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20年はポールポジションも獲得!  中上貴晶と本音で語る/中野真矢【Talking Grid】

現在唯一の日本人MotoGPライダー中上貴晶さんは幼少期からよく知る間柄
同じ千葉出身、そして同じGPライダー、ディープなオンライントークに花が咲いた

MotoGPライダー 中上貴晶さん 92年生まれ。千葉県出身。ポケバイで中野真矢さんから最優秀賞を授与されたことも。全日本ロードレースでは06年GP125と11年J-GP2でタイトル獲得。世界GPでは125ccとMoto2を戦い、18年よりMotoGPライダーに。20年にはポールポ ジションを獲得している

初戦で感じた危機 走りを変えるしか道はなかった ―本音で語る。とことん語る―

中野 いきなりですが、本誌で少し前にリアブレーキの使い方を小特集したんですけど、中上選手はリアブレーキを使いますか?

中上 めちゃくちゃ使います! モトGPに上がってから多用するようになりましたし、シーズンを重ねるごとにどんどん使うようになっています。

減速はもちろん、ウイリー抑止の意味もあって、ほとんど休むことなく使っていますね。

中野 よかった、リアブレーキは重要だって確認できた。現役のトップライダーに言ってもらうと説得力がありますね(笑)。

ところで20年は、コロナ禍で特別なシーズンになりましたよね。

中上 モトGPは通常3月の開幕戦が7月に行われて、そこから約4カ月半で14戦と、非常にタイトなスケジュールでしたね。ほぼ連戦続きの繰り返しだったので、大変でしたが、自分にとってはプラスだったと思います。

というのは、短いスパンでモトGPマシンにたくさん乗れたんですよね。自分は常に向上をめざしているので、たくさん乗ることで多くの発見がありました。

休みが短いのはちょっとハードでしたが(笑)、自分自身の成長を感じられ、非常に有意義でした。

中野 昨シーズンはマルク・マルケスが欠場したことでタカがホンダを引っ張る立場になりましたが、何か意識が変わりましたか?

中上 メディアの皆さんから「今、ホンダでトップだけどどう?」と聞かれることが多かったんですが、最初のうちは「マルクはすぐに戻ってくるだろう」と思っていたので、自分の走りに集中していました。

中野 好成績を重ねるにつれて、ホンダもサポート体制を変えていったと聞いています。プレッシャーにはなりませんでしたか?

中上 喜びが大きかったかな。自分はサテライトチームですが、ポイントを1番獲っていたので、開発テストライダーの役割も担っていたステファン・ブラドル選手とほぼ同時のタイミングで、先行パーツをテストする立場になったんです。

そういうテストの時、コメント取りしてくれる人数がすごく多いんで すよ。先が見えないぐらいたくさんのエンジニアが、一斉に自分のコメントを聞きにくる。

それは自分が小さい頃にテレビで観て憧れていたのと同じ光景で、「自分もここまで来ることができたんだな」って実感でき、すごく励みになりました。

日本人選手では16年ぶりとなる 最高峰クラスポールポジション

20年10月末にアラゴンサーキットで行われたテルエルGP、中上選手はフリー走行2回目でトップタイムをマーク。1回目、3回目、4回目も2番手につけ、好調さを見せつけた。そして予選は、ポールポジションを獲得。最高峰クラスにおける日本人ライダーの予選トップは、04年バレンシアGPでの玉田誠以来16年ぶりの快挙だった。決勝は攻めの走りでスタート直後に転倒、リタイアを喫した

中野 マルク選手のデータを参照して走りを変えたそうですが、具体的に教えてもらえますか?

中上 3年目の開幕戦を10位で終えて、想像 もしていなかった不甲斐なさにものすごく危機感があったんです。 走りがまったくダメだった。「これは変えな いといけないな」と思いました。

僕が昨シーズン走らせた19年型RC213Vは、マルク以外のライダーが苦戦したマシン。自分も今までの走りでは対応できないだろう、と考えたんです。

そこで参考にするデータをマルクのものに絞って、彼と自分の走りを細かく比較したんですが、1番大きな違いは止め方でした。

マルク以外のライダーたちは「19年型はパワーがあるけど、止められない」と言っていた。でもマルクは速く走れていた。絶対に彼独自のことをしているはずだ、と。

見つけるのは大変でしたが、データで分かったのは……、実はさっき真矢さんが言っていたリアブレーキなんです(笑)。

中野 話がつながるね(笑)。

中上 フロントタイヤはもちろん、リアタイヤも最大限使い2輪でしっ かり止めるのがマルクの走りです。かなり早い段階から、サイドグリップまで使って止めていました。 中野 寝かし込みの初期段階から、かなり強くブレーキングしていくってことですよね。

中上 そうなんです。でも自分には他に選択肢がなかった。とにかく翌週のレースまでにマルクのブレーキングをコピーするしかありませんでした。

中野 すぐにできたんですか?

中上 えっと、簡単に言うとできました(笑)。開幕2連戦の舞台だったヘレスサーキットは、もともと得意なコース。そこですぐ新しい走り方にトライできたのは、いいタイミングでしたね。金曜日のFP1で5、6周した時点で、すぐに手応えが掴めました。

中野 スゴイ……! その後、他のサーキットでもすぐに適応できたんですか?

