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【ランスタトレラン部 Season2】UTMF挑戦記録vol.02 しゅう編 ~手の届くところにある“100マイル完走”が崩れ去った瞬間~

前日は、旅行気分でドライブを楽しみながらメンバーと会場入り。全必携装備を確認する装備チェックは初めての経験で、大きな大会に来たことを実感した。手首に巻いてもらったリストバンドに気持ちも高まる。河口湖の向こうに富士山が見えて、絶対ここに帰ってくるぞ! と心に誓った。

宿に戻って、自分の装備を床に広げながら、サポートクルーと打ち合わせ。サポートの手元にあるタイム表には、たくさんメモが書き込まれていた。こんなに心強いことはない。初めての100マイル、やるだけのことはやってきたけど、不安はあった。「1人で戦うわけじゃない」と心の支えになった。

Text : Emma Nakajima
Photo : Takashi Ueda

 

 

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思わぬ体調不良で一睡もできずまま、テンションを上げてゲートを飛び出した
前夜、なんだか体の様子がおかしい。思わぬ体調不良。ほとんど眠れずに朝を迎えてしまい、不安と不満でいっぱいになったけれど、口に出すまいと思って、楽しもう! と何度も自分に強く言いきかせた。

会場には見たこともないくらい大勢のトレイルランナーが集まっていて、どんよりした天気など吹き飛ばすくらい気迫が溢れている。これがUTMFか!この場所に自分が立っていられることに、思わず鳥肌が立った。ポジティブな雰囲気のおかげで気持ちを持ち直してスタートゲートをくぐり、鏑木さんとハイタッチして、はやる気持ちを抑えて走り出した。

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「きららまでは抑えて走ろう。きららからが本番!」

これまで前半で突っ込むと良いことがなかった。だから今回はしっかり抑えて入ることにしていた。脚を使わずに天子山脈をクリアし、熊森山からのドロドロ下りへ。濃霧でヘッドライトの光はほとんど機能せず、ハンドライトで足元を照らしながら慎重に下ってロードに出た。ホッと一安心。トレランでロードが嬉しいなんて思ったのは初めてだった。

 

天国のサポートエイド、みんなと会って約束の○○をもらう!
来た! 念願のサポートエイド! ここでサポートに頼んでいた「気持ちを上げるスイッチ」の一つ目をもらうことにした。それは、天子越えたことを褒めてもらう激励作戦だ。みんなから約束通り「すごーい! やったねー! さすがー!」と褒めてもらって、気分上々。エイドを出る時にはサポート全員とハイタッチもした。

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一晩目にしてすでに眠気のピーク! 眠気対策は、カフェインと……
強い雨と風切音の中、竜ヶ岳の登りで眠気に襲われた。ふらふら蛇行運転しながら、座りやすそうな石を見つけては休んだ。たまらずサポートに「精進湖で少し寝たい」と連絡。1カ月間カフェイン抜きをしたことを思い出し、カフェイン入りのジェルを補給。すると20分で眠気が吹っ飛び、再び走れるように! 本栖湖エイドはマットを踏んで飛び出し、一気にサポートの待つ精進湖へ走った。

A4精進湖に着いた頃はまだ深夜でとにかく寒く、温かい物を食べてお腹を温め、ウェアと靴下も着替えてサポートに尋ねる。

「少し寝ていい?」

「……ダメです。」

事前に連絡してあったのに、マネージャーにのちゃんに即答されて仮眠は諦めた。ならばここで「気持ちを上げるスイッチ」二つ目。サポート用のタイム表に「眠かったらビンタして」と書いておいた。律儀にもなかなか強めの一発をいただき、なんだか笑えた。よし、元気になった! エイド出ると雨が強くなり、ネオシェルのレインウエアを上下共に着込んだ。

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サポートクルーが行方不明⁉ 一人ぼっちのA5勝山から長いロード区間へ

朝になって明るくなると眠気から解放され、ペースを速めて調子よく勝山に到着した。が、しかし……、あれ? サポートクルーがいない……?

おかしいな、誰も見当たらない。まさかの一人ぼっち。困惑しながら一人で補給をしていると、みんながエイドに青い顔をして駆け込んできた! どうやら到着が想定時間より早く、まだ車の中で待機していたらしい。無事にみんなと会えて、居心地がよくてつい長居してしまった。

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勝山から忍野までの区間は、長いロードがある。飽き飽きしながら忍野まで耐えぬいた。足裏が痛み始めていて、救護でテーピングをしてもらった。忍野を出てもまた、遠く先まで見通すことのできる再びの長~いロード。やっとの思いでトレイルに入ったところで元気を取り戻した。大平山をパワーウォークで一気に登りきった! もうすぐ山中湖きらら。

