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「Norton COMMANDO 961 SPORT MkII(ノートン・コマンド961スポーツMkII)」~イギリスブランドの本気~【R/C インプレッション archives】

イギリスの名門ブランド、ノートンが復活してからはや数年。すべてがハンドメイドで生産されるという今や貴重な存在として注目を浴びる。そんなノートンのコマンド961シリーズがユーロ4に対応して新たに登場国内導入を果たしたこのモデルに根本 健が試乗した。
(※本記事は『ライダースクラブ 2019年5月号』掲載記事を再編集したものです)

大きな空冷エンジンと最新の装備が生み出す独自の感性に酔う

ノートン・コマンド961のEURO4規制をクリアした試乗車に乗ることができた。近年益々厳しくなる規制は、規模の小さなメーカーにとって大幅な時間とコストを費やすかなりのハードルで、大メーカーでさえ新たなEURO4を機に継続を諦めた機種も少なくない中、こうした希少車が今後も生存えると聞くと正直ホッとする。

ところでこのノートン・コマンド961、美しいビンテージなルックスの仕上がりを含め一般的な海外メーカーの量産車に思いがちだが、その素性はかなり特殊であることを先ずお断りしておきたい。

たとえば生産は英国の有名なドニントンパーク・サーキットに隣接した工場で、組み立てがいわゆる量産のベルトに乗った流れ作業ではなく、1台ずつ作業台に載せて手組みをするハンドメイド。空冷エンジンの冷却フィンの長さが深いのも、時間に追われない前提だから可能な造形美で、ノスタルジックな雰囲気をイメージさせるビンテージ風現代車との決定的な違いにもなっている。

といった按配で、このエンジンそのものが、1970年代に全盛だったコマンドの構成を踏襲しているのも、現代車両ではあり得ないこと。OHVと高回転やフリクションロスには不利なバルブ機構はもとより、大きなクランクケースをよく見ると、1次減速でクラッチがクランクから離れて配置されていたり、変速ミッションが占めているのも昔ながらの独立していた大きさだったりと、オリジナルのコマンドが設計されていた当時の流儀そのまま。だからこそ、雰囲気だけのリバイバルでは真似のできない半端ないホンモノ感が漂っているのだ。

フレームの燃料タンク下を貫通しているバックボーンが、エンジンオイルのタンクとなっているなど、キャリアのあるオートバイ通なら思わず顔がほころぶ箇所を各部に発見できるのも、このバイクならでは。

そしてこうした伝統の構成であることが、その走りに現代車両には絶対にない独得なハンドリングと味わいを楽しませてくれるのだ。

一番楽しいのが4000rpmから6000rpmを上回るくらいまでの回転域

それではエンジンのフィーリングからお伝えしよう。決定的に支配しているのが、270度の位相クランクによる不等間隔爆発。70年代には、270度はドゥカティのような90度Vツインくらいの超マイノリティ派で、英国車もスポーツ度の高い機種では強めのビートを刻んでいたものの、全般的にはマイルドながら気がついたらスピードが出ていたという感じだった。だから、この新コマンドの弾けるようなビートで路面を蹴っ飛ばす感覚は新境地なはず。すでにこの位相に慣れている我々には、活気のある証しとして好感が持てたが、初めての270度だと荒々しさとして相当なインパクトだろう。

一番楽しいのが4000rpmから6000rpmを上回るくらいまでの回転域。リッタークラスの排気量とはいえ、空冷でEURO4規制とくれば牙を抜かれたも同然……そう思っていたのを見事に裏切ってくれた。スロットルを開けてからのレスポンスも鋭く、大きく開けていると緩やかなコーナーだと警戒心が呼び覚まされる領域まで、瞬く間にドーンと猛ダッシュするではないか。いやはや、この醍醐味は楽しい。70年代にこんな鋭いダッシュはあり得ないが、当時としては開けて待つ感じのタイムラグがあるレスポンスながら、ひとたび加速の波に乗ると、スロットルを戻しても加速をやめてくれない錯覚に陥るほど、咆哮と共にロケットに乗せられている、コマンドはそんなポテンシャルで人気を博していたのを思い出す。

コーナリングも、当時は街中やカーブのきつい環境ではアメリカ人好みにヒラリヒラリとリーンしていくトライアンフが名高い存在だったが、これが高速コーナーとなるとほとんどのビッグバイクがユラユラと揺れるウォブルを生じていたのに対し、ノートン・コマンドはピターッと路面を這うように安定し、グラリともこないという独壇場だったのだ。

