BRAND

  • Lightning
  • 2nd(セカンド)
  • CLUTCH Magazine
  • EVEN
  • BiCYCLE CLUB
  • RUNNING style
  • NALU
  • BLADES(ブレード)
  • RIDERS CLUB
  • CLUB HARLEY
  • DUCATI Magazine
  • flick!
  • じゆけんTV
  • 湘南スタイルmagazine
  • ハワイスタイル
  • トリコガイドシリーズ
  • buono
  • ei cooking
  • Yogini
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD

「Honda CB1100/EX/RS(ホンダ・CB1100/EX/RS)」~いま、あえて作り続ける空冷4発~【R/C インプレッション archives】

性能で考えれば、水冷エンジンの方が高いことは明らかなのにホンダが空冷エンジンのモデルを作り、さらに進化させ続けるわけとは……。空冷をこよなく愛する『ライダースクラブ』のボス根本健が感じた、ただの進化ではないホンダの本気をお届けしよう。
(※本記事は『ライダースクラブ 2018年2月号』掲載記事を再編集したものです。また台湾で行われた試乗レポートにつき、試乗および撮影車両は台湾仕様です)

大人を知り尽くしたホンダの傑作

この時代に空冷エンジンを継続するのは至難の業。次々と空冷モデルが廃盤になっているのは、いまさら説明の必要もないだろう。

水冷エンジンのように、ウオータージャケットに包まれたシリンダーが一定の温度に保たれないため、負荷の高い状態、つまり高温時にシリンダーとピストンのクリアランスを設定すると、通常運転時にはこの隙間が大きくなってしまう。燃焼室から排気ガスがクランクケースへ吹き抜けるブローバイガスなど、近年ますます厳しくなる排気ガス規制への対応は困難を極める。

この他社が諦めざるを得ない状況下でも、ホンダは空冷4発を残す覚悟でCB1100を刷新して間もなく1年が経つ。バイクファンとしてこの英断には拍手を送るのと同時に、皆さんに詳しくは知られていないCB1100の変貌ぶりをあらためてお伝えしたい。

告白すると、ボク自身も空冷を残す覚悟のほどにばかり目がいってしまい、燃料タンクがシームレス溶接仕上げになるなど、外観のレベルアップなどを補足的にお伝えするにとどめていた。

しかし、台湾でこのCB1100の発表試乗会があり、日本では滅多にない1泊2日のワインディングをメインに終日走りっぱなしというハードな行程を試乗して、刷新された際に込められたパフォーマンス向上の度合いが並大抵ではなかったことをあらためて知るに至ったのだ。

それは空冷モデルが、ともするとノスタルジックだったりトラディショナルなイメージのためのルックス優先で、走りの満足感とかパフォーマンスで語られるジャンルではないという先入観を、ことごとくブチ壊すほど衝撃的な走りだった。その反省の意味も込めて、試乗リポートをお届けしようと思う。

空冷だから雰囲気だけで良いとは言わせない意地が垣間見える

この新世代CB1100には、RSという主に足周りを豪華にした仕様が加わっている。スポークホイールのEXが、昔からの穏やかな安定感で定評の前後18インチであるのに対し、RSはコーナーでの運動性を優先したスーパースポーツなどと同じ前後17インチ。さらにスイングアームをアルミ製としたり、Fフォークもブレーキのキャリパーをラジアル・マウントという、レーシングマシンやスーパースポーツと同じ最強の方式でマウント、インナーチューブ径もφ 43mmと太くした、いかにも走りを意識した仕様だ。

つけ加えておくと、サスにはEXを含めて内部構造でデュアルベンディングバルブという、複雑な動きでダンパーの作動が硬くなってしまうのを防ぐ、しなやかで減衰力がシッカリと保たれる高機能な内容になっているのも見逃せない。空冷だから雰囲気だけで良いとは言わせない、そんな開発エンジニアの意地が垣間見える部分だ。

それを証明するのがフロントのアライメント。旋回への運動性と安定性のバランスを左右する設定を、EXがキャスター角度を27度にして復元性のトレール量を114mmとして安定感優先であるのに対し、RSは26度と99mmの明らかに素早く曲がれる仕様と、狙いに大きな違いがあるのだ。

また両車ともクラッチにアシストスリッパークラッチという、急激なシフトダウンで後輪が強いエンジンブレーキで跳ねてしまうのを防ぐ構造が加わったのも、このジャンルでは異例と言える。

