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原田哲也さんが大いに語る。EV化はバイク業界に訪れる 「新しいチャンス」

EV化はバイク業界に訪れる「新しいチャンス」

エグゼクティブ・アドバイザー原田哲也さんが大いに語るバイクのこと、これからのこと

欧米諸国が中心となって、急速に進みつつある脱・内燃機関のムーブメント。バイク業界への影響は不透明な面も大きいが、何らかの変革がもたらされることは間違いない。「新しいユーザーを取り込むチャンスかもしれない」と原田哲也さん。電動レーサー・MotoEマシンを試乗した経験からも、未来に可能性を見出そうとしている。

聞き手── 実業之日本社社主 白井一成

原田哲也さん
’92 年に全日本ロードレース250ccクラスでチャンピオンを獲得し、翌’93年には参戦初年度の世界グランプリ250ccクラスチャンピオンとなった。以降もGPのトップライダーとして活躍。’02 年に現役を引退し、現在はさまざまな形でバイクの楽しさを伝え続けている

EV化はバイク業界に訪れる「新しいチャンス」

原田 白井さんは本当にバイクが好きですよね(笑)。白井さんとは何度一緒にバイクに乗ったことか。サーキット、ツーリング、林道、トライアル、モトクロス……。

白井 ええ、大好きです(笑)。

原田 僕なんかは、せいぜい家族のことだけを考えればいいから気楽なものですが、白井さんは大きなグループ企業のトップという立場。バイクに乗ることのリスクについて、どうお考えなんですか?

白井 金融の世界では、リスクというのはリターンの幅のことを指すんです。具体的には、不確実な収益の振れ幅を、リスクと言います。

つまりリスクとリターンは表裏一体で、どんな時でもリスクはある、ということなんですよね。だからリスクを極小化して、リターンを最大化することを考えるんです。

このあたりを突き詰めると専門的で理屈っぽい話になっていくので、ここでは割愛しますが……(笑)。 私はバイクも同じように考えています。

バイクには常にリスクがある。これは確かです。そのリスクをうまく減らせば、リターンが多くなる。

だから私は、公道はものすごく安全に走っています。若い頃の6、7割掛けといったところでしょうか。

そして多くの皆さんが「つまらない」とおっしゃる8の字の練習が大好きなんですよ(笑)。

原田 僕とまったく同じだ(笑)。8の字なんか1日中やれますよ。例えばブレーキングといったら、同じコーナーでひたすらブレーキングの練習を繰り返してました。めちゃくちゃ地味な反復練習ですよね(笑)。

でもそれが、自分のライディングにとってはすごく大きな資産になったのも確かです。

白井さんがおっしゃるようなリスクマネジメントの考え方はまったくなくて、ただ好きだっただけですが(笑)。

白井 地味な反復練習でリスクを減らしたことで、世界チャンピオンという大きなリターンを得られたわけですから、さすがです(笑)。

原田 言われてみれば(笑)。

プロのレーシングライダーだった僕の場合は、「レース結果」というリターンが得られたわけですが、一般のライダーの方たちにとって、バイクに乗ることによるリターンは何だと思いますか?

白井 ひとつは、脳の活性化でしょうか。以前、ヤマハと東北大学の川島隆太教授の共同研究結果として、「バイクに乗ることで脳が活性化する」と発表されましたよね。

これは私自身の実感としても、事実だろうなと思えるんです。

特にハイスピードなサーキット走行では、常にダイレクトなリスクや恐怖心と隣り合わせです。全身を使いながらそういう精神状態になるというのは、たぶん野性の生存本能が呼び覚まさせられるように思います。

もうひとつは、バイクに乗ると仲間意識が高まることですね。サーキットでもツーリングでも、それなりに長い時間を仲間たちと共に過ごすことになります。

今はコロナ禍で難しいのですが、本来であればバイクで走った後に食事をしたり、お酒を飲んだりしながら、絆が深まるという面が大きいですね。

原田 普段の仕事とは関わりのない共通の趣味があるって、いいものですよね。

白井 ええ。グループ企業の方たちともバイクに乗るんですが、特に仕事の話をしなくても確実にチームワークが高まります。

人脈も広がって、新しいビジネスにつながるということもありますね。ただ、そこを狙っているわけではないんです。基本的には、バイクが好きなだけ(笑)。

原田 バイク好きなビジネスパーソンとして伺いたいんですが、バイクの今後はどうなっていくと考えていますか?