中上 いやぁ、難しかったですね。コースレイアウトや路面のμが違うので……。簡単にできたサーキットもあれば、「まだまだだなぁ」というサーキットもあります。自分のクセもありますしね。

中野 シーズンが進むにつれて成績がどんどん上がったのは、リアブレーキの使いこなしがポイントだったんですね。他にもポジティブな要素はありましたか?

中上 自分自身の走りと成績とのバランスが見えてきたことも大きかったですね。「こういう走りをすればトップ3に入れる」というのが理解できたんです。リザルトが上がれば上がるほどがむしゃらさがなくなって、落ち着いてレースに臨めるようになりました。

名実ともにトップライダーの仲間入り ’21年は最新型RCVでさらなる飛躍を

MotoGP参戦初年度は33ポイントでランキング20位、2年目は74ポイントで13位、そして3年目の20年は116ポイントを積み重ね、ランキングも10位に入った。ポールポジションを獲得し、結晶での最高位は4位が2回。表彰台はすぐそこにある。21年もサテライトチーム・LCRホンダ出光からの参戦だが、念願の最新型RC213Vの供給が発表されており、さらなる躍進に期待がかかる

中野 どうしても避けて通れないのが、第12戦テルエルGPです。予選ポールポジションを獲得してからの、決勝はスタート直後にリタイア……。あのレースは?

中上 各セッションで常に1位、2位にいて、予選でもポールポジション。「これだけ来てるのに『表彰台をめざします』じゃないだろう」と思っていました。
「優勝できるかもしれないのに、守りに入っていたら表彰台も獲れない」と自分に言い聞かせながら、「勝ちたいんだ、勝つんだ」という気持ちを前面に出したんです。

ただ……、ちょっと強すぎましたね(笑)。

中野 みんなに「もう少し落ち着いて行けばよかったのに」と言われたでしょう?

中上 それはもう(笑)。ただ、守りの走りはライダーとしては不本意。 行ける時に勝負しないでどうするんだ、と。

みんなが言うことも理解できる。 でも心の中では「あれで正解だったんだ」と思うライダーとしての自分もいるんです。

中野 あの瞬間は、僕もタカと一緒に転んでました(笑)。テレビで解説してたんだけど、気持ちが入っちゃって、完全に一緒に走っていたんです。転倒の後は動揺して解説にならなかった(笑)。

でも、マルク選手だってチャンピオンが懸かったレースの朝フリーで大転倒していますからね。その引き出しは僕にはないけど(笑)、世界選手権でチャンピオンになる人っていうのは、それぐらいの気持ちを持っているんだな、と。

だからタカの選択は、全然アリ。もし守りに入って順位を落としたら、そっちの方が後悔しますよ。

中上 そうなんです。守りに入る自分には、先がなくてネガティブな感じしか残らないんですよね。だったら挑戦してポジティブな気持ちでいた方がいい。

今、もしまた同じ状況になったら、同じ選択をすると思います。チャンピオンを何度も獲って連覇が懸かっているなら別ですが、まだ何の実績もない今は、「守りじゃないな」と。挑戦者として戦うべきだと思っています。

「勝ちたい」という願いが「勝てる」という確信に変わった

中野 いよいよ「勝ちたい」から「勝てる」になって、表彰台も勝ちも見えてきたことが伝わってくる力強いコメントです。

中上 やっと来られた、という思いが強いです。小さい頃からの夢に着実に近付いてきている。

「モトGPチャンピオン」という目標を 1 度も見失わずに走り続けてきて、ポールポジションというステップは踏めました。次は優勝者として名前を刻みたい。

昨年は、フリー走行を含めて10回トップタイムを記録しているんです。そんなにがむしゃらでもなく、自然とその位置につけるようになった。 自分のベースが上がって、トップライダーの仲間入りができたのではないかと思います

中野 タカはポケバイで見てた頃から変わってないよね。冷静に、目の前のことをひとつひとつクリアする――。そうやって着実に身に付けた自信が、今、実を結びつつある。いろんなライダーに見習ってほしいお手本です。

中上 昨シーズンは自分のミスから初表彰台、初優勝はつかめませんでしたが、トップタイムとポールポジションは獲れた。この延長線上で、今シーズンはさらなる進化を求めていきます。チャンピオン争いはできると思っています。

中野 本当に楽しみ。テレビ解説で「優勝おめでとう、中上選手。やったね!」と言わせてね(笑)。シー ズンが終わったら、南房総にあるタカの叔父さんの喫茶店までツーリングに行こう!

中上 ぜひ!

 

Navigator:中野真矢 Shinya Nakano 

77年生まれ。中上選手のことはポケバイ時代からよく知っている。「タカは子供のうちから明らかに速く、マイペースで着実に進化していくタイプ だった。MotoGPでも間違いなく勝てるライダーです」 。なお今回の取材はオンラインで行われた

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PROFILE

RIDERS CLUB 編集部

RIDERS CLUB 編集部

1978年の創刊時から、一貫してスポーツバイクの魅力を探求し続けるオピニオンマガジン。もはやアートの域に達している、バイクの美しさを伝えるハイクオリティの写真はいまも健在。

RIDERS CLUB 編集部の記事一覧

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