機械というより生き物のような感触を楽しめるスロットルレスポンス

走り出すとまず感じる1番の魅力は、その空冷ならではの穏やかなスロットルレスポンス。たとえばスロットルを全閉から捻ったとき、水冷は瞬時に反応する鋭さがあるのに対し、空冷はピストンクリアランスの関係もあって、少しのタイムラグを感じさせながら穏やかに反応してくれるのだ。

空冷エンジンの魅力は掃除に手を焼くも愛おしいフィンの美しさ、そして人間の感性に沿うようにスロットルレスポンスする過渡特性だ。

タイムラグというと、性能的に良くないイメージで語られがちだが、人間の感性は瞬時の鋭いレスポンスには警戒してしまう。なのでモトGPマシンを含め、最新テクノロジーはココに予感できる、ある種のタイムラグをあえて設定するのが前提になってきた。つまり、この瞬間を人間の感性に馴染みやすくできるか否かが、乗りやすさやレースのような攻める乗り方の世界でも重要ということなのだ。

とはいえ、コンピューターでつくり出した穏やかさと、空冷が本来持っている素性とでは、感性への馴染みやすさでまだ差がある。機械というより生き物のような感触を楽しめるという、曖昧だが我々には最も説得力のある表現がピッタリの良さなのは間違いない。

このおかげで、CB1100はちょっと乱暴にスロットルを捻る醍醐味に溢れている。そこに予知可能な時間差でジワリと大きなトルクが発生し、後輪がグッと路面に踏ん張るようなグリップが得られる。この安心感と頼もしさこそ空冷最大の魅力で、水冷にはないホンモノ感がたまらない。ホンダがこの昔からのオートバイの魅力を残そうとする姿勢は、ファンとして大きな拍手を送りたい心境だ。

迫りくるブラインドコーナーが楽しくて仕方ない

そしてワインディング。今回は開発エンジニアも試乗会に参加していて、実際に一緒に長時間のワインディングを走ってくれた。モータースポーツへの関わりが深いキャリアが伝わる、基本がシッカリと身に付いたライディングで、その資質がスーパースポーツではないカテゴリーでの、楽しめて安心できる走りのバランスをまとめる実行力に具体性が高かったのは容易に想像できた。

何より、バンピーでヘアピンの続くような難所でも、RSの高めのギヤで低回転域を駆使した加速側はもちろん、スロットルを閉めた減速側の両面で、トラクションが効力を失わない路面への粘りともいうべきポテンシャルが光っている。アベレージ速度が下がると、失速気味に旋回安定性が失われることが予想できるシーンでも、RSはまだ大丈夫ですヨと言わんばかりに路面を離さないのだ。欲をいえば、もうちょっと追従性の高いツーリングスポーツタイヤを奢ってくれると、ビギナーでも安心感が格段に高まると思う。

Honda CB1100RS

このバンピーな路面で、複雑な動きにも硬くならないサス特性が功を奏している場面に何度も遭遇した。いわゆる段差で横ッ飛びしそうなバンク中でも、グリップ感を保ったまま駆け抜けるのだ。ブレーキは良い按配でセルフサーボな手応えを、Fフォークの特性とセットで発揮してくれるため、コーナー進入時の減速に強弱を加減するようなストレスがなく、一定の入力を前提に走りを組み立てられるので、楽しくかつ疲れにくい。これも欲を言えばリリース時の解放特性に、わずかな引き摺りを感じさせる過渡特性のパッドを装着してほしかった。

とはいえ、タイヤにしろパッドにしろ、ユーザーがアフターマーケットで交換できるから、オーナーになった方はぜひトライされると良い。そもそも他車と較べて格段に高い素性なので、さらに満足度が高まるに違いないからだ。

というワケで、スーパースポーツでもないのに、迫りくるブラインドコーナーが楽しくて仕方ない試乗となった。いや、信号もなく1時間以上も右や左へと絶え間なく切り返す今回のコースは、スーパースポーツでは疲れ果ててしまっただろう。ちょっと車重があって、お世辞にもスパッスパッとコーナーを決められるバイクではないのだが、人間の感性に馴染みやすいリーン速度、この間に路面とのグリップ感を途絶えることなく伝える信頼感、そしてグイグイ曲がれる低回転域でのトラクション、このコンビネーションの絶妙さはちょっと例がないほど高次元だった。キャリアのあるライダーなら、連続したコーナーで思わずニンマリしながら走れるはずだ。

