ASICS/TARTHER(アシックス/ターサー)1983|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年02月08日
このシューズから”虎走”の歴史が始まった!
ビギナーの願い!いつかは「ターサー」
定期的に走るようになり、ランニングに夢中になって大会にも参加するようになったランナーが、いつしか発するようになる言葉がある。それが「いつかはターサーを履いてレースに出てみたい!」。「いつかはクラウン」というトヨタ自動車の名コピーがあったが、それと同じように市民ランナーにとっては「いつかはターサー」なのである。
そんなアシックスのターサーであるが、誕生は1983年のこと。それまでの長距離競技用シューズよりは厚みのあるミッドソールを装備したレーシングシューズである。知っている人もいると思うが、ターサーというネーミングは”タイガー レーサー”の略だ。デビューから30年以上が経過したターサーシリーズは、現在ではターサー ジャパン、ターサー ジールといったラインアップから構成されており、サブ3レベルの上級ランナーを中心に、高いシェアを誇るレーシングシューズとして、確固たるポジションを築くことに成功している。
しかしながらターサーは、もうひとつの重要な側面をもつシューズとしても知られている。それがトップアスリートの練習用シューズとしての顔である。たとえば、フルマラソンで2時間30分を切るようなトップランナーや箱根駅伝を走るようなランナーは、レース時にはターサーよりもソールユニットが薄く、脚力をより効率的に路面に伝えられるシューズをセレクトする傾向にある。アシックスでいえばソーティマジックのようなプロダクトがそれに当たる。このレベルのランナーにとってターサーというシューズは、レース用というよりはむしろ、日々のトレーニングにおける大切な相棒なのである。
トップアスリートにとってのマストアイテムとしてこれからも君臨し続ける
それだけに、筆者にとってターサーというシューズ絡みで2つの忘れられない出来事があった。
1つめは何年か前の箱根駅伝で、とある大学の脚のケガを押して走った選手がターサーを履いていたこと。そのときに解説を務めていた瀬古利彦氏が「脚を守るのはわかりますが、ソールの厚い練習用のアップシューズではペースが上がらずスピードは出せませんよ!」と話していたのである。実際に、彼はライバル校のランナーと比較するとスピード不足は否めなかったのだ。
そして2つめは、2016年11月13日に行われた「第2回さいたま国際マラソン」において、前年の同大会で女子総合第2位、日本人女子1位に輝いた吉田香織選手が、レディ ターサー ジール 4を履いて走っていたこと。前述のとおり、彼女レベルの持ちタイムであれば、日本人ランナーの体格ならソーティマジックのような、より薄いソールユニットのレーシングシューズで走るのが一般的だからだ。
しかしながら彼女は「まだまだシーズン始めだから疲れを残さないように、スピードモデルではなく、ある程度クッション性のあるものを選びました」という理由で、このシューズをセレクトしたのである。実際のレースでは、後半で素晴らしい追い上げを見せ、那須川瑞穂選手に次ぐ日本人女子2位の好成績を収めているのだ。
現在(2016年12月)発売されているプロダクトのシューレースループには、”虎走”のロゴが配されているターサーシリーズ。今後も中級ランナーからトップアスリートにとってのマストアイテムとして、永く君臨していくことだろう。
column
主力モデルはターサー ジール 5。トップアスリートの練習用、中・上級市民ランナーのレース用として良好なセールスを記録した。
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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
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