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【ランスタトレラン部 Season2】信越五岳トレイルランニングレース挑戦記vol.03 50kmで精一杯だった僕が110㎞を完走するまで

結成2年目となるランスタトレラン部が目標に掲げたのは、100マイル(約160km)レース。そんなビッグチャレンジに向けたステップとして、9月16日(日)に開催された「信越五岳トレイルレース2018」の「110kmの部」に挑戦。ここでは、そのレースレポート第3弾として男性メンバーの一人、ゆういち目線で紹介する!

Text : ゆういち(ランスタトレラン部)
Photo : 上田 崇

 

前夜祭で、ちゃんぷコーチからアドバイス
レースになると胃の調子が悪くなり、DNS(Do Not Start)またはDNF(Do Not Finish)しがちな僕にトレラン部コーチのちゃんぷさんがアドバイスをくれた。
「胃が気持ち悪くなるのは、メンタルも関係している。走っている最中は、極力胃のことを考えないで走ってみて。“今日も胃が悪くなるかも”と思いながら走るとドツボにハマりやすくなるから。DNS、DNF続きじゃおもしろくないじゃん。ここで完走できるように、一発頑張ってみよう」

こんなふうにちゃんぷさんからレース直前にアドバイスを受けたのは初めてだったし、ちゃんぷさん自身も100マイル部門のレースを控えているというのに、わざわざ僕を探して話をしてくれたように見えた。このアドバイスは、間違いなくその後の僕のモチベーションへとつながった。

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この舞台に自分が立っていることすら、信じられなかった
僕のこれまでの最長完走距離は、白馬国際トレイルランの50km。
今回の信越五岳トレイルランニングレースはその倍となる110㎞だ。
自分のレベルでこのスタートラインに立っていいものか? とも考えたが、トレラン部に入ってからはそれなりに練習を積み重ねてきているので、実際にスタートラインに立つと「絶対にゴールする」という気持ちのほうが勝っていた。

 

スタート早々にハプニング
いよいよレーススタート!
10kmほど走ったところで、渋滞が発生していた。スズメバチの大群によるものだった。
見た限り、20人以上のランナーが刺されており、まさに地獄絵図。僕の前後にいた人も刺されていたので、初めてポイズンリムーバーを使用した。幸い自分は刺されなかったが、多くのランナーがハチに刺されている姿を目の当たりにして少し動揺してしまった。まだ100㎞もあるというのに……。

 

遠くからみんなが僕を呼んでいる声がする
24km地点、バンフエイドに到着すると、みんなが僕の名前を呼びながら待ってくれていた。みんなに会えた瞬間、本当に疲れが吹っ飛ぶ。まだまだ元気だ。

ここでは先にエイドに到着していたメンバーのゆいちゃんにも会えた。ゆいちゃんの目を見ると、闘志に火が付いているように感じられて刺激を受けた。

そして、このあと僕のペーサーとして走ってくれるエマさんが、「暑いから水被る?」、「座って休んほうがいいよ」、「ちゃんと補給とれている?」など、たくさん気遣ってくれた。次のエイドまでのアドバイスまでしてくれて、本当にありがたい。こんなにサポートしてもらっておいて完走できないわけがない。と自分に言い聞かせ、エイドを後にした。

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いないはずのサポートメンバーの姿が!
38km地点の熊坂エイドに着くと、再びメンバーの姿があった。ここはサポートエイドではないので中には入れないが、遠くから応援してくれていた。

好調に走れていたものの、到着予定時刻より遅れていたため、少し動揺した。しかも、いつも胃の調子が悪くなるのは30kmを超えたあたり、まさにこのくらいの距離になってからだ。ただ、今回はバックパックの前フックの位置を調整するなどして、なるべく胃に負担がかからないように工夫していた。これが功を奏したのか、いつもより胃の調子がいいように感じた。

エイドを出る際、エマさんから「私と合流する笹ヶ峰まではとにかく全力で走って。そこから絶対にゴールさせるから! 残っている脚を使い果たしてもいいから!」と言われる。「いやいや、脚を残さなかったら残り50km走れないでしょ……」と心のなかで思いながらも、エマさんの気持ちがうれしくて前向きになれた。

 

やっぱり胃の調子が……
関川のゆるい上りが長くキツいことは事前に聞いていたので、心の準備はできていたが、やはり胃の調子が悪くなってきた。このパートで2回ほど嘔吐してしまったが、これもいつものこと。メンタル的にそんなにダメージはなかったが、だんだんと脚が上がらなくなってきた。

「いかん、ここで歩いてはエマさんとの約束が!」と自分を鼓舞しながら、歩いて走ってを繰り返した。それでも胃は回復せず、関川沿いにあったベンチに5分間だけ横になった。しかし、5分なんてあっという間で、結局胃が気持ち悪いまま次のエイドを目指す。吐き気がして飲み食いができない……、早くもキツい状況になってしまった。

