saucony/SHADOW(サッカニー/シャドウ)1985|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年10月15日
良好なセールスを記録したジャズのスペックをさらに高機能化したシューズ
抜群のクッション性と安定性をランナーに
1981年にリリースされたジャズが良好なセールスを記録したのにくわえ、ランナーのバイブルとして絶大なる信頼を誇った雑誌「ランナーズワールド」のシューズレビューにおいて最高評価のファイブスター、すなわち5つ星を獲得。この栄誉に輝いたことでサッカニーというブランドはアメリカ国内のランニングシューズマーケットにおいて確固たるポジションを築くことに成功した。
ジャズはその比類なきアッパーのフィット感でランナーを魅了したが、アウトソールに関しても高い機能性を有しており、三角形のスタッドを敷き詰めたアウトソールパターンは、アスファルトやコンクリートのようなオンロードと土や芝生、ウッドチップのようなオフロードの両方で抜群のグリップ性能を発揮した。それだけでなく、ピストン運動のように働き、自然と前進するような推進力もランナーに提供していた。
そんなジャズの基本性能を継承しつつ安定性やクッション性を向上させたプロダクトが1985年に登場。それがサッカニー シャドウである。ブランドの代名詞といっても過言ではないトライアングル状のアウトソールパターンなどは受け継ぎつつ、耐摩耗性を強化。ミッドソールのヒール部分に着地時の安定性を高め、故障の原因となる、脚の内側への過度な倒れこみ(オーバープロネーション)を是正するスタビライザーを配するなど、随所に進化の一端を垣間見ることができた。
さらにヒール部分に夜間走行時の安全性を高める3M社の再帰反射材のスコッチライトを装備するなど、シャドウは1985年当時のサッカニーの技術の粋を結集していた1足となっていた。同じ1985年には、ニューバランスからM1300もリリースされていたように、スポーツシューズブランドは各々が保有するテクノロジーを惜しみなく搭載することで、当時問題になっていたランニングによる障害を防止することに真剣に取り組んでいたのである。
渋カジが流行した’90年代初期にストリートシーンで大ヒット
スポーツシューズ業界におけるテクノロジーのビジブル化は1987年にリリースされたナイキ エアマックスの登場を待たなければならなかったので、この頃にリリースされたサッカニーのシャドウもニューバランスのM1300も外見で機能性をアピールすることはそれほどでもなく、カジュアルシーンにおいては、このことが逆にあらゆるコーディネートやファッションスタイルにマッチすることとなった。
ご存じのとおりニューバランスのM1300は1995年に最初の復刻版が登場して以来、オリジナルのスペックを忠実に再現したバージョンが5年に1度リリースされ、激しい争奪戦が繰り広げられている。それにくわえ、ソールユニットにM577のものを使用したM1300 CLも根強い人気をキープしている。
いっぽうでサッカニーのシャドウも、日本で渋カジと呼ばれる独自のアメリカンカジュアルスタイルが流行した’90年代初期にストリートシーンで大ヒット。最近ではジャズやDXN トレーナーを始めとした過去のアーカイブを現代に蘇らせるサッカニー オリジナルスにラインアップされており、良好なセールスを記録している。このように、いまから30年前に以上前にリリースされたプロダクトデザインが現在も高い支持を受けているのは、シャドウのデザインの完成度の高さを証明していると思う。
column
サッカニー オリジナルスにラインアップされるシャドウ。当時のカラーリングを再現したモデルだけでなく、現代にマッチしたカラーリングも展開されている。
「ランニングシューズの名作たち」のその他記事はコチラから。
SHARE
PROFILE
RUNNING style 編集部
ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。