inov-8/MUDROC 290(イノヴェイト/マッドロック 290)2003|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年02月05日
シューズを自由自在にコントロールすることを可能に!
あらゆるサーフェスで優れたグリップ性を発揮
「GET A GRIP」のブランドメッセージが象徴するように、その優れたグリップ性能で数多くのトレイルランナーを魅了しているinov-8(イノヴェイト)。とくに本拠地のあるイングランドをはじめとした欧州エリアでは、レースによって着用率が70〜75%に達するなど圧倒的なシェアを誇る、トレイルランニングカテゴリーにおける最有力ブランドの1つだ。
同社は、2003年にバーグハウス、ブレーシャーブーツをはじめとした数々のアウトドアビジネスを経験したウェイン・エディーが既存のアウトドアシューズの問題点を改善すべく創業した。彼がまず重要視したことは「足がシューズをコントロールできる」ということ。従来の構造では、基本的に前足部の横方向にしか屈曲しなかったが、人間の足の構造を研究開発したイノヴェイトのメタフレックスは、前足部の横方向だけでなく、斜め方向や縦方向にも屈曲する構造をもち、傾斜した路面でも平地に近い自然な姿勢がキープできた。さらに不整地の路面でもしっかりと大地をつかむことを可能にしたのである。
このように、アスリートの意思をクイックかつ的確に伝達できるのがメタフレックスで、足を確実に保護しつつ、同時に速く走ることも実現した。そんなイノヴェイトの創業モデルが究極のオフロードランニングシューズとして開発されたマッドロック 290。ブラックとグレーの落ち着いたカラーコンビネーションを採用したこのモデルは、不整地で高いグリップ性を発揮するアウトソールと通気性、サイドサポートに優れたアッパーを組み合わせることで、耐久性、サポート力、足へのプロテクションが高く、長距離のトレーニング、路面コンディションの悪いレースなどに適した1足に仕上がった。
その優れた機能性により「ランナーズワールド」誌が選定するプロダクト オブ ザ イヤー 2003にも選定されたが、その後も基本設計はそのままに、アッパー中足部にロゴを大きく配したり、機能的にも細部の改良を施すことで、イノヴェイトを代表するロングセラーに君臨することとなった。
比類なきパフォーマンス性能をアスリートに提供し続ける
マッドロック 290の登場以降、イノヴェイトはあらゆる路面状態や気象コンディションに対応したアウトソール、アッパーを組み合わせた豊富なラインアップを揃えたブランドとして知られるようになる。筆者も2016年11月にイノヴェイトの本拠地のある湖水地方の小都市ステーブリー周辺の丘陵地や、西ヨークシャーのトッドモーデンで開催されたシェパーズスカイラインフェルレースを走った際、同社のX-クロー 275を着用していたが、ぬかるんだスリッピーな路面でも的確にグリップし、正しい走行姿勢もキープできたのである。
ちなみにモデル名の290や275は、サイズUK8での片足の重量(グラム)を意味しており、このモデル名のルールはトレイルロック 270やX-タロン 225のように、現在も同ブランドのプロダクト名に継承される。現在イノヴェイトはトレイルランニング以外のロードランニング、ウェイトリフティングといったカテゴリーにも参入しており、その比類なきパフォーマンス性能をアスリートに提供することに成功している。
column
本文中にあるシェパーズスカイラインフェルレースを走った際に着用したX-クロー 275。ぬかるんだスリッピーなサーフェスでも抜群のグリップ性を発揮した。
「ランニングシューズの名作たち」のその他記事はコチラから。
SHARE
PROFILE
RUNNING style 編集部
ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。