白井 主要4メーカーを有している日本は、バイク大国といえるはずです。

そのお膝元でバイク人口が減少していくというのは、国の経済力という点でも非常に由々しい問題だと思っています。外車、日本車の良し悪しという話ではなく、本来は日本でももっとバイク文化が育ってもいいはずなんですよ。

今、二輪のメジャーマーケットは東南アジアです。東南アジアで開発されたバイクが多く、日本に逆輸入されています。中には日本では発売されていないモデルもある。

日本のメーカーでありながら、日本にはマーケットがないから発売しないというのは、ネガティブサイクルに陥っていると思うんですよね。

私たちメディアの力は微々たるものかもしれません。

ですが、ネガティブサイクルを積極的に逆回転させて、正常な循環に正していかなければならない。……これは理想論であって、現実にはかなり難しいことだと認識していますが、私たちにはそれをやる使命があると思うんです。

原田 さすが、熱いスピリッツをお持ちですね。

仲間内でモトクロスに行っても、白井さんが一番走っているだけのことはあります(笑)。

白井 原田さんにもエグゼクティブ・アドバイザーという形でリードしていただき、たくさんの方を巻き込んでいきたいんです。

私たちメディアの力は微々たるものですが、読者の方ひとりひとりの力を合わせれば、大きなパワーになる可能性があります。そうやってバイク業界全体が盛り上がってくれたらうれしく思います。

原田 そうこうしているうちに、バイクも電気モーター化してしまいそうな勢いですからね。そうなった時に日本の二輪マーケットが縮小しすぎていたら、他国メーカーの攻勢が今以上に激しくなりそうです。

もはや、4大メーカーなんて言っていられない時代が近付いている感じさえしますよ。

白井 原田さんは、バイクの電気モーター化についてどのようにお考えですか? 私などは排気音がないとどうにも気持ちよくないな、なんて思ってしまうんですが(笑)。

原田 同感です(笑)。でも、EV化は避けて通れないと思います。

レース界でも、ご存知の通り19年からモトEが行われていますよね。僕もモトEマシンに試乗させてもらいましたが、まだまだ車重が重いなど課題はありました。やはりエンジンで育った世代ですしね。

ただ、これはもう逆らえない時代の流れだと思うんです。地球温暖化のことを考えれば、「バイクだけガソリンエンジンのままでいい」とは言っていられないでしょう。

それに、ポジティブに考えれば、量産バイクのEV化は新しいチャンスかもしれません。

ガソリンエンジン車に比べると、EVは燃料代が電気代になって安くなるでしょうし、オイル交換も不要。ランニングコストが抑えられるので、もしかしたら若い人が入ってきやすい乗り物になるのかもしれないな、と。

白井 自転車に近い気軽な感覚になる、と言うことですね。

それはあり得るかもしれませんね。EV化で新しいユーザーを獲得できるかどうかは、バイク業界にとって大きな分水嶺になるような気がします。

原田 まさにその通りですね。僕らおじさん世代は、自分の経験からつい「エンジンが……」とか「排気音が……」なんて言ってしまいがちですが、若い人たちにはそんなこだわりはありません。

むしろEV化でランニングコストが抑えられて、音も静かで、環境にも優しいとなれば、若者たちに受け入れられる可能性は高いですよね。

それにスマホとの連携ももっと密接になるでしょう。スマホでセッティングできるようになったりすれば、新しい遊びとして喜ばれるんじゃないでしょうか。

白井 スマホをススッといじったら、モーターの出力特性が2スト風になったり4スト風になったり、なんて時代が来るかもしれませんね。

原田 まぁ、おじさん世代はついていけないかもしれません(笑)。でも実際、車輪がふたつでもまったく違う乗り物になると思うんです。

バッテリーの容量次第では、EVバイクはすごくコンパクトに作れるでしょう。そうすると小柄な女性も今よりずっと乗りやすくなるかもしれない。

いろんな意味で、今までとは違ったバイクユーザーが増えるんじゃないかと思うんです。

白井 電子制御がいっそう進んで、倒れないバイクが一般的になるかもしれませんね。

原田 十分にあり得ますよね。本当に、今までになかった劇的な変化がここ十数年で起こるような気がします。

僕たちおじさん世代も、時代に取り残されないように勉強しないといけませんね(笑)。

白井 メディアとしても、今以上に注意を払うべき動きです。

バイクと自転車の中間に位置するような、新しい乗り物も提案していく必要がありそうです。

原田 何かが変わる、ということは新しいチャレンジができる、ということ。

僕たちも頑張りどころかもしれませんね。

白井 その通りだと思います。ぜひ原田さんのお力添えもよろしくお願いいたします。

マフラーを持たないMotoEマシン。MotoGPマシンと比べて約100kg重いが、運動性能は向上しつつある。来るべき未来を見据えて、レース界は確実に動き始めている

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PROFILE

RIDERS CLUB 編集部

RIDERS CLUB 編集部

1978年の創刊時から、一貫してスポーツバイクの魅力を探求し続けるオピニオンマガジン。もはやアートの域に達している、バイクの美しさを伝えるハイクオリティの写真はいまも健在。

RIDERS CLUB 編集部の記事一覧

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