NIKE/AIR FOOTSCAPE(ナイキ/エア フットスケープ)1995|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年12月14日
常識を超越した斬新なデザインが快適な履き心地を生んだ
ハイテクスニーカーブームの王道から一線を画す存在
ナイキ エアマックス’95やリーボック インスタポンプフューリーがリードしたハイテクスニーカーブーム。1995年から1997年にかけて日本の市場を席巻したこのブームの凄さは、現在30代半ばから40代のスニーカーフリークには忘れることができない事象だろう。人気モデルは即日完売し、希望小売価格の数倍となるプレミアムプライスで販売されることも珍しくなかった。
この盛り上がりはNBA選手のオリンピック参加が解禁され、マイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソンといったスーパースターが、バルセロナ五輪で男子バスケットボール競技アメリカ代表としてプレーした通称「ドリームチーム」時のバスケットボールシューズブームをも凌駕するほど。
そんなハイテクスニーカーブームの中心は、前述したエアマックス’95のようなメカニカルな外観をもつシューズであったが、この当時それとはまったく異なるデザインテイストをもつランニングシューズが、スニーカーフリークから根強い人気をキープしていた。それがナイキのエア フットスケープである。
日本人ユーザーからも高い評価を獲得
このモデルのもっとも大きな特徴は、シューレース部分がアッパーの外側にオフセットして配されている点。これは、人間の足の甲には集中して毛細血管が張り巡らされており、一般的な構造のスポーツシューズでシューレースをきつく締め詰めると、「血管を圧迫してアスリートのパフォーマンスを阻害する可能性がある」という研究結果から製品開発がスタートしたからだ。
この斬新なアッパーデザインと、”フットスケープラスト”という、このシューズのために開発された足囲部分にゆとりのある専用ラスト(木型)の組み合わせは、実際に履いたランナーから「不快な締め付け感がなく快適に走ることができた」という声があったいっぽうで、「フィット感がゆったりし過ぎて緊張感がない感じがするから、走るときよりも普段履きのほうが向くのでは?」といった声もあった。
実際に日本でもアメリカでも、パフォーマンスシーンよりはストリートシーンで履かれた数のほうが多かったことは間違いない。ファーストカラーのブルーをはじめとして、ブラック/レッドなど美しいカラーリングのバリエーションが続々とリリースされたことから、日本のスニーカーマーケットではナイキ エアマックス’95やリーボック インスタポンプフューリーに次ぐ人気となった”2番手グループ”の代表格であった。
アメリカでも人気モデルの一角に食い込むことに成功していたが、日本ほどの人気はなかったので、大都市の路面店や郊外のショッピングモールにあるフットロッカーやチャンプスといった主要ショップで購入できた。そのため、この当時出張や旅行で頻繁に渡米していた筆者は「ブラックのフットスケープのサイズ9を買ってきてください!」などと、後輩や友人たちから依頼されることも珍しくなかった。
オリジナル発売当時にはあまり興味が湧かなかったので、筆者がこのモデルを実際に履くこととなったのは2000年代に入ってからのこと。そのゆったりとした履き心地は、ランニング時はともかく、カジュアルシーンには最適。足を圧迫しないからハーフマラソンやフルマラソンを走った後のアフターシューズにもピッタリだと思ったものだ。
column
シューレースを外側にオフセットさせるデザインは、このモデルよりも先に1985年にコンバースのオデッサで採用。日本以外のコンバースが、現在はナイキ傘下というのは不思議な因縁を感じる。
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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
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