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サロマ湖100kmウルトラマラソン、20年ぶりの記録更新6時間9分の舞台裏

20年間不滅の伝説、6時間13分33秒

2007年に東京マラソンが始って以来、マラソン熱がどんどん高まっている。空前のマラソンブームである。

参加者1万人以上のマラソンイベントが20大会ほど開催されている。皇居の周囲を走る皇居ランナーも1日1万人を越える日も多いということで、アマチュアマラソン人口は世界一の数になったと言われている。

マラソンといえば、42.195kmを走るものだが、それ以上の距離を走るものはウルトラマラソンと言われる。

中でも、孤高のステイタスを持つのが、’86年から開催されている『サロマ湖100kmウルトラマラソン』だ。北海道道東のサロマ湖周辺のフラットな土地を走るため、記録が出やすいのも注目される理由のひとつだ。

この『サロマ湖100kmウルトラマラソン』には、20年前に樹立された伝説的記録がある。

それが、1998年6月に砂田貴裕選手が記録した6時間13分33秒という記録だ。100kmウルトラマラソンの世界記録として20年間誰にも破られず、もはや本当にそんな速度で走れたのか? と多くの人が疑問に思うほど伝説的な記録となっていた。

なにしろ、このタイムで走るためには、平均して3分44秒/kmの速度を100km継続しなければならない。ちょっと走ったことのある人なら、それがいかに尋常ではないことか分かるはずだ。

ちなみに、一般的な時速4kmという速度で歩くと、100km歩くには25時間かかる。1日以上かかるのだ。100kmとはそういう距離なのだ。

日本人が強みを発揮するウルトラマラソン

筆者が話を聞いたのは、スポーツヘッドフォン Jaybird(ジェイバード)のスポンサードを受けてこの大会に出場した川内鮮輝選手から。

サロマ湖2

川内鮮輝選手はいずれも陸上選手として活躍する埼玉県久喜市の川内三兄弟の次男。2017年、2016年の隠岐の島ウルトラマラソン優勝、2017年四万十川ウルトラマラソン優勝、柴又100km優勝などの記録を持つ、ウルトラマラソンを得意とするランナーだ。

「フルマラソンではアフリカ勢が強みを発揮しますが、スタミナの維持という点においてアフリカ勢は100kmに向きません。対して、日本人の身体の性質はウルトラマラソンに向いているのです」と川内さん。「さらに、私自身、フルマラソンの記録は2時間17分ぐらいとトップ争いは難しい記録なのですが、100kmウルトラマラソンならトップを狙えます」

そこで、最近はウルトラマラソンにフォーカスして、活動をしているのだそうだ。

「長い走り込みも苦ではありません」と川内さんは言う。

ことに、今年は各選手とも仕上がりが良く「サロマ湖では20年ぶりに伝説の記録が破られるのではないか?」という期待が高まっていたという。

世界記録の予感、異常なハイペース

6月24日に開催されたサロマ湖100kmウルトラマラソンの先頭集団。ペースを引っ張ったのは昨年6時間14分18秒の伝説に迫るタイムで優勝した板垣辰矢選手。川内選手も板垣選手と先頭集団を形成。

42.195kmの時点で2時間33分という、異常とも言えるハイペースでレースは続いた。トップグループの選手は、お互いに引っ張り合いつつ、50km地点では3時間1分という信じられないタイム。同じペースで100kmを走れるなら容易に世界記録を更新できるタイムだが、100kmはそんな甘い距離ではない。

サロマ湖3

この大会で4位までに入ればIAU100km世界選手権に日本代表選手として出場できる。川内選手は過去の経験からそのタイムを6時間40分ぐらいと見積もっていた。しかし、レースは予想をしのぐハイペースの展開となっていた。

60kmの少し手前ぐらいで、川内選手はこの先頭集団についていけなくなった。

「どうしても着いて行けなくなり、ジワジワと離れてしまいました」と川内選手は悔しそうに語った。

例年なら、優勝してもおかしくないタイムなのに……

これで世界記録ペースで走るのは3人。

そして、終盤、風見尚選手が圧倒的スピードで2位、3位を引き離し、6時間9分14秒という世界記録を4分以上も縮めるタイムで優勝。

2位は6時間20分49秒、3位は6時間22分55秒と、風見選手に引き離されたふたりは、世界記録ペースを維持できなくなった。

川内選手は75〜76km地点で、後ろから来た山内英昭選手に抜かれた。抜かれるとIAU100kmの日本代表になれないことは分かっていた。

「マラソンで抜くときは速度差をつけて抜くものなのです。山内選手はそれをよく分かっていて、僕が『着いていけない!』と思うペースで抜き去って行きました」前半のハイペースが祟ったのか、川内選手はどうしても山内選手についていくことができなかった。

しかしそれでも川内選手は5位、6時間28分35秒、ウルトラマラソンの自己記録を14分近く縮めるタイムでゴールした。たいていの年なら優勝できるほどのタイムだ。

記録的な速度なのに、残念ながら5位。競技の世界というのは本当に厳しい。しかし、川内選手はまだ27歳。今年の経験を糧に、また来年記録に挑んでくれるに違いない。

サロマ湖4

(川内選手をサポートするJaybirdのYujin Huangさん)

チームJaybirdとして参加した選手は、10人が全員完走した。最後のひとりは足切りである13時間まで残り7分というギリギリのタイムだった。チーム全員でゴールするために、自分のレースを終えた川内選手はUltimate Earsのスピーカーを持って応援のために音楽を流しに行ったという。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2018年8月号 Vol.82』

(村上タクタ)

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