NIKE/AIR PEGASUS(ナイキ/エア ペガサス)1982|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年11月14日
ギリシャ神話の天を駆ける白馬から命名された稀代のロングセラー
もっとも注目されるクッショニングディバイスとなったナイキエア
ナイキというブランド名はギリシャ神話に登場する勝利の女神ニケ(NIKE)の英語読みに由来することを知っているランナーやスニーカーフリークは少なくなく、モデル名に関してもギリシャ神話に由来するシューズがいくつか存在している。1991年にリリースされたエア イカロスもそのひとつで、リーズナブルな価格ながら高い機能性を誇ったこのランニングシューズは、父のダイダロスとともに幽閉された場所から逃亡するために、蝋で羽根を固めた翼をつくった少年イカロスから命名された。
そして1982年に発表されたペガサスは、海神ポセイドンによって身ごもったメドゥーサがクリュサオルとともに産むことになった鳥の羽根を持つ天馬から命名されている。1979年に正式発表されたテイルウインドに初搭載されたナイキエアは、その優れた衝撃吸収性、反発性、軽量性で徐々にランナーに受け入れられるようになり、1982年になるとランニングカテゴリー以外のテニス、バスケットボールといったスポーツ向けシューズも開発された。
それがテニスシューズのエア エースとバスケットボールシューズのエア フォース 1であり、ナイキエアはナイキというブランドにとって重要なテクノロジーであるだけでなく、スポーツシューズ業界全体においても、もっとも注目されるクッショニングディバイスとなりつつあった。そんな時代にリリースされたのが前述のランニングシューズ”ペガサス”だ。
このモデルは前足部の屈曲性を高めるため、フォアフットの補強パーツに切れ込みを入れたアッパーデザインに従来のワッフルアウトソールよりも安定性とクッション性、グリップ性を向上させたワッフル センター オブ プレッシャーアウトソールを組み合わせた高機能ランニングシューズで、当時ナイキが保有するテクノロジーを結集することで同ブランドの開発力をランナーや他ブランドにアピールすることとなった。
中価格帯に君臨するニュートラルモデル
ナイキのランニングシューズのラインアップにおいて重要な存在となったペガサスは、その後ペガサス GXやペガサス プラスといった後継モデルも登場するなど、シリーズとして継続展開される存在となっていった。のちにナイキエア搭載モデルに関してはモデル名の先頭にエアを付けることが徹底され、同シリーズはエア ペガサスと呼ばれるようになり、着地時に過度の脚の倒れこみの心配がないニュートラルランナーに最適な中価格帯モデルとして確固たるポジションを築くことに成功。
反発性を特に重視したズームエアをヒール部分に搭載したエア ズーム ペガサス32も良好なセールスを記録するなど、エア ペガサスは着地時に過度な脚の倒れこみの傾向がみられるオーバープロネーションランナーに最適なストラクチャーシリーズとともに、ナイキランニングシューズのラインアップにおいて最もベーシックな存在として幅広いレベル及びタイプのランナーに愛される存在となっている。
ちなみに、初代モデルの復刻版がカジュアルシーンで人気だが、1992年のバルセロナ五輪のタイミングでリリースされたUSAトラック&フィールドチームのロゴ入りモデルを除くと、ストリートでヒットしたことはほとんどなく、ジョギングコースや陸上トラックがその主戦場となっていた。
column
エア ズーム ペガサス 32もランナーから高い支持を得ることに成功。ピュアプラチナムと呼ばれるグレー系のカラーは特に良好なセールスを記録している。
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