new balance/M576(ニューバランス/M576)1988|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2020年01月22日
主戦場をストリートに変え現在も高い人気を誇る稀代のロングセラー
オフロードでも高いグリップ性を発揮!
ここ数年ニューバランスのストリートにおける人気がすごい。元来は高品質のスポーツシューズを生産することで知られるブランドだが、主戦場をカジュアルシーンとしているブランドだと勘違いしている人も少なくないほど街で見かけることが多いのではないだろうか。ニューバランスのプロダクトは低価格帯から高価格帯までまんべんなく良好なセールスを記録しているようだが、なかでも安定した人気を誇っているのがランニングカテゴリーにラインナップされる「M576」である。
このモデルは、1988年にリリースされたオフロード対応ランニングシューズである。ここ数年グローバルでトレイルランニングの人気が急上昇し、参加人口も急速に増加しているが、アメリカでは野山のトレイルなどを走ることがかなり以前より一般的で、こうしたランニングスタイルにマッチした製品開発はどこの国よりも進んでいたのだ。
ラグが深く舗装されていない道、ぬかるんだ道でも高いグリップ性を発揮できるアウトソールを装備している前作の「M575」の特徴を継承しつつ、その機能性をブラッシュアップ。「M990」などに採用していた「SL1」というラスト(木型)よりもつま先にゆとりのある「SL2」を採用することで、ランニングシューズとしてはボリュームのあるシルエットとなっており、この独特なフォルムは当時からランナーたちを魅了しただけでなく、カジュアルシーンにおいても注目されていた。
素材やソールユニットにも多種多様なバリエーションが存在
そんな「M576」がさらなる人気を獲得することになるのは、アッパーにスムースレザーやヌバックといった天然皮革を使用したマテリアルバリエーションが、アメリカのスポーツシューズ専門店「フットロッカー」でリリースされたことから。オリジナルのナイロンメッシュとスエードのコンビネーションモデルにはない高級感があり、洗練された雰囲気のラインナップが新たなファンの獲得に成功したのである。
以来、ニューバランスの「M576」はストリートにおけるニューバランスの高い人気を決定づける重要なモデルとして、これまでに多種多様なバリエーションがリリースされてきた。このロングセラーには、カラーコンビネーションやマテリアルミックスはもちろんのこと、ミッドソールやアウトソールといったソールユニットにもいくつかのバリエーションが存在。ミッドソールのクッショニングテクノロジーに関してもC-CAPタイプ、ENCAPタイプがあり、製造国もオリジナルと同じアメリカ、厳選された素材を使用することで上品な雰囲気に仕上がっているイングランド、中国を始めとしたアジアなど、複数の国で生産されている。
筆者自身も「M576」を1993年に購入しているが、数あるバリエーションのなかから選んだのは、「コードバン」と呼ばれるダークブラウンの一足。履くほどに風合いが変化する上質な天然皮革を使用し、カジュアルスタイルだけでなく、ウールパンツのようなドレッシーな装いにもマッチする汎用性の高さも魅力の一足で、じつはこのモデルが日本で企画されたということは意外と知られていない。ちなみにENCAPを装備したソールユニットは、後継モデルの「M577」からの流用であり、オリジナルの「M576」よりもクッション性が大きく向上していたのもコードバンカラーの「M576」の大きな特徴であった。
column
ロングセラーだけに数多くのバリエーションが存在。最も高い人気を誇るモデルのひとつであるコードバンカラーは、アメリカではなく日本で企画されたことは意外と知られていない。
「ランニングシューズの名作たち」のその他記事はコチラから。
SHARE
PROFILE
RUNNING style 編集部
ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。