ 2019年4月号』掲載記事を再編集したものです)

一般公道でのワインディングの醍醐味を貪るようなシングルスポーツへ変貌

往年のSR500に匹敵する低速トルクかも知れない

空冷シングルのSR400が最新の規制をクリアして2018年の11月に復活を果たした。規制へ対応したエンジン左前方のキャニスターが目障りな他は、これまでのルックスそのまま。1978年誕生と、『ライダースクラブ』と同い年という因縁だが、年々厳しくなる規制へ対応しきれず空冷エンジンが次々と姿を消していく中、少数派のニーズしか見込めないSRを継続していこうとするヤマハの努力には感心させられる。

それはともかく、気になる新規制への対応で走りが変わったかをまずチェック。スペックではやはり規制対応で2psほどパワーダウンしているようだが、それより注目したいのは最大トルクの発生回転域だ。

従来は5500rpmだったのが、何と3000rpmへと大幅に低い回転域へと変わっているではないか。これは実際に乗ってみても体感できる。SR400は単気筒の低回転域にドコドコと力強さをイメージさせるが、とはいえ400なので3000rpmあたりだと、4速や5速ではスロットルを大きく開けると粘る感じはあっても、さすがに加速感までは厳しい感じがしていた。

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2019年10月22日

それが新型では4速も5速でも、ワインディングの登り勾配が急でなければイイ感じで加速してくれる。これはもしかしたら、往年のSR500に匹敵する低速トルクかも知れない……そんな嬉しい発見に、このエンジン特性だからこそ楽しめる新型SR400の走りを探ってみた。

いやはや楽しいといったらない

ところで唐突に思うだろうが、単気筒のスポーツバイクはトラクションが心地良い、よく曲がれる回転域が意外なほど狭いのをご存じだろうか。これパワーバンドが狭くて乗りにくいという意味ではない。シングル乗りのキャリアがあればすでに何を言わんとしているか、お分かりだろう。出力特性として、単気筒のロードスポーツだと全体にフラット、つまり盛り上がった部分がない、どこでもそこそこのトルクがある特性に落ち着く。単気筒で相応にトップスピードも稼ぎたい出力特性にチューンされると、必然的に力強さが万遍なくある特性になる。これは直線をただ加速してゆくには都合は悪くないのだが、これがコーナリングとなるといきなり厄介になるのだ。

ご存じコーナリング中の加速で後輪が路面を蹴って、旋回力と安定性を高めるトラクション効果は、旋回中に速度が上がればこれに比例するように路面を蹴るトルクも増えていかないと、曲がれるポテンシャルはアタマうちになる。シングルスポーツは、このトルク特性でいうと低回転域から中速域へかけて、トルクが盛り上がる領域でトラクション効果が高い。というか、そのまま回転が中速域を越えていってしまうと、後輪が路面を捉える感じも強くなくなってしまう。ではどうすれば良いか、それは矢継ぎ早に旋回したままシフトアップする以外にない。この新型SR400でいえば、3000rpmを下回った域から、4000rpmを越えたあたりまでの、わずか1200~1500rpmほどの幅に収め続けるしかない。

正直、以前のストック状態のSR400ではワインディングをそこまで攻めるような走りをさせる気持ちにはならなかった。それが新型の3000rpmで最大トルクという特性で、一般公道でのワインディングの醍醐味を貪るようなシングルスポーツへと変貌を遂げていたのだ。

いやはや楽しいといったらない。本来のチューンの狙いは、幾分パワーダウンしても、より街中でも乗りやすいように中速域より下の回転域にトルクの山を持ってきたのだと思うが、しかしスロットル開度と比例してレスポンスも良くなるあたりは、街中とかそういう走りではなく、コーナリングを前提とした設定であるのは間違いない。開発中にシングルスポーツのポテンシャルも明確に与えておこう、そんな思惑もあったと信じたい。トラディショナルなSRに、そこまでのスポーツ性など必要ない……バイク好きならこれはあり得ない。どんなバイクも走ればスポーツ、ヤマハならそう熱くなってしまっても不思議ではない。

何れにせよ、シングルの醍醐味まで知っているスタッフが開発に携わった証しのようなエンジン特性と、トラクション効率の良さに曲がれる醍醐味の大きいハンドリングだ。

聞けばエキゾーストノートも、やや低周波でビートを感じやすくしているようで、知れば知るほど何とか生き延びさせようと老いた身体にカンフル注射を打ったのではなく、時代に合った、むしろ希少なシングルスポーツのポテンシャルを知ってもらう役割も与えた、そんなメッセージを感じさせていた。

新型SR400は、1950年代の英国製ビッグシングルからの潮流を受け継ぐ、他にはないトラディショナルなデザインも然りだが、あの時代に培われた27度のキャスター角が織り成す、前輪がやや遠回りをする穏やかなハンドリングをいまに伝える存在として輝きを増している。そしてシングル・ファンの方々には、赫灼として進化したその片鱗をお伝えできて良かったと思う。

YAMAHA SR400(ヤマハ・SR400)ディテール

メーターは昔ながらの2眼アナログタイプ。タコメーターのレッドゾーンは7000rpmから。最大トルクは3000rpmを2.9kg-mを発生する。

何度も形状を変えながらも、いまだにSRらしい美しさを保ち続けるディアドロップ型の燃料タンク。

排ガス規制に合わせてエンジン左側に取り付けられたキャニスター。燃料タンクなどに溜まる蒸発ガソリンを浄化させる機能を果たす。

リヤサスペンションは2本ショック。

フロントブレーキはシングルディスク。

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2019年10月15日

Specifications:YAMAHA SR400(ヤマハ・SR400)

エンジン 空冷4ストローク単気筒
バルブ形式 SOHC2バルブ
総排気量 399cc
ボア×ストローク 87×67.2mm
圧縮比 8.5対1
最高出力 24ps/6500rpm
最大トルク 2.9kg-m/3000rpm
変速機 5速リターン
クラッチ 湿式多板
フレーム セミダブルクレードル
キャスター/トレール 27°40′/111mm
サスペンション F=テレスコピックφ35mm正立
R=2本ショック
ブレーキ F=シングルディスク
R=ドラム
タイヤサイズ F=90/100-18
R=110/90-18
全長/全幅/全高 2085/750/1100mm
軸間距離 1410mm
シート高 790mm
重量 175kg
燃料タンク容量 12L
価格 57万2400円

※本スペックは『ライダースクラブ 2019年4月号』掲載時のものです。

取材協力

ヤマハ発動機(フリーダイヤル:0120-090-819)
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

出典

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PROFILE

ネモケン

ネモケン

根本健。75 ~78年まで世界GPに参戦。帰国後はライダースクラブ編集長として、ワークスマシンから市販車まで幅広く試乗。70歳を超えた今も最新マシンに乗り、読者にライテクを指南している

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