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イラストレーター松屋正蔵がバイク全盛期を振り返る! 「ノリック・アベの伝説の走り」

イラストレーター松屋正蔵が描く 熱狂バイク Masakura Matsuya presentsクロニクル

ノリック・アベさんが伝説の走りを見せた日本GP

実は僕、世界GPビデオのコレクターです。85年から始まって、現在に至るまでの全戦をDVDやブルーレイに録画し、保存しています。その噂が出回ったようで、バイク誌にレースビデオヲタクとして紹介もされました。

そのコレクションの中でもお気に入りのレースの一つが、94年の第3戦日本GPでした。当時は衛星放送のWOWOWで世界GPが全戦放送されていました。レーススケジュールは午前中のGP3(125㏄)から始まり、GP2(250㏄)、そしてメインレースのGP1(500㏄)が午後の早い時間という順番でしたが、放送はGP1クラスのライブから始まっていました。

解説者に八代俊二さんとスポーツジャーナリストの土志田彰さん。実況アナウンサーが柄沢晃弘さんでした。そして放送開始時間に合わせて録画が出来ているかの確認をしながら、GP1のレースの開始をウキウキドキドキと楽しみにしていました。その楽しみの理由が、ノリック・アベこと阿部典史さんの存在でした。

この日本GPのみの、パステル調の赤と緑をまとった、見慣れないミスタードーナツカラーのNSR500での参戦となりました。

前年(’93年)の全日本GP500で、国際A級に昇格直後、非凡な走りが評価され、なんとホンダからNSR500が用意されたのです。まだ18歳だったノリックさんは果敢な走りで全日本のGP500クラスをかき回し、一気に最高峰クラスのチャンピオンを獲得しました。

しかし、全日本GP500はこの’93年シーズンをもって終了してしまう運命でもありました。翌’94年の日本GPで派手に目立たないと、世界までの道のりが遠のくと考えたノリックさんは、追い詰められた気持ちで死に物狂いで走りました。彼にとっては、そのまま全日本のスーパーバイククラスに残ることになると、ワークスマシンを相手に市販車改造マシンで戦う事になるので、世界GPへの道は遠のくと考えていました。

その気持ちは画面を通しても伝わる程で、相手が世界チャンピオンのケビン・シュワンツさんであろうが、ミック・ドゥーハンさんであろうが、パスできる隙があればすぐに前へと出る展開を繰り返すのでした。そして、ラスト3周となった第1コーナーでの派手な転倒リタイヤにより、世界GP参戦を目論んだノリックさんの、大事な日本GPは終わってしまいました。ですが世界中のファンは、そんな彼を放っておく事はありませんでした。そして急遽ヤマハのチームレイニーへの移籍が決まり、世界GPへの道が開かれたのです。当時としてもシーズン中にメーカーを渡る移籍など有り得ない事。「人の運命はこうして開かれるのだ!」と思わせてくれました。

そんなノリックさんのライディングの特徴は、ダートトラック仕込みのリーンアウトの乗り方で、コーナリング中ずっとタイヤが滑り続ける状態をキープする走りでした。外足に加重するために、上半身を大きくアウト側に位置させ、タイヤが滑ればイン側の膝で路面を蹴りながら外足に体重を載せ、滑って体勢が崩れたマシンの挙動を整える走りでした。この日本GPでも、滑ったマシンの挙動を整えるためにイン側の膝から白煙が上がるシーンも観られました。

もう一つノリックさんの走りで気付いているのは、リーンアウト乗りだと普通は前乗りになるのですが、ノリックさんの場合はペースが速くなってくると、お尻を引き気味(リアステアと言っていいのか?)になる特徴でした。お尻を引き気味にすると、外足が綺麗にタンク(マシン側面)に沿いますから一見で分かります。そして外足のつま先がピョコンと外側に飛び出すのですが、これは足の土踏まずを、足首を曲げないように意識的に固定し、体重をステップに掛けているためでした。シュワンツさんもドゥーハンさんも同じ体重の掛け方をしていました。

この日本GPで面白かったのが、トップ争いのノリックさん、シュワンツさん、ドゥーハンさん、皆がリーンアウト乗りだった事。今からでもカッコ良いリーンアウト乗りを覚えたい方は、このレースを観れば良い教えになると思いますね。

とにかくこのレースのDVDを手に入れて、ノリックさんの勇姿を再び観て頂きたいです! レースがもっと好きになりますよ。きっと。

 

松屋正蔵
1961年・神奈川生まれ。’80年に『釣りキチ三平』の作者・矢口高雄先生の矢口プロに入社。’89年にチーフアシスタントを務めた後退社、独立。バイク雑誌、ロードレース専門誌、F1専門誌を中心に活動。現在、Twitterの@MATSUYA58102306 にてオリジナルイラストなどを受注する

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PROFILE

RIDERS CLUB 編集部

RIDERS CLUB 編集部

1978年の創刊時から、一貫してスポーツバイクの魅力を探求し続けるオピニオンマガジン。もはやアートの域に達している、バイクの美しさを伝えるハイクオリティの写真はいまも健在。

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