Honda CB1100EX

RSばかり触れてしまったが、EXもかなり良い感じだった。何といっても長時間走行だったり、街中を駆け抜ける行程では、ややアップライトなライディングポジションが扱いやすさを感じさせる。それとタンデムをすると、コーナリングに特化したRSのように、ワインディングで状況によって前輪の旋回追従性が変化するのを意識してコントロールする必要性がない大らかさがEXにはある。タンデムが多い方には、本音でこちらのほうをお薦めしたい。

空冷だろうが、走りの満足感に妥協しない、空冷にこだわるライダーのキャリアだからこそ、あなたの求めるトラディショナルの新しい魅力が進化したカタチでいまここにあります……。そんな広告キャッチコピーを思い浮かべながらワインディングを満喫した2日間だった。

フロントフォークの倒立と正立の違いって? 【ネモケンの今さら聞けないバイクのギモン】

フロントフォークの倒立と正立の違いって? 【ネモケンの今さら聞けないバイクのギモン】

2019年10月15日

Specifications:Honda CB1100(ホンダ・CB1100)

エンジン 空冷4ストローク並列4気筒
バルブ形式 DOHC4バルブ
総排気量 1140cc
ボア×ストローク 73.5×67.2mm
圧縮比 9.5対1
最高出力 90ps/7500rpm
最大トルク 9.3kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
クラッチ 湿式多板コイルスプリング式
フレーム ダブルクレードル
キャスター/トレール 27°/114mm
サスペンション F=テレスコピック式正立フォーク
R=2本ショック
ブレーキ F=油圧式ダブルディスク
R=油圧式シングルディスク
タイヤサイズ F=120/70ZR17
R=180/55ZR17
全長/全幅/全高 2205/835/1130mm
軸間距離 1490mm
シート高 765mm
車両重量 252(253)kg
燃料タンク容量 14L
価格 115万2360(122万400)円

※()はE Package
※本スペックは『ライダースクラブ 2018年2月号』掲載時のものです。

Specifications:Honda CB1100EX(ホンダ・CB1100EX)

エンジン 空冷4ストローク並列4気筒
バルブ形式 DOHC4バルブ
総排気量 1140cc
ボア×ストローク 73.5×67.2mm
圧縮比 9.5対1
最高出力 90ps/7500rpm
最大トルク 9.3kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
クラッチ 湿式多板コイルスプリング式
フレーム ダブルクレードル
キャスター/トレール 27°/114mm
サスペンション F=テレスコピック式正立フォーク
R=2本ショック
ブレーキ F=油圧式ダブルディスク
R=油圧式シングルディスク
タイヤサイズ F=110/80R18M/C58V
R=140/70R18M/C67V
全長/全幅/全高 2200/830(800)/1130(1110)mm
軸間距離 1490mm
シート高 780mm
車両重量 255kg
燃料タンク容量 16L
価格 133万8120円

※諸元はTypeI、()はTypeII
※本スペックは『ライダースクラブ 2018年2月号』掲載時のものです。

Specifications:Honda CB1100RS(ホンダ・CB1100RS)

エンジン 空冷4ストローク並列4気筒
バルブ形式 DOHC4バルブ
総排気量 1140cc
ボア×ストローク 73.5×67.2mm
圧縮比 9.5対1
最高出力 90ps/7500rpm
最大トルク 9.3kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
クラッチ 湿式多板コイルスプリング式
フレーム ダブルクレードル
キャスター/トレール 26°/99mm
サスペンション F=テレスコピック式正立フォーク
R=2本ショック
ブレーキ F=油圧式ダブルディスク
R=油圧式シングルディスク
タイヤサイズ F=120/70ZR17
R=180/55ZR17
全長/全幅/全高 2180/800/1100mm
軸間距離 1485mm
シート高 785mm
車両重量 252kg
燃料タンク容量 16L
価格 137万8080円

※本スペックは『ライダースクラブ 2018年2月号』掲載時のものです。

クラッチに「乾式」と「湿式」があるワケ【ネモケンの今さら聞けないバイクのギモン】

クラッチに「乾式」と「湿式」があるワケ【ネモケンの今さら聞けないバイクのギモン】

2019年10月17日

出典

SHARE

PROFILE

ネモケン

ネモケン

根本健。75 ~78年まで世界GPに参戦。帰国後はライダースクラブ編集長として、ワークスマシンから市販車まで幅広く試乗。70歳を超えた今も最新マシンに乗り、読者にライテクを指南している

ネモケンの記事一覧

根本健。75 ~78年まで世界GPに参戦。帰国後はライダースクラブ編集長として、ワークスマシンから市販車まで幅広く試乗。70歳を超えた今も最新マシンに乗り、読者にライテクを指南している

ネモケンの記事一覧

No more pages to load