それも有名なフェザーベッドと呼ばれる、エンジンを取り囲むようにループ状のパイプがステアリングヘッドへ戻る、ノートン・マンクスなどレーシングマシンからフィードバックされたフレーム構成がなせるワザと言われていたが、この新コマンドはそのフェザーベッドではない。エンジン後部が車体剛性のメンバーとなるダイアモンドタイプで構成されているが、高速コーナーを得意とする素性を見事に受け継ぐ安定性をみせた。ラジアルタイヤならではの吸収力と安定力から、剛性を必要とせずに揺れることもない安心感と、何より昔はなかった高速域でのハンドリングの素直さが良い。安定性が強いと、カーブで頑固に感じる二律背反の大原則は消え失せた。

最新のトップエンドを装着したポテンシャルと、機械的な効率など無視したような大きめのエンジンとの組み合わせ

少し乗り込んでいくと、コーナーへのアプローチでリーンしていく過程で、コマンドのハンドリングを彷彿とさせる前輪のマナーがバーチカルツインとは違う感性にも気がつかされた。直立した大型シリンダーだと、リーンしたときなど前輪への動的な荷重が少ないのに対し、シリンダーを前傾させ車高を落としてリーンで前輪への荷重を稼ぐコマンドのレイアウトは、大型化で具体的になってきた160km/hあたりでも直進だけでなくカーブでのハンドリングが求められていく将来への布石がうたれていた、ノートンの斬新さとして印象深かったものだ。

その伝統的なバーチカルツインほど軽快ではないが、一定した前輪の安定感を維持しつつグーンと旋回へ入りながらグリップ感をフィードバックするハンドリングが心地よい。

前後のサスペンションにタイヤからホイールにブレーキまでを、最新のトップエンドを装着したポテンシャルと、機械的な効率など無視したような大きめのエンジンとの組み合わせ……この他に例のない感性は、時間の経過と共に徐々に説得させらるライダーも少なくないだろう。

ただし、ハンドメイドで生産量も少ない特殊な車両は、大メーカーの製品と違ってちょっとした小さなことでもつまづきやすい。そういう意味でビギナーにはお薦めしにくいのが正直なトコロだ。

Norton COMMANDO 961 SPORT MkII(ノートン・コマンド961スポーツMkII)ディテール

前傾した並列2気筒エンジンが存在感を主張する。フレームはスチールチューブラータイプで、跨ればそのスリムさに驚かされるはず。コマンド961 SPORT MK.IIは前後にオーリンズ製サスペンションを装備する、その名の通りスポーティかつスタンダードモデルとしての位置づけだ。一見クラシカルな印象だが、倒立式フロントフォークにラジアルマウントされたフロントブレーキをはじめ、最新の装備が奢られている。

深い冷却フィンを持つ大排気量空冷2気筒エンジンはいまや貴重な存在。ユーロ4規制に対応するべくECUを新作した。並列2気筒エンジンには270度クランクが採用される。オイル循環はドライサンプ式で、メインフレームがオイルタンクとして機能している。

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2019年10月22日

Specifications:Norton COMMANDO 961 SPORT MkII(ノートン・コマンド961スポーツMkII)

エンジン 空冷4ストローク並列2気筒
バルブ形式 OHV2バルブ
総排気量 961cc
ボア×ストローク 88mm×79mm
圧縮比 10.1対1
最高出力 72ps/7500rpm
最大トルク 6.8kg-m/6500rpm
変速機 5段リターン
クラッチ 湿式多板
フレーム スチールチューブラー
重量 236kg
キャスター/トレール 24.5°/99mm
サスペンション F=オーリンズ製φ43mm倒立式
R=スイングアーム+オーリンズ製ツインショック
ブレーキ F=φ320mmダブルディスク
R=φ240mmシングルディスク
タイヤサイズ F=120/70R17
R=180/55R17
軸間距離 1400mm
シート高 810mm
燃料タンク容量 15L
価格 331万5600円

※本スペックは『ライダースクラブ 2019年5月号』掲載時のものです。

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2019年10月17日

取材協力

ピーシーアイ
http://www.norton-motorcycles.jp/

出典

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PROFILE

ネモケン

ネモケン

根本健。75 ~78年まで世界GPに参戦。帰国後はライダースクラブ編集長として、ワークスマシンから市販車まで幅広く試乗。70歳を超えた今も最新マシンに乗り、読者にライテクを指南している

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