「ここからが本番!上げていくぞ〜!」

足の痛みを忘れて、楽しくなってきた。気持ちは高まり、ペースを上げてどんどん前進した。

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やっと来た勝負のパート! ガンガン飛ばしていく後半へ突入!
山中湖きららに到着すると急いでニューハレブースに向かい、芥田さんにテーピングをしてもらう。じつはニューハレを貼るのは初めてで、嘘みたいに痛みが引いて驚いた。
きららでは、ランスタトレラン部男子メンバーのもう一人、ゆういちさんがサポートに合流! ゆういちさんは自分にとって「お兄ちゃん」のような存在。生意気な自分にいつも楽しく優しく接してくれて、トレラン部のムードメーカー。一気にチームが明るくなった! 冗談を言い合って笑わせてくれた。外は本降りの雨に変わったけれど、気持ちは全然折れてない。むしろ「やっと勝負パートに来た!」とやる気満々でエイドを出た。

三国山の登りもガンガン飛ばし、次々と選手をパスして山頂へ。そんな勢いと高まる気分とは裏腹に、空は暗く雲は厚く、楽しみにしていた富士山は全く見えず、雨はみぞれになり雪になっていく。泥にまみれたロープをたぐって急登を越える。そして周囲は一面の雪景色になった。

このまま暗くなった杓子を越えられるだろうか?
全身びしょ濡れだ。二十曲に着いたらインナーだけでも乾かさないと。そんなことを考えていた。

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もうすぐ手の届くところにある“100マイル完走”が崩れ去った瞬間
前を走るランナーが「中止の可能性があるらしい」と教えてくれた。サポートに事実確認の連絡をして返事を待つ間も走り続けた。石割山頂手前でサポートから中断の連絡が届いた。
このときはショックを受ける余裕さえなく、鬼気迫る状況のなか、周囲の人とパックになって標識を探して現在地を確認。A8まで4km弱だ。A7に戻るよりもA8を目指す方が近かった。パック全員が途中ではぐれないように気を配りあいながら、石割山へ向かう。横殴りの吹雪は、少し立ち止まっただけでも体が凍りつくほどだった。

二十曲まで、歩きながらいろんなことを考えた。

ここまですごく順調だった。河口湖でどんなポーズでゲートをくぐろうか。ゴールしたら、サポートのみんなと一緒になって、もうめちゃくちゃに喜び合いたい。サポート全員と握手して抱き合ってありがとうって言いたい。完走したらちゃんぷさんに褒めてもらえるだろうか。

ランスタトレラン部に入るまで、ロングレースなんて出る気もなかった。自分には縁のない世界の話だと思っていた。でも、みんなでUTMFを目指して頑張ってきた。ここまで数え切れないくらい練習してきた。
1年前はポイントなんてまったく持っていなくて、30kmレースしか走ったことがなかった自分が、UTMFエントリーに間に合うように1カ月で70km級レースに3つもチャレンジして、今日のために必死で完走した。
ここまで全力を捧げてやってきて、もうすぐ手の届くところにある100マイルの完走がこんな形で終わりになるなんて、受け入れられない。いろんな思いが頭をめぐって涙が止まらなかった。

いつの間にか雪が止み、山には日が差し込んだ。雪化粧をした山々の絶景を見ながら、二十曲に辿り着いた。悔しさと下山した安堵で、また涙があふれた。

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UTMFの挑戦は140kmで終わった。自然を相手にするトレランの難しさと、自然の中を走る楽しさを再確認するレースになった。100マイル完走は叶わなかったけれど、手が届くところまで来たこと、ここまでやってきた練習は間違っていなかったことは大きな自信になった。機会があれば、絶対にまた挑戦したい。そして、28時間も一緒に走り続けたサポートのみんなには、本当に感謝してもしきれない。今度は自分がみんなをサポートしたい。

トレイルランニングは1人で走る競技だけど、僕のUTMFは「チームスポーツ」だった。チームなら、ツラさはみんなで分けて、楽しさ喜びは倍増する。トレイルランニングの新しい楽しみ方に気付かせてくれたレースだった。

 

ランスタトレラン部
しゅう

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▼△ランスタトレラン部の活動の模様はインスタグラムでも更新中△▼

 


COLUMN
しゅうのUTMF装備メモ
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(左上から順に)ロングパンツ、ミッドレイヤー、耳まで隠す帽子、ネックゲイター、グローブ、オーバーグローブ、レインウエア上下、12Lのバックパック、ソフトフラスク、ソフトボトル、携帯コップ、ファーストエイドキット、携帯トイレなど、お守り、詳細コースマップ、ナンバーカード、ウオッチ、携帯電話、ハンドライト、ヘッドライト、点滅ライト、それぞれの予備電池

 

しゅうのお気に入りアイテム
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麓エイドで、夜間走に備えて“パワーグリッド”の長袖に着替えたシュウ。「今年2月の小江戸大江戸のナイトランで試したときに、汗冷えせずに走ることができて、寒いときにかなり使い勝手が良かったから」ということで、UTMFでも夜間用に準備。
夜間もミッドレイヤーは着ず、雨が強くなったときには、パワーグリッド+ネオシェルという組み合わせ。「麓エイドから先は気温が低く冷えたけど、すぐに汗を吸ってくれるので汗冷えもなく、肌は比較的乾いた感覚のまま走れました」保温性と吸汗速乾性を実感した。

▼△パワーグリッドの詳細についてはこちらから!△▼

 

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RUNNING style 編集部

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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。

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