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必死の思いで52㎞地点、黒姫エイドに入る
飲み食いできない状態のまま、なんとかエイドにたどり着く。みんなに会える瞬間だけはどんなにツラくても笑顔になれた。ただ、体にしびれを感じ始めていたので、ここでも10分間横になることにした。

さすがに何も食べないで次のエイドを目指すのは難しいとメンバーに言われ、マネージャーのニノにおかゆを作ってもらった。いままでの経験上、絶対に口に入らないことは分かっていたが、この愛(?)のあるおかゆは不思議と食べられた。そして、この食べられたということが「走れる」という自信につながった。僕のレース展開のターニングポイントでもあった。

 

渋滞発生! 睡魔に襲われる
次の区間にある吊り橋では2名ずつしか渡ることができないため、渋滞が発生していた。いつもなら休憩しようと思えるポイントだが、睡魔が僕を襲ってきた。コースを外れて寝ようかとも考えたが、もちろんそんな時間はない。

このパートは本当にキツく、今回初めてイライラしてしまった部分でもあった。ただ、エマさんと合流できる笹ヶ峰がもう少しだということはわかっていたので、1秒でも早くたどり着けるように力を振り絞った。

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やっぱりみんなに会える瞬間は元気になれる
やっとの思いで63㎞地点、笹ヶ峰高原グリーンハウスエイドに着く。63㎞という距離は自分にとっての最長走行距離。うれしい反面、こんなにダメージを受けた状態でこの先も走れるのか不安になる。「エマさん、本当に脚が残っていないよ。どうすりゃいいの……?」と心のなかで思いながら、ここでも10分間の眠りについた。

目を覚ますとエマさんが優しい口調で「今回は完走を目指して走ろうね」という。このとき僕はこの言葉に安心していたが、あとから思うとこれは「ガンガン走るからね」の意味だった……。

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基本は歩かない、歩いてもパワーウォーク
エマさんと走り出すとさっそく「基本は歩かないからね。歩いてもパワーウォークで」と言われる。まったく飲み食いできない状況の僕は「そんなのムリムリ」と心のなかで思っていると、それを見透かすように「私は海外のトレイルで3日間アーモンドだけで過ごしたことがある」という話を始めた。
単純かもしれないが、その話をしてくれたおかげで気持ちがかなりラクになった。食べられなくても、数時間だけ踏ん張ればいいと思えた。ただ、3日間アーモンドだけは無理。「エマさんっていったい何者?」と、この後50回くらいは感じた。

 

だんだんと走れるように!
70㎞地点あたりから、フラスクに入れてもらった炭酸水が飲めるようになる。いままで一度飲めなくなったものを同じレースで飲めるようになった経験がなかったため、自分でも驚いた。
すると力も入るようになって走れるように! ほかの選手が泥を避けながら走るなか、僕たちは真ん中の一番深いところを突き進む。ガンガン前の選手たちを抜いていく。「あれ、完走目的じゃなかったっけ?」と心で思いながらも、ガムシャラに走った。

そして93㎞地点、戸隠スキー場エイドに到着。
ここでも15分寝たが、気持ちはまだ切れていない。

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あと17km! 悔いのない走りを!
エマさんは「まだ行ける、まだ走れる!」とずっと僕を励まし続けてくれた。ときには寄り添い、ときには距離をおきながら、ずっと僕の集中が切れないようにしてくれる。僕に満足のいく走りをさせてあげたいと思ってくれていたのだろう。それが走りながらでもひしひしと伝わり、「絶対にゴールしてこの気持ちに応えたい!」と思えた。呼吸がどんなに苦しくなろうと、脚がどうなろうと、ゴールできればもうなんだっていい。
このパートでは、いろんな思いが溢れ、何度か涙が出た。

そして、ゴール。
深夜なのに、メンバーみんなが僕を迎えてくれた。

いままでのゴールで一番気持ちよかった。
トレランってこんなにおもしいの? こんなに感動できるの?
50㎞で精一杯だった僕でも110㎞を走破できるんだ。
これはランスタトレラン部スタッフ全員のおかげ。
一人でも欠けていたら走り切れなかったと思う。
みんな、本当にありがとう。

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キャプチャ

▼△ランスタトレラン部の活動の模様はインスタグラムでも更新中△▼

 


 

 

COLUMN
110kmの旅をともにしたアイテムメモ

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NATHAN(ネイサン)のベイパーカー12ℓ
重心が高く、胸のあたりにアジャスターが付いているため、胃を締め付けたくない僕にぴったり。また、生地が速乾性に優れているからか、小雨が降ってもバックパックが重たくならずストレスフリー! まるでウエアのような着用感だった。

 

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McDavid(マクダビッド)のパワーレッグスリーブ
やわらかな着用感で、履いていることを忘れさせるレッグスリーブ。疲労を軽減させながらふくらはぎをサポートしてくれるので、110㎞を20時間以上かけて走っても翌日の筋疲労をあまり感じずに済んだ!

アイテムに関するお問い合わせ:@nathan_japan

 

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