【PGTA参戦記】CP10(Day4)ツラいのはみんな一緒だ。ここで諦めちゃいけない
FUNQ
- 2019年04月04日
ここから次のCPまでの10kmは急な下りが続く……。
1時間ほど下ったところで昨日のステージで途中一緒に走った、ポルトガル人のBrunoと落ち合う。「調子悪そうだね、オレもヒザが痛くてうまく走れない」と苦笑い。しかし彼は淡々と、前を見据えて走っていく。「ツラいのはみんな一緒だ。ここで諦めちゃいけない」気持ちを新たに急な坂道を降りていく。
坂を下りきったところで小さな村が見えて来た。きっとここに次のCPがあるはず! と心なしか足取り軽くなり村に入っていく。すると、村の入り口に村人たちが集まっており、選手が通るたびに大きな歓声を上げている。私が通り過ぎるとき、しきりにポルトガル語で何かを話すおばちゃん。
とりあえず「オブリガード(ありがとう)!」と言って通り過ぎると、その後を一斉に子どもたちが追って走ってくる。気づけばたくさんの子どもたちに囲まれてCPへ。子どもたちの笑顔がとてもかわいくて、足が痛かったことも忘れ満面の笑みでCPにはいる。
CPでバナナを頬張っていると、「待っていたよ〜」と彼女が現れる。今日は終日レースの応援ができるらしい。ここでもパワーチャージ。残り10km。足の状態は悪い。でも進むしかない。
キツいも上りが現れると、ホッと一息つける。なぜなら、みんなゆっくり歩くから。下りこそジョギングペースになってしまうものの、上りは依然としていいペースでいけることがわかってきた。上れるだけ上って、下りはなるようになる、というのがこの日からの作戦。幸い、残りの10kmはほぼ上り貴重。せっせと距離を稼ぎ、下りはだらだら下る。
その姿を見ていたガイアナ人のPatrickが「ヘンテコな走りだな!」とからかってくる。Patrickはレース1週間前に足をひねったらしく、初日から景色を楽しむことに重点を置いて走っている。絶景の前で写真を撮り合い、下り坂で一緒に悲鳴をあげ、ケラケラと笑う。この瞬間が、海外のレースの醍醐味の一つ。
巨大なダムの放水を2人で眺めながら、それぞれ思いを馳せる。もうそろそろゴールかな? と舗装路を走っていると、突然右斜め上に矢印が。ん? ここを上るの? とPatrickと顔を見合わせる。上り坂というよりか、土壁、という方が近い。悲鳴を上げる足を無視し、四つん這いになって山を登る。
ゼーゼーしながら激坂の先の石畳を上っていると、上から誰かが走って降りてくる「あと100mでゴールだぞ! 歩くな、走れ!」。あと100mだって? 一気に現実に引き戻される。そういえば、歓声が聞こえるぞ! 一歩一歩確かめながら、フィニッシュラインを越える。
真っ青な空の下、芝生の上に腰を下ろす。スライスしたての生ハムと、ポルトガル伝統の野菜のスープを彼女が持って来てくれる。口に運んだ瞬間、不覚にも絶景がかすんだ。
続く。
加藤功甫(かとうこうすけ)
1988 年 長野生まれ。特定非営利活動法人Connection of the Children(CoC)代表理事。2011年にユーラシア大陸2万 kmを自転車で横断したことを皮切りに、いままでに世界 70カ国を旅する。その想いを軸に2014年にCoCを創業。
加藤さんの普段の活動はこちらから!
http://coc-i.org/
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