ベルリンマラソンで2時間1分39秒の世界記録を樹立! エリウド・キプチョゲ選手、レース後インタビューを公開
FUNQ
- 2018年09月21日
2018年9月16日開催されたベルリンマラソンで、2時間1分39秒という世界新記録を叩き出した、エリウド・キプチョゲ選手。これまでの記録を1分以上も更新するという驚異的なタイムに世界が驚いた。そのキプチョゲ選手がレース後に答えてくれたインタビューは以下のとおり。彼の足元を支えた最新シューズ「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニット」についても触れているので注目してほしい。
Q: 完璧なレースだったのでは?
―ありがとう。そうです。最後17kmは独走でしたが、一人ぼっちとはまったく思いませんでした。最後の1kmまでこのペースをキープしなくては、ということだけ考えていました。
Q: 世界記録更新です。走っているなかで、いつ頃そのことに気づきましたか?
―30km過ぎたところで新記録がつくれるだろうと確信しました。
Q: マラソンが終わると、たくさんのランナーは痛々しい顔をします。あなたはそのような痛みにはどのように対処しますか、あるいは痛みを感じないのでしょうか?
―マラソンを走ると、あらゆるところに痛みを感じます。しかし、そのような思いを取り払って、レースだけに集中しなくてはいけないのです。
Q: 今回のようなレースでは頭の中はどのような状態ですか?自分の限界をどのように押し破っていくのですか?
―私は限界があるとは思いません。トレーニングをするときに、体の声に耳を傾けるようにしています、そして、大丈夫と思えるときにバリアを乗り越える挑戦を自分の体に仕掛けるのです。
Q: サブ2の壁がまだあります。今日の記録では、その大きな記録からはまだ99秒あります。この記録が通常の、公式のロードレースで破られるためには、どのようなことが必要だと思いますか?
―実際のところ、たった25秒です。この記録を破ることは、壮大な科学の力が必要なほど難しいものではありません。それができると信じ、それができるということと、ランナーを信じてくれる優れたチームがいて、完璧なシューズを履いて、これまでにいたどのランナーよりも強くなることだけが必要なのです。
Q: あなたは自分が開発に関わったシューズを履いています。このシューズのおかげでどのくらいのタイムを削られたと思いますか?
―このシューズは私だけのものではなく、ここにいるすべてのランナーのためのものです。私はそのテストを行って、ナイキが私の意見を参考にしています。これまでの、どのシューズよりも速いシューズを作ることに私は協力しました。それでも、速く走るのはシューズではなくてランナーです。
Q: マラソンを走るためにランナーに必要な3つの素養はなんでしょう?
―継続的にトレーニングをすること、情熱、そして、自己管理です。自己管理とは、しっかりと集中し、シンプルな生活を送ることです。
Q: 初マラソンの練習をしている、趣味で走るランナーに向けてのアドバイスは?
―もちろんトレーニングは大切です。ただもっと大事なのは、ランニングに傾ける気持ちです。自分がそれだけの距離を走れる、完走できると信じること。それがマラソンを走る秘訣です。
Q: 今日朝起きた時の気分はどうでしたか?
―よかったです。
Q: レースの前にストレスとか緊張とかを感じることはないのですか?
―緊張はあります。緊張感がないと、チャンスも、レースに勝てる可能性もありません。
Q: 今日の朝走る前にはどのような準備をしたのですか?
―朝起きて、ストレッチをしました。それから少しジョギングをして、またすこしストレッチをしました。
Q: フィニッシュラインを通過した時の感想は?自分の成果に驚きましたか?
―とても気分よかったです。2:01というのは驚きました。結果として世界記録にはなるだろうと思ってはいたものの、ここまで速くなるとは思いませんでした。
Q: ベルリンはこれまでにも走ったことがありますが、去年と比べて今年はどうでしたか?
―つねにベルリンは楽しんで走っていますが、去年は天気が悪かったです。今年は天気が素晴らしかった。
Q: 「クレイジーな夢」を今日は実現できましたか?
―もちろんです。世界記録を期待していましたが、2時間1分とは思っていませんでした。2時間2分57を切れば良いな、ぐらいに思っていました。
Q: オリンピックでも金メダルを取り、世界記録を更新しました。キャリアの中で次に目指すものは?次の目標は?
―私の予定は白紙状態です。いつも一つずつ予定を立ててこなしていくタイプで、自分の予定はベルリンを走るというものでした。いまは少しリカバリーのために時間を使います。家族もいますので、家族と一緒に過ごします。本を読むのも好きで、世界中の話を読みたいと思います。リカバリーのときはそのようにして過ごしています。
Q: 好きなマラソン、あるいは走るのが好きな街や場所はありますか?
―じつはここ、ベルリンが好きです。フラットでスピードも出ますから。
Q: このレースに関してプランがあるとおっしゃっていましたが、それはどんなプランだったのですか?
―シンプルなプランで、ハイペースで、前半を61分から61分15秒で走るというものでしたが、実際にできました。
Q: レースの雰囲気はどうでしたか?
―観客の皆さんが素晴らしかった。皆さんの応援がなければ、最後はもっと苦しく感じたでしょう。声援が本当に耳に心地よく聞こえました。
Q: 今日あまりうまくいかなかったことといえば?
―まったくないです。本当に。レースにはとても満足しています。結果も出たし、プランがうまくいったとうれしく思っています。
Q: レースの初めから他のランナーをかなり離していきましたが、それも予定していたのですか?
―他のランナーのことはまったく考えていませんでした。唯一、自分が走りたいと思うペース配分で走れているかということだけに集中しました。
Q: ペーサーが25kmで外れ、そこから完全に一人になりました。これも予定通りだったのですか?
―30kmを過ぎるまでは一人になると思っていませんでした。それでもペーサーが引っ張ってくれて、25kmまで私をサポートしてくれたことに本当に感謝しています。
Q: 今日よりももっと良い記録で走れると思いますか?
―人間には限界がないと思っています。すべて可能です。記録は破るためにあるのですから。
Q: いまは本当に疲れて、記録に満足している状態だと思います。まだこれからの目標は頭にありますか?
―シーズンの初めに、トレーナーに私は「Breaking2」で歴史を残したと言われました。また、私はすでに2時間03分台、2時間04分台と2時間05分台を走り、そして今日は2時間01分台でした。ただ、まだ2時間02分台というのがないですね。
Q:オリンピックには出場しますか?
―はい。まだ走り続けて、勝ちたいと思います。まだ引退は考えたことがありません。
Q: どのようにやる気を維持し続けることができるのですか?多くのランナーは、一度マラソンを走ると2度と走りたくないといいます。あなたはどうですか?家に戻り、また次のレースのために練習を続けるのですか?
―簡単です。私はこの競技が好きだからやめられないのです。
Q: あなたはきついレースの時にもいつも笑顔です。今日も、印象的な笑顔ですが、そういう時は何を考えているのですか?
―マラソンは人生です。ハッピーになりたければ、人生を楽しまなくてはいけない。だから笑顔でいるのです。マラソンを走ることを楽しむのです。
インタビュー:2018年9月16日@ドイツ・ベルリン
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