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見た目からは想像できない大幅進化! 元GPライダー原田哲也がその実力をインプレする!

重いバイクを軽く走らせる。それが技術というものだ Impression & Way to ride

原田哲也
’92年、全日本ロードGP250クラスチャンピオン。’93年、世界GP250クラスにデビューしていきなりチャンピオンを獲得。’02年に引退するまでの間、GPでは表彰台に55回立ち、今も日本人最多記録となっている。今号より本誌エグゼクティブ・アドバイザーに就任した

コーナーは速度を落とし立ち上がりの加速を楽しむ

素晴らしいライディングだった。猛禽類の名を冠されている新型ハヤブサが、まるで従順な小鳥のように素直に言うことを聞いている。ライダーは、’93年に世界グランプリ250㏄クラスでチャンピオンを獲った、原田哲也さんだ。

ハヤブサのような重量級モデルに乗る機会は多くないと言うが、その言葉がにわかには信じられないほど、軽やかにハヤブサを手なづけている。

「軽やか……。そう見えるんだね。走らせている方は結構大変なんだよ」と原田さんは笑う。

「はっきり言って、ハヤブサは重い。264kgというハヤブサの車重には『おっ……』と身構えるものがある。

僕なんか背が高くないから、これだけ大柄なハヤブサを走らせるのはいろいろ大変なんだよ(笑)。

でも、重いバイクを重そうに走らせていたら芸がないでしょ?(笑)重いバイクを軽そうに走らせる。それが技術ってもの」

現役時代から、原田さんはハンドルを積極的に使っていた。コーナーのイン側のハンドルを押して、マシンを寝かせる。イン側のハンドルを引いて、マシンを起こす。

ハイスピードになればハンドルは重くなるが、操作の重要性はもっと増す。原田さんは、「相当な力でハンドルを押し引きしていた」と言う。レーシンググローブはすぐにボロボロになったそうだ。

ハンドルでバイクをコントロールするライディングスタイルは、現役を引退してからも変わらない。グローブをボロボロにしてしまうほど強い力ではないが、意識的にハンドルを押し引きしているのは当時とまったく同じだ。

こと、ハヤブサのような重量車になれば、ハンドル操作が欠かせない。ただし、それは意外な方向で駆使されていた。

「見た目こそ大柄なハヤブサだけど、実はすごく軽快に走ってくれる。かなりスポーティーなハンドリングを備えているバイクだ。だからコーナー進入時の倒し込みは、そんなに意識しなくてもスッと寝てくれる。

ただ、車重がある分、そのままずっと寝続けようとする(笑)。それを起こすために、一生懸命ハンドルを使うっていう感じかな」

圧巻はコーナーの立ち上がりだった。コーナリングの最中、原田さんが操るハヤブサは驚くほど車速が落ちている。極めてレベルの高いブレーキングテクニックを駆使しているのだ。車速が低いから、しっかりと向きが変わる。アクセルを開けるタイミングは思いのほか遅い。十分に車体の向きが変わるのを、原田さんはじっと待っている。

「行ける」と判断してからのアクセルオープンは凄まじい。一切の迷いなく188㎰のパワーを解き放つと、後輪が路面にブラックマークを刻みつけ、巨体が弾けるように加速する。

「しっかり向きが変わっているし、車体は起きているから、あとはアクセルを開けるだけ」と原田さんはアッサリと言う。

だが、そう簡単なことではない。たいていの場合、車体が寝たままコーナー立ち上がりに差しかかってしまい、アクセルを開けられない。もしくは、無理矢理アクセルを開けて痛い目に遭う。

ハヤブサには優秀なトラクションコントロールシステムが装備されているが、もちろん万能ではない。ライダーが走り方でアジャストするべき点も多い。

「向きが変わるのを待てずにアクセルを開けてしまうと、どんどんはらむ。それをどうにかしようと、車体を寝かせる。そうするとアクセルは余計に開けられなくなる……。悪循環にはまるケースが多いんだ。

でも僕は、コーナーがいくら遅くなってもまったく気にならない。むしろ、できるだけ遅く走ってやろうと思ってる。特にハヤブサのように重量があってパワフルなバイクほど、コーナーは速度を落として、加速を楽しみたい。

何しろ凄まじくパワフルだからね。豪快な加速を味わわなくちゃもったいない。それこそがハヤブサの魅力なんだと思う。そのためなら、少しぐらいコーナリングスピードは我慢しなくちゃね(笑)」

そして原田さんはこう言った。

「ハヤブサに病みつきになるライダーが多いのも分かるよ。個性的でマニアックなバイクだから、熱狂的に愛されるだと思う。

でもバイクって、もともとそういう乗り物じゃないかな?」

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PROFILE

RIDERS CLUB 編集部

RIDERS CLUB 編集部

1978年の創刊時から、一貫してスポーツバイクの魅力を探求し続けるオピニオンマガジン。もはやアートの域に達している、バイクの美しさを伝えるハイクオリティの写真はいまも健在。

RIDERS CLUB 編集部の記事一覧

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