ランニングではなぜ腕振りが重要なのか?

腕を振るのは、重心のズレをコントロールするため

人間は歩行時に、両脚を交互に出して前進するが、その動作を細かく見ると、片脚を前に出して身体が傾き始める前に次の脚を出していることがわかる。前後に腕を振るのは、このときに生じる微妙な重心位置のズレをコントロールする意味があると考えられる。

もし腕を振らないで歩いたり走ったりすれば、肩の筋肉に不自然な動きが必要となることや、身体の上下運動を制御できないことなどが原因で、使用するエネルギーが腕を振る場合に比べ増えてしまう。つまり、腕振りはエネルギーを効率よく使って移動するために不可欠な動作であると言える。

エネルギーをたくさん使いたいのであれば、腕は振らずに走ったほうがいいのかもしれないが、これはバランスの崩れから不自然な動きを促すため、身体にとってはいいことではない。

腕振りは、肩甲骨を意識する

ところで、動物の発生学的にいうと、四足歩行をしていた我々の祖先は、疾走する際に「肩甲骨と大腿骨」「上腕骨と脛骨」とが対応しており、肩甲骨は走行のための重要な働きを担っていた。このことから、ランニングの際に下半身の大腿部の振り出しに対応している上半身の部分は肩甲骨といえる。つまり、「腕を振る」ということは、腕を動かすのではなく「肩甲骨」を動かす動作になる。

腕を振る際は、脇を大きく開かずに、ヒジを後ろに引くことを強調すると肩甲骨が動くのがわかる。これと連動して骨盤と大腿骨が前に出てくる。腕振りの仕方次第で、ランニングがより効率的になることもあるわけだ。

手の中にクルミを持って くるくる回しながら走る

さて、効率のいい腕振りを行うためには、肩甲骨を中心とした肩関節がリラックスしている状態が必要だ。そのためには、手は軽く握って手のひらは自分の顔のほうに向けないことがポイント。アメリカでは、ランニングする際に片手に小さなクルミを2個持ち、手の中でくるくると回し落とさないようにするといういったトレーニング方法もあるようだ。

「走りのサイエンス」は走ることによって起こる、さまざまな身体のしくみの変化を取り上げ、その疑問や不安を科学的な見地から解消するための一冊だ。理屈を知ることで、快適かつ健康的なランニングライフを送ることができる!

(編集 M)

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