REEBOK/Instapump Fury(リーボック/インスタポンプフューリー)1994|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2020年02月26日
斬新なデザインとカラーリングでハイテクスニーカーブームをリード
ナイキ「エア マックス 95」と双璧を成す存在に
1995年、日本のストリートシーンでは、優れた機能性やテクノロジーを、外観においても主張するハイテクスニーカーが大流行していた。とくに人気が高く、ブームをリードする存在となっていたのは、ナイキの「エア マックス 95」とリーボックの「インスタポンプフューリー」である。
「インスタポンプフューリー」は、リーボックが開発し、アッパー内部のブラッダー(空気室)に空気を最適量注入することで究極のフィット感を実現するテクノロジーとして確固たる地位を築いていた「ポンプ」の進化版。アッパーの内部に納められていたブラッダー自体をアッパーの一部とし、専用の器具で炭酸ガスを注入することでフィット感と軽量化の向上に成功し、瞬時にフィット感の調整をできたことから、インスタポンプとネーミングされた。
このインスタポンプテクノロジーを搭載した初期モデルは、当初、世界陸上に出場する陸上競技アスリートやマイケル・チャンのようなトップテニスプレーヤーに供給することが主目的で、販売よりもプロモーションに主眼が置かれたが、この「インスタポンプフューリー」あたりから店頭セールスを意識して開発されるようになっていた。
「インスタポンプフューリー」のファーストモデルはインスタポンプとグラフライトというアーチ部分のミッドソールを廃する大胆なデザインと、レッド、ブラック、そしてシトロンという陸上トラック上で最も発色よく見えるカラーを組み合わせることで、従来のスポーツシューズにはない存在感を演出し、一部のスニーカーフリークから注目を集めた。しかしながらリリースされた1994年は、良好なセールスとは言い難かった。
大胆な発想の転換が斬新なデザインを生んだ
そんな「インスタポンプフューリー」に転機が訪れたのは翌1995年。ナイキ史上初めて前足部のナイキエアの視認化に成功した「エア マックス95」とともにハイテクスニーカーブームを盛り上げ、激しい争奪戦のターゲットとなったのである。
「インスタポンプフューリー」の人気に火を点けたのは、ストリートファッション誌の「BOON!」などがあるが、このモデルの人気を加速させた、もうひとつ忘れられないファクターが存在する。それがアイスランドの歌姫と称せられたビョーク、エアロスミスのスティーブン・タイラーといったミュージシャン、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクといったファッションデザイナーらがその唯一無二なデザインに注目し、公私問わず着用したことである。彼らが「インスタポンプフューリー」を着用した姿はファッション誌や音楽誌に掲載され、人気拡大に大きく貢献したのである。
「インスタポンプフューリー」はこれまでに数え切れないカラー&マテリアルバリエーションがリリースされてきたが、1994年にリリースされた初期型のデザインは1度も復刻されていなかった。しかしながらデビュー20周年となる2014年、そんな状況を打破すべくオリジナルデザインの「インスタポンプフューリー」が完全復刻。そのインパクトのあるデザインとカラーコンビネーションの組み合わせは、誕生から20年経過しても古さをまったく感じさせなかった。今後も「インスタポンプフューリー」はその人気をキープし続けるだろう。
column
インスタポンプ(フィット感)、グラフライト(軽量化)、ヘクサライト(衝撃吸収性)という複数のテクノロジーを組み合わせるマルチテックにより、高いパフォーマンス性を追求した